魔女の挑戦
投稿者名:NGK
投稿日時:(03/ 5/19)
―――その場は緊迫した雰囲気に包まれていた。
「だれか・・・だれか、何とかして・・・何とかしてくださいっ!!」
魔鈴は叫んだ。
これ以上、見ていられない。
「横島さんっ!!」
傍らに佇む少年に訴える。
彼ならば何とかできるのでは・・・。
そう言う希望があった。
「・・・無理、です。俺の力では如何にも・・・」
万能に見える文珠にも限界がある。
「おキヌちゃんは・・・・・・!」
おキヌは、その場に泣き崩れていた。
とてもではないがこの場を打開する為の力になれるとは思えない。
「私がやるしかない、の?」
これは夢だ。
夢に決まっている。
令子はそう決め付ける。
それぐらい目の前に広がる光景が信じられなかったし、信じられるはずもなかった。
夢なら起床すれば覚める。
そう思って美神は目を閉じた。
―――現実逃避とも言う。
その光景によって店内に与えた影響は大。
ある者は人間離れした速度でもって店の外に飛び出し、またある者は神に祈り、ある者は身体中が震えていた。
それ程、目の前で起こっている光景は常軌を脱していたのだ。
「私が・・・やるしかない、か」
静かに、場の中心に歩く。
音を立てないように、起こさないように。
よほど疲れていたのだろう。
”彼”は席につくとすぐに眠りについた。
人材不足のオカルトGメン。
”彼”にかかる負担は並ではない。
仕事内容はハード。
そしてそのまま対処せずに眠ったこと。
それが騒ぎの原因。
「魔鈴くん・・・なんとか、してやってくれ・・・」
唐巣神父が沈痛な顔もちで言った。
「はい・・・頑張ります」
その作業は困難を極めた。
起こさないように、落さないように。
そして”修正”していく。
頑張れ。
皆の心の声援が魔鈴の心に届く。
「(落ち着いて・・・落ち着くのよ・・・めぐみ)」
時間にしてわずか数分であったが魔鈴にとって、周囲にとって何時間にも感じられる。
そして・・・。
「よし・・・」
ふぅー〜〜〜〜
安堵の声が沸き起こる。
「よくやってくれた・・・本当にありがとう!」
唐巣神父は男泣きしていた。
よほど胸に迫る思いがあったのだろう。
「はい!」
魔鈴の顔に浮かぶ満面の笑顔。
先輩を救った。やり遂げた。
その思いが魔鈴の胸に充実感を満たしていた。
「ん・・・〜〜・・・うるさい、なぁ・・・」
”彼”は寝ぼけながら強く頭を掻き、そして・・・・・・。
「あ・・・・・・」
ぼとっ。
―――おしまい
今までの
コメント:
- なにを魔鈴が修正して、なにが”彼”の頭から落ちたのかは各自で想像してください(笑)。 (NGK)
- カビが生えて、ゴキブリが多数カサカサと音を立てて動き回っていて
まっくろ○すけが発生してる部屋を魔鈴が修正して、
ゴキブリの死骸(そりゃーもう!言葉に表せない程ひどい状態の)が
”彼”の頭から落ちた。 (キリランシェロ)
- 何て恐ろしい・・・・悲しい話なんだ(涙)
絶体絶命の危機を向かえ、一人の勇者により奇跡が起こったかに見えたのに・・・・落下してしまうなんて。
落ちた物を戻す事のできる、次なる勇者の登場を願って止みませんm(_ _)m (志狗)
- やっぱりこういうネタ、私大好物なんですよねえ(爆)
西条さんの頭にのっていて、すこーしだけズレていたものは、「幸せ」という名の冠ですね?(違いますw) (矢塚)
- 西条、哀れなり、まだ若いのにw
周りが周りだからなあw (通りがかり)
- まあなんつーか、くらーいココロに一筋の光が差し込んでくるようなSSですねぇ、いろんな意味で。
こういうネタ、大好きっす! (Kita.Q)
- ラストのオチが素敵です(笑
落ちてきたもの・・なんだかすごいものを考えつきそうな自分が恐い・・(笑
自分も書いてて魔鈴の小説はなかなか希少価値がありますね(笑)
投稿お疲れさまでした〜 (かぜあめ)
- 最初、なんのことやらわからず、読後しばらくしてからその壮絶なる時空間に戦慄しました(笑)それにしてもやっぱりNGKさんは、魔鈴さんを書くと光るよね。 (アフロマシーン改)
- あああ・・・これでまた西条の評価が下がっていく・・・
NGKさんの影響力がデカいなぁ(笑)
ガンバレ西条!!w (ユタ)
- 悲しいお話でした…。
魔鈴さんが振り絞った勇気が、あんなカタチで裏切られるなんて。
運命って残酷ですね。 (猫姫)
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