ザ・グレート・展開予測ショー

主役はネクロマンサー


投稿者名:K.H. Fan
投稿日時:(03/ 5/21)

この頃忙しくて感想の方ばかりしか書けませんでしたが、
久しぶりに暇が出来たので書かせて頂きました。
暇つぶしにでも読んでくれると嬉しいです。




氷室キヌ20歳―
彼女の手には2枚の履歴書がある。
他にも何人か面接に来たが、 この2人の印象が強かった。
彼女の手にある履歴書の人物は
美神令子19歳―
横島忠夫17歳―
これは、 もしも美神とキヌが入れ替わっていたら、 という話です。


―主役はネクロマンサー―


氷室除霊事務所には今、 3人の男女が座っている。
『それで、 貴方達を採用する事になりましたが、 希望はありますか?』
氷室キヌが美神、 横島に言った。
『あの…給料はどのように配られるのですか? おキヌさん?』
美神令子が一番心配している質問をした。
何故なら、 キヌは依頼料の10分の1で仕事を受け持つというのだ。
お金好きである美神がこの職場を選んだ理由は、
キヌが世界でも数少ないネクロマンサーであり、 除霊技術は日本で5本の指に入るという所からである。
『美神さんがお金をもの凄く好きなのは面接時の様子から分かりました。
心配しないでくれても大丈夫ですよ、 美神さんは霊能の才能もあるようですし、
それ相応の給料を差し上げます』
キヌは美神がホッとしたのを確認し、 横島の方に振り向いた。
『横島さんは何か希望ありますか?』
『え〜…誣いて言えば…おキヌおねーさまの傍に置いて頂ければ結構です!!!』
キヌに向かって飛んだ横島は美神の肘鉄により撃沈した。
『何をするんですか!!? いきなり!!!』
横島が叫び、 美神の方を振り向いた。
『それはこっちの台詞よ!!! おキヌさんに手を出すなんて何考えてるのよ!!!
おキヌさんも何でこんな奴雇ったんですか?』
美神がキヌの方を向いて尋ねた。
その形相にキヌは笑いながら答えた。
『いえ、 私は楽しく過ごせればいいかな…って思ったんですけど…』
『楽しい…って…』
美神がそこまで言うと、 美神の後ろに横島が既に迫っていた。
当然の事ながら、 美神のエルボーをくらい、 横島は見事に叩きつけられた。
『あんたは懲りないわね〜!! 私にそんな真似したらこうなる事を覚えておきなさい!!』
『そんな事言ったって…こんな美人や可愛い人を目の前に手ぇ出せないなんて
あんまりや…』
横島は血を流しながら答えた。
『まーまー…そんな事より初仕事行きましょうよ』
キヌは横島と美神の小競り合いを止めるべく、 仕事の準備を始めた。


今回の仕事はとある大企業からの依頼、
キヌは除霊には笛しか使わないので、 荷物は無い…筈だった。
しかし横島の背には、 40キロはあろうかという荷物が背負われていた。
『何で俺がこんな荷物持たなきゃならんのですか?
これは美神さんの荷物でしょう?』
横島が同じ助手である美神に尋ねた。
『もしもの時の為よ。
私達はおキヌさんと違って未熟なんだから、 それなりの装備はいるでしょ?』
『俺が聞いているのはそうじゃなくて、
何で俺が貴方の荷物を持たなければならないのですか!!?』
この問いに美神は(当たり前じゃない)と言った顔で答えた。
『私はおキヌさんの助手だけど、 あんたは私の奴隷でしょ?』
……………
暫くの沈黙がキヌ、 美神、 横島の間に流れた。
『いつ俺が貴方の奴隷になったんですか!!』
『…生まれたときから』
ここでさすが所長と言うべきか、 キヌの怒った声が2人の会話を遮った。
『美神さん、 なんて事を言うんですか!!! 横島さんに失礼じゃないですか』
『すいません…』
美神もキヌに怒られては反論できないので、 素直に謝った。
しかし、 荷物は減る筈が無いので、 
キヌは横島を手伝おうと自分のリュックに半分くらい荷物を移し始めた。
だが、 所詮はキヌの腕力、 バランスを崩し頭から倒れた。
倒れるはずだった…
横島の腕が上手くキヌの頭を支え、 キヌの衝撃を無くした。
そんな横島を見てキヌは頬をほんのりと赤く染めた。
『おキヌさん、 荷物持ちは俺の仕事ですので大丈夫ッスよ』
『え…あの…でも…』
横島の優しい言葉に戸惑うキヌだったが、 やはり横島1人に全てを持たせるのは気が引けた。
と、 そこに美神が割り込んだ。
『え〜…コホン…2人だけの世界を作らないで下さい』
美神がそう言うとキヌと横島は自分達の位置を確認した。
横島がキヌを庇った為、 横島の腕がキヌの頭の後ろに回っていて、
ちょうど横島がキヌを押し倒しているような感じがした。
しかもここは霊が居るビルとはいえ、 そのビルの前…要は、 歩道だという事だ。
2人は慌てて離れた。
何故、 美神が横島を殴らなかったかというと、 
彼女にも少なからず、 さっきの事について罪悪感と言うのを感じていたからだ。
『私の責任ですので、 私が半分持ちます。
それでいいですよね、 おキヌさん?』
美神がこのように述べた理由は、 
彼女の心の中でキヌには嫌われたくないと言う心情があったからであろう。
だが、 横島は美神に言った。
『いやだなぁ、 美神さん、 唯、 愚痴を溢しただけッスよ
いくらなんでも女性に荷物持たせるはず無いじゃないッスか…』
美神に(荷物を半分持つ)と言われ、 機嫌を良くした横島はそう答えた。


とりあえず、 準備の整のった人はビルへと突入した。
『おキヌさん、 かなり強力な霊波を感じますが…大丈夫でしょうか?』
美神がキヌに話しかけた。
横島は良く分からない顔で美神の方を見た。
当然素人である横島が悪霊の霊波など感じる事は出来ない。
唯、 ゾクッと言う感覚に時々襲われる程度である。
『大丈夫ですよ! この人は仕事で失敗したが為にここで自殺したのでしょう…
そういう人程、 その人の気持ちを理解しやすいですし、 笛は効く物なのです』
キヌが美神の不安を打ち消した。
美神がホッとした所で横島がキヌに尋ねた。
『あの…良く分からないのですが…霊波とかどういう風に感じ取るんです?』
すると美神が
『あんた…霊能無しにこの世界に入ろうとしたの?』
と横島に返した。
横島は自分をバカにしたような目で見る美神に何を言えばいいか分からなかった。
『ですから…そのように言われても…』
2人のやり取りを見て、 また喧嘩になるのではないか、 と思ったキヌが…
『横島さん、 霊能力が無くても私達の傍にいれば安心ですので…
もし私達が除霊に失敗して殺されたとしたら、 
1人で死ぬと言う心細さは無くなるので大丈夫ですよ!』
とんでもない事を言った…
『い…』
『『い…?』』
横島の言葉にキヌと美神が聞き返す。
『いやぁぁぁぁ…!!! おうち帰る〜〜!!!』
美神とキヌは派手にこけた。
『あんた、 男の子でしょ!!?』
美神が間髪入れずに突っ込む。
『そんなん関係あるか〜!!! 死にたない〜!!!』
横島も咄嗟に返す。
この言葉に美神はキヌに言い寄った。
『おキヌさん…何でこいつを雇ったのですか…?』
『私はこういう人結構好きなんですけどね…』
キヌの台詞に美神は(え!!?)と言う顔でキヌを見た。
『そ…それはつまり…』
美神に言い寄られ、 慌てたキヌは
『あ…いえ…私が横島さんの事が好きで、 将来恋人同士になれたら、
なんて思って…あ…』
はっきり言って逆効果になる台詞を言ってしまった。
幸い、 横島は死にたくないとパニックに陥っているので、 横島には聞こえなかったが、
美神は思い切り耳に入れてしまった。
だが、 美神は尊敬していた筈のキヌがこのような事を述べたので、
美神もパニックに陥り、
キヌに至っては(聞かれちゃった…)と何度も呟きトリップしている。
こんなんで最初の除霊…大丈夫なのだろうか…

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