ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎!19) タイガーとエミ


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/15)


時計を見るエミ。

「 4分57秒。 結局半分も達成できなかったワケ。
  残念だけど、今日限りでうちの事務所を正式に辞めてもらうわ。 」
「 ま、まってクレ、エミさん! もういちど、もういちどだけチャンスを! 」

エミは契約書の紙を取りだすと、紙から【エンゲージ】が出現する!
 
≪ はあーっ 私は契約の神【エンゲージ】なるぞぞお!!
  はーっ けけ契約は絶対いいっ!! そむく者には死と地獄うう!!  ≫

うるっ
「 エ、エミさん・・・・・・・・・・・・ぐ・・・

  ぐおおおおーーーーーーーーーーんっ!!!!!

  イヤジャアアアアーーーーッ!!!!!  わ わっし、がんばったじゃろーーーーー!!!!!

  この半年間、エミさんの期待にそえるべく いっしょけんめにやったのに!!!

  わっしを 見捨てんでクレーーーーーーーーーー!!! エミさん!! なあなあ!! 」

タイガーは顔中から液体をたれながしてエミの足にすがりついた。
そしてエミの顔を見上げているが、エミは何も言わない。

「 やめねえかタイガー!! それじゃあ半年前となんも変わんねえじゃねーか!! 」

一文字が答える。 一方で、一部の寮生たちがざわつきだす。
クスクス
「 なにあれ。 」
「 バカみたい! 」
「 エミ様に触んないでよ! 」
「 サイテー! 」

「 あんたらええ加減に――― 」

「 静かにしなさい!!!!!  」



し――――――ん



「 春華・・・・ 」
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 」

春華は洋子の言葉に乗せるようにその場を静めた。

「 エミさん なあ わっしはエミさんに助けられて以来  毎日が楽しかったですジャ。

  エミさんがわっしをひろってくれなんだら わっしは今でも女性恐怖症のままでトモダチもおらんかった !!

  横島サンやピートサン 愛子サンや雪之丞サン メゾピーや早苗サン

  ここにおる六女のみんなとも出会えんかった !!

  エミさんに恩返ししたくても わっしには才能もないし 顔もわるいケン なんも役にたてんかった !!

  試験に2度も落ちたせいで 事務所の評判も悪くなったのはわかっとります !!

  女子寮の修行も 神野神社での修行も エミさんの要求どおりのことができんかったこともわかっとります !!


  それでも・・・・・・


  それでも・・・・・・・・・・・・


  それでもわっしは・・・・・・・・・・・・・・・・・・










   エミさんのことが すきなんジャーーーーーーーーーーーー!!!!!  」」」」」



「「「「「   !!!!!   」」」」」  



「 じゃから じゃからきっといつか強いオトコになりますケエ

  タダ働きでもいいケン! 丁稚でもいいケン!

  わっしを わっしを事務所においてください!!  お願いします!!  」

「 タイガー、おめえ・・・・・・ 」
一文字がつぶやく。
タイガーは土下座してエミに頼んだ。 しばらく沈黙した後、エミの口が開く。

「 タイガー。 」
「 は、はいっ!! 」
「 私もあんたのこと嫌いじゃないわ。 むしろ好きよ。 」
「 エ、エミさん!! 」
「 でもね、このままじゃだめなのよ。 」
「 えっ!? 」
「 私はあんたの能力を最初から高くかってたわ。
  この私がわざわざ外国までいって、資格すらとってない高校生をスカウトしたのよ。
  それこそあんたより腕のいいGSなんてくさるほどいるのにね。 どうしてだと思う? 」
「 ? 」
「 “素質”と“根性”、“可能性”よ。
  私は誰よりも、あんたが成長してくれるものだと信じていた。
  でも横島がどんどん成長していくに対して、あんたは差をつけられる一方だった。
  そこで私は考えた。 2度目のGS試験に落ちたらあんたを追い出そうと。 」
「 エ、エミさぁん!! 」
「 話は最後まで聞きなさい!
  その横島があれだけ強くなれたのは、あいつなりに逆境に追いこめられたからなのよ。
  そしてあいつはその度に乗り越えてきた・・・・・・それで私は無茶な課題をあんたに押しつけ、
  精神的にも肉体的にもギリギリまで追い詰め、あんたがそれを乗り越えてくれることを信じていたわ。

  ・・・・・・・・・・・・そして私の目に狂いはなかった。

  あんたは間違いなく成長したわ。 よくあれだけの幻覚攻撃を、5分も持続できたわね。
  普通の悪霊退治や対戦試合には充分な時間よ。
  あんたならいずれ、精神感応能力者として、世界のトップになることも夢じゃないわ。 」

ざわざわっ
「 まさかそんな! 」
「 エミ様がそこまで高く評価するなんて! 」
騒然とする寮生たち。

「 だからたとえ資格をもってなくても、今ここで、私はあんたを一人前のゴーストスイーパーとして認めるわ。 」
「 エミさん・・・・。 」

うずくまってるタイガーの肩に手をのせるエミ。




「 だからあんたは、今年のGS試験に合格したら、自分で事務所を持ちなさい。 」




「 え? ・・・・・・・・・・・・じ、事務所!? 」
「 そう、タイガー寅吉除霊事務所よ。 」
「 そ、そんな! ワシは――― 」
「 おだまりなさい!
  おたくはいつまでもそうやってオンナの私の下で働く気? オトコなら、自分の城を持つものよ。 」
「 ワシが事務所・・・・ 」
「 自信を持ちなさい! あんたはこの私がはじめて認める最初の弟子なんだから! 」
「 わ、わかったですジャ! わっしは今年こそ試験を合格して、事務所を建ててみせますジャ!! 」
「 その意気よ。 」

タイガーとエミのやりとりをずっと見ていた一文字、洋子、水樹は・・・・

ぽりぽり
「 ちっ、負けるな、なんかよー。 」
「 さすが現役超一流のGSやな。 」
「 タイガーさん・・・・ 」
キラキラキラッ☆
「 エミおねーさまステキ!! ステキすぎるわ!!! 」
目を輝かせる仙香であった。

「 それであんたは今後、どうする気なワケ? 」
「 とりあえず明日、神御呂地高校で卒業式に出ようと思うとるんじゃが。 」
「 そう、なんなら妙神山の小竜姫の所にでも紹介しましょうか? 」
「 いや、どうせ修行するなら、神野神社でやり直したい。 今一度基本から鍛えなおしたいんジャ!!  」
「 そう、がんばってね。 」
「 はい! 」

エミはタイガーの耳に顔をよせる。
『 それにしてもあんた、結構モテてるのね。
  あんたのことが好きだっていう女の子、結構いるじゃない。 』
「 だ、誰ですジャ!? そないなこと言ってくれてるおなごは!? 」
「 あら、嬉しそうね。 もうそっちのほうに乗りかえる気なワケ? 」
「 あ、あ、い、いや、それはーそのー!! 」
「 いいわよ別に。 それに私は――― 」



―――とそこに、ピートと横島、雪之丞、愛子、弓、おキヌたちがやってきた。



「 遅れてすみません。 道が込んでてしまってて・・。 」
「 うがーーーっ!
  うおおおおおおお!! じょおすぃりょ〜〜〜!!!!! わおんわおんわおんっ! 」

犬のように女子寮生に向かっていく横島。
一文字はおキヌに話しかける。

「 なんであいつ(横島)を呼んだんだ? 」
「 だ、だって、もとクラスメートだし、久しぶりに会う友達だから・・・・・・ 」
「 あれが友達に会いにきた奴か? 」

        「 ねえねえカ〜ノジョ! デートしない!? 」
        「 あ、キミカワイイねー。 」
        「 そこの君、電話番号教えてよー!! 」
次々とナンパする横島。
「 ・・・・・・・・・・・・あう。 」
「 おキヌちゃんもまだまだあまいな。 」


一方でエミは、ピートのもとに飛び込んだ。

「 ピィートォ〜〜〜 !! 」 <だきっ☆>
あせっ
「 ちょ、ちょっと、エミさん!? 」
「 ピィートォ! これからどこかにいきましょうよ! 」
「 は、離してくださいよー! 皆さんがみてるじゃないですかー! 」
「 あら、私は平気よ。 あ、デジャヴーランドに行きましょ!! それがいいわ!! 」
「 え、エミさん、僕まだタイガーと話ししてないし・・! 」

ピートをひっぱるエミの足が止まり、振り返って手を振った。

「 タイガー!! わたしはピートを愛してるのー!!
  あなたの期待にはこたえられないワケー!! だからあきらめて他の子でも探しなさーーーい!! 」
 
そう言うとエミは無理矢理ピートを引っぱっていき、寮を出てしまった。
寮生達はポカンとしている。 タイガーは涙を滝のように流していた。 なぜか仙香も。

だばだばだばだば
「 え、エミさぁ〜〜ん・・・・・・ 」
ぽんっ
「 あきらめろタイガー。 あの女にお前は似合わん。 」
「 そうよ! そうよ! 」

タイガーの肩にに手をかける一文字。 同意する水樹。

だばだばだばだば
「 え、エミさぁ〜ん・・・・・・ 」
「 なんで仙香が泣くんだ? 」
「 感動してるんやない? 」

亜美の質問に洋子が答える。 その洋子は春華に声をかける。

「 それにしても春華、あんたがうちのセリフを奪うとは、なかなかやるやんか♪
  ちょっとは寅吉のこと、見直したん? 」
「 フン、どうだか! 同僚にならずにすんで、ほっとしてるのは確かだけど! 」

春華は顔を少し赤くし、ぶっきらぼうに答えて、寮へと戻っていった。

『 女子寮で寮内の女に手を出さなかったのは、全てはエミ所長のため!
  そこまで一途に真剣になれる男、私は今まで知らなかった!
  く、悔しいー! あのトラ男、ちゃんと修行してたのね! 』

春華の足が止まり、タイガー達のほうに振り返った。

『 去年男に振られて、あんたにあたりちらしちゃったこと、謝るわ。
  そしてあんたのかわりに、エミ所長の所でかおりや洋子、あんたに負けないよう私も修行するわ。
  そしてあんたよりいい男、絶対見つけてやるから!! 』



その後、タイガーと水樹は、神野神社に戻り、タイガーは高校の卒業式に出席する・・・・・・











「 そこのカ〜ノジョ! お茶しない? 」
「 横島さん!! いい加減にしてください!! 」

横島を呼んでしまったことを後悔するおキヌであった。



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