It's Rainingゥ・
投稿者名:ロックハウンド
投稿日時:(03/ 5/17)
もしもし、横島っス。
あれ、おキヌちゃん? どうしたの、こんな時間に。
うん、除霊はなんとかうまくいった。
ありがとね、心配してくれて。
村長のおっさんも納得してくれたし、幽霊の方も喜んでくれたみたいだった。
んー、でも、こーゆーのは苦手なんやけどなぁ。
・・・・・・ん? なにがおかしいのさ。
優しいから? 俺が? ・・・・・・や、やめてよ、おキヌちゃん。そんなんじゃないって。
そ、そんなに笑わないでよ。
仕方ないやろ? 幽霊や言うても小さい女の子なんやし・・・・・・。
んなもん、力尽くで除霊なんて、オレの性に合わんし・・・・・・。
だ、だからぁ、いつまで笑ってるのさ。
ひどいよ、おキヌちゃん。
・・・・・・天気? うん、雨だよ。
そっちは晴れてる? ええなぁ。
あ、話をごまかそうとしてない?
なら、なんでまだ声が笑ってるんですかね、おキヌちゃん?
・・・・・・・・・嬉しいから?
なんかいいコトあったの?
ふーん、よくわかんないけどよかったね。
あ、雨音、聞こえる? 窓の近くにいるから。
そう、除霊が終わったころから、ぱらぱらと・・・・・・。
風が無いのが、まー、救いやね。
うん、まだ降ってるよ・・・・・・。
―――――聞こえていますか? 私の声が。
―――――貴方に、ちゃんと届いていますか?
―――――雨音よ、少しの間でいいから、どうか途切れて下さい。
―――――少しでも、彼の耳に届けたいから・・・・・・。
ん? 宿?
あぁ、村の小さな宿だよ。村長のおっさんが用意してくれた。
小さな和室だけど、小奇麗で落ち着くなぁ。
温泉もあってさ、健康に良いんだって。
神経痛、リュウマチ・・・・・・あ、あと、安産の湯なんてのもあったな。
ま、こっちはオレにゃ関係ないか、あははは・・・・・・。
え? 入ってみたい? そうだね、友達と一緒に行ってみたら?
オレ? オレは無理やなー。ヒマも無いし、なにより金が無いし。
仕事でもないと、こんな旅なんて出来ないしなー、ははは。
・・・・・・どうしたの、急に黙りこくっちゃって。
え? なんか怒ってない? 声にとげがあるよーな・・・・・・。
わ、わかりました、怒ってない怒ってない。
おキヌちゃんは怒ってません、はい。
・・・・・・へ? シロに変わる?
ち、ちょっと、おキヌちゃんってば、もしもし?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐわぁっ!!!
・・・・・・・・・み、み、み、耳が、耳が・・・・・・・・・。
シロぉっ! 夜中だってのに、んなバカでかい声を出す奴があるかっ!
・・・・・・あー、もう、すぐ甘える。
わかったわかった、んな声出さなくたっていいって。明日にゃそっちに戻るんだからさ。
ん? あー、さすがにいい耳してるよな。
そう、雨が降ってんだよ・・・・・・。
―――――聞こえるでござるか? 拙者の声が。
―――――先生に、ちゃんと届いているでござるか?
―――――雨音よ、少しの間で良いから、途切れて下され。
―――――少しでも、あの方の耳に届けとうござるゆえ・・・・・・。
もしもーし? どうしたんだよ、シロ。急に黙っちゃって。
お話? んー、特に何にも無いなぁ。
うん、テレビもろくなのやってないしなぁ。
さすが田舎って感じだな。
うんにゃ、嫌いじゃないな、こーゆーの。
まー、たまにだけどな。いいんじゃないかって・・・・・・。
そうだな、人狼の里もこんな感じかもしれん。電気が通ってないだけで。
わかってるって。そのうちお邪魔させてもらうからさ、な?
長老に?
あー、そりゃあ挨拶はせにゃならんけど・・・・・・。
へ? 『ゆいのう』?
なんだ、それ?
・・・・・・もしもし、シロ? どうした、聞こえないぞ?
あれ、タマモ? シロはどうした?
トイレ?
なんだ、何も言わずに。よほど慌ててたのかな。
それにしても、まだ起きてたのか、タマモ?
ははは、確かにお互い様やな。
今夜はみんなで一緒? そっか。
楽しいか? ははは・・・・・・まー、そう言うな。
雨? ああ、まだ降ってる・・・・・・。
―――――聞こえる? わたしの声が。
―――――おまえに、ちゃんと届いてる?
―――――雨音よ、少しの間でいいから、黙ってて。
―――――少しでも、アイツの耳に届けるのだから・・・・・・。
まだ眠たくないのか。
夜更かしは肌に悪いって聞くけど、違うのか?
あー、すんまへんな。似合わんセリフで。
どーせ、そーだろーよ、ふん。
ま、心配したところで・・・・・・・・・え?
あ、ああ・・・・・・まー、そりゃ、ちょっとは・・・・・・。
オ、オレが心配するのが、そんなに珍しいコトなのか?
・・・・・・タマモ?
い、いや、だって、お前もシロもおキヌちゃんも、一応女の子だから・・・・・・。
・・・・・・って、なんでそこで不機嫌になるねん!?
不機嫌だろ? 声でバレバレだろうが。
・・・・・・いや、もういい。
どうも、すんまへんでした。
もー、ええやろ。はやく寝たほうがいいぞ。
・・・・・・もしもし? タマモ? おーい、聞こえないぞー。
・・・・・・・・・み、美神さんっ!?
な、なんで? まだ起きてたんスか?
って言うか美神さん、いたんですか。
い、いや、別に他意はないっスけど・・・・・・。
そんなに怒らなくたっていいじゃないっスか、仕事はちゃんとやり遂げたんだし。
はい、契約通りに。
へ? 雨っスか?
いや、そんなに激しくはないですけどね。
ええ、まだ降ってますよ・・・・・・。
―――――聞こえてるの? 私の声が。
―――――アンタに、ちゃんと届いてるの?
―――――雨音よ、邪魔だから、さっさと消えなさいよ。
―――――全部、あのバカの耳に届けてやるんだから・・・・・・。
ええ、確かに女の子の幽霊でした。
い、いや、そりゃ可愛かったけど、小学生でしたよ・・・・・・。
へ? いや、その・・・・・・・・・文珠を使ってですけど?
・・・・・・んな無茶言わんといてくださいよ。
相手は子供の幽霊っスよ? んなコトしたら、後味悪いじゃないっスか。
いくら契約期間ギリギリだからって・・・・・・。
ち、ちゃんと話しが通じる相手でしたよ!
・・・・・・はぁ、すんませんっス。
以後、気を付けますから。
・・・・・・・・・美神さん?
い、いや、なんか今、ちょっと声が優しくなったかなって・・・・・・。
べ、別に調子に乗ってるワケじゃないっスよ!
勘弁してくださいよ。ちゃんと報酬の8割は上納しますから。
・・・・・・・・・きゅ、9割5分!?
あ、あんた、オレを干乾しにする気ですか!?
ひでぇ! そりゃあんまりってモンじゃ・・・・・・。
わ、わかりました・・・・・・お納めさせていただきます・・・・・・ううう。
・・・・・・って、あれ? 美神さん? 聞こえてますか?
・・・・・・・・・た、隊長っ!?
なんで隊長が? ・・・・・・皆で飲んでる?
通りでみんなの様子が変だと・・・・・・。
た、隊長、未成年に酒は・・・! 保護者同伴だからいい?
そ、そういうもんっスか・・・・・・。
あ、ひのめちゃんは?
さっき目が覚めたって・・・・・・あ、夜泣きっスか。
え、雨?
はい、まだ降ってます・・・・・・。
―――――聞こえている? 私の声が。
―――――君に、ちゃんと届いている?
―――――雨音よ、少しの間、静かになさい。
―――――全部、あの優しすぎる彼に届けるのだから・・・・・・。
あのー、美神さんは・・・・・・?
は、はあ、飲みすぎたからソファーで・・・・・・??
い、いえ、信じてますって! はい、そりゃもう!
いやだなぁ、隊長! ははははは・・・・・・・・・。
別に隊長が何かしたなんて、これっぽっちも・・・・・・。
え? 報酬全部? オレに?
・・・・・・あ、ありがとうございます、隊長・・・・・・。
けど、それだけはあかんのです、はい。
隊長に言うのは心苦しいんスけど・・・・・・・・・あとで、オレ、どつかれますから。
お気持ちだけで充分っス・・・・・・。
いえ、慣れてますから・・・・・・。
え? 優しすぎる? 誰がっスか?
オレ?
あははは、んなわきゃないでしょ。でも、まー、ありがとうござい・・・・・・。
・・・・・・ちょ、ちょっと、隊長?
な、なに、怒ってるんスか?
え? いや、怒ってないなんていわれても・・・・・・。
の、飲みすぎじゃないっスか?
そんなに大きな声を出さなくても聞こえてますよぉ。
ひ、ひのめちゃん、眠れなくなっちゃいますよ!?
・・・・・・・・・・・・隊長?
はい、聞いてますよ。
え? ・・・・・・な、なんで、謝るんスか?
いや、美神さんのことなら全然・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・なんスか、『自分でもよくわからないけど』って?
うーん・・・・・・・・・。
・・・・・・ま、まー、早めに休むといいっスよ。深酒は身体に毒って言うし・・・・・・。
ええ、大丈夫っス。
はい、それじゃあ・・・・・・・・・って、え?
みんなに、ですか?
―――――うん、おやすみ、おキヌちゃん。
―――――ああ、おやすみ、シロ。
―――――おやすみ、タマモ。
―――――おやすみなさい、美神さん。
―――――おやすみなさい、隊長。
―――――おやすみ、ひのめちゃん。
・・・・・・雨っスか?
ええ、まだ止みそうにないです・・・・・・。
―――――はい・・・・・・おやすみなさい、横島さん・・・・・・。
―――――くぅ〜ん・・・・・・おやすみなさいでござる、せんせい・・・・・・。
―――――おやすみ、ヨコシマ・・・・・・・・・うふふっ・・・・・・。
―――――う、うん・・・・・・お、おやすみ、横島クン・・・・・・。
―――――ふふ・・・・・・おやすみなさい、横島君・・・・・・。
―――――あうー・・・・・・。
―――――極楽・天気予報
雨、所により『こころ』晴天。
おしまい
今までの
コメント:
- えーと、「愛のままに〜」の続編ではなく、息抜きという感じで書いてみました。
誤変換で記載しちゃったみたいで申し訳ないです。「It's Raining…」と書くつもりだったのですが。
次回は続編を投稿させていただきます。では! (ロックハウンド)
- ほのぼの、まったりとした雰囲気がよかったです。
一人称の視点がころころと切り替わっているので、小説としてはどうかな?と思うのですが、
詩と小説の中間と考えれば問題はなさそうです。 (湖畔のスナフキン)
- う〜ん、いいですね、こーいうのも
誌と小説を織り込んだものと考えれば (TF)
- いいですね〜
横島の声しか聞こえてませんが、 それが雰囲気出てますよね。
コメントしようと思ってるんですが、 何が賛成票を入れさせてるのか
分からなくなります。
多分、 文章全体の感じに賛成しているというか、 何というか…
ま、 コメントも書けなくなるくらい素晴らしかったと言う事で… (K.H. Fan)
- 最高です!
大好きですこういうお話。まったりしっとりって感じですね(笑
それぞれの視点で心情がきちんと描かれていて・・ステキだ・・(笑
投稿おつかれさまでした。ありがとうございました〜 (かぜあめ)
- タイトル部分に「・・・」とつけると、どうやら文字化けするようですね。以前にもそういうことがありました。
斬新的で素晴らしいアイディアだったと思います。とても興味深く読ませて頂きました♪
ただ、女性キャラはみんな横島クンが好き、といういわゆる「ハーレム」のパターンは人によって好き嫌いがあるようです。
大体、タマモや美智恵さんはこういうことを言わないような気もしますし(^^;
それも結果となって、少々しつこくなってしまったような気がしました。
でも、それを抜きにしても、とても面白いお話だったと思います。
これからも楽しみにしています。がんばってください。 (マリクラ)
- 凄く優しい話だったと思います。
題名が文字化けしちゃったのは残念でしたけど、でも、本文の素晴らしさは紛れもなく、ホンモノなわけで。
ん、何というか、素晴らしい。この一言に尽きます。
優しくて、綺麗。どこかしんみりとしていて。ほのかに熱を持っているような。むぅ、伝えにくい感じですけど。(笑)
『手紙』って言う曲の雰囲気に凄く似てました。凄く素敵でした。
こんな感じの話、好きです。 (veld)
- こういうアマアマなお話って大好きです♪
横島クンはみんなのことを大切に思っていて
みんなも横島クンのことを大切に思っている・・・
柔らかで和やかな雰囲気を堪能させていただきました。
電話で直接会話してるわけじゃないってところがミソですねっ♪ (ハルカ)
- 確か三点リーダとか言う奴<…>が文字化けするとか聞いたことあったような(挨拶)
何かほんわかした話でした。
そして、西条編とか思いついた私。
―――――効いているかい。僕の呪いが。
―――――君に、届いているかい。
―――――雨音よ、呪いを増幅しておくれ。
―――――全部、あの憎たらしすぎる彼に届けるのだから・・・・・・。
いや、あんま深い意味ないっすけどね(笑) (NAVA)
- コメントありがとうございます! インターネットカフェから返事をさせていただいてます、はい。
>湖畔のスナフキンさん
はじめまして! ご指摘ありがとうございます。今回初めて、独白形式とでもいうものに挑戦してみたのですが、やはりまだまだのようです。修行の自戒とさせていただきます。
>TFさん
まずは「愛のままに〜」の続編ではなかったことをお詫びします(笑)。初めてとはいえやはり粗さが目立つんですよねー、我ながら。でも、ほめていただいてほっとしています。
>K.H.Fanさん
はじめまして! 自分の文章にお褒めの言葉がいただけるとは感激です。明日への糧になります(笑) (ロックハウンド)
- >かぜあめさん
ありがとうございます。まったりしっとりとの評価が嬉しいです。といいますか、波風立てるとお話が長くなっちゃいますからね(笑)。独白形式で長々と書くのはちょっとつらいかも(笑)
>マリクラさん
はじめまして! ご丁寧なアドバイスに痛み入ります。斬新ですばらしいなんて身に余る評価を頂いて興奮していますが、実はこの作品、書いていた本人が「ハーレム」なんて大それたものを意識したしていたわけではないんですよね(笑)。そこに初めて独白形式で書いた故の粗さが目立ってしまったわけなのですが。
いずれにせよ精進あるのみです! 激励のお言葉ありがとうございます。 (ロックハウンド)
- >veldさん
ありがとうございます! 気に入ってくださったようで、書き手としてもほっとしております。
文章から得られるフィーリングというものがあるとすれば、ぜひともそれを書けるようになるというのが、自分としても課題のひとつなのですが、veldさんのご感想から自信をひとつ頂戴したように思います。次回もそんな作品を目指して執筆したいと思っております。
>ハルカさん
アマアマですか(笑)。まぁ、GS家業というのも、ともに死線を潜っていかねばならない職業ですから、仲間内で連帯感がこんなふうに強まるのもありかな、なんて勝手に想像しております。ただ自分としても、まだまだ書ききれてないな、なんて部分があるのも確かです。
もっとアマアマだったりして(笑)。 (ロックハウンド)
- >NAVAさん
うわー、西条ってこんな奴だったんですねー(笑)
ありがとうございます。タイトルに三点リーダーは次回から控えようと思います、はい。
西条編には大いに笑わせていただきました。今度は他の面々にも言わせて見ようかなーなんて考えたりしてます(笑)
初めての表現形態で書いてみたものの、我ながら粗さの目立つ作品にこれほどのコメントをいただけて感謝感激です。いつかまたもっと洗練された形で、皆さんの前にお届けできるよう精進していきたいと思います。それでは! (ロックハウンド)
- こーゆーお話、大好きです♪
事務所で横島君の帰りを心待ちにしてるみんなの気持ちとか、それぞれが感じてる絆のカタチとかが、電話口から伝わってくるみたいに感じました。
やさしい雰囲気の、あったかいお話ですね♪ (猫姫)
- >猫姫さん
はじめまして! 久しぶりに覗いてみたら票が増えていたのでびっくりしました(笑)
お読みいただいてありがとうございます。気に入ってくださったようで嬉しい限りです。
雨の中の電話と言うシチュエーションは、なかなかに大人の雰囲気のあるものなんですよねー。いつかまた挑戦しようと思っていますが。
現在、『愛のままに、わがままに!』という作品の続編を書いておりますので、よろしければ『愛のままに〜』の方もお読みいただければ幸いです。なんだか宣伝ですね(笑)
ではまた、次回の作品でお目にかかれればと思います。それでは! (ロックハウンド)
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