ザ・グレート・展開予測ショー

幼馴染SS『遠い背中』 −後編−


投稿者名:veld
投稿日時:(03/ 5/15)




 河原にしゃがみこんで、ゆらゆらと揺れる水面を見た。
 映し出される月はおぼろげ、それでも、美しさは変わる事無く。

 二人の思い出を示すものがあったなら―――。
 あなたの名残を見つけられたのかな?

 「・・・いないんだ、もう・・・ここには」

 そんなもの―――ないから。

 見上げた空、雲は流れてた。

 「あれ・・・?」

 月の上、影が映った―――飛行機の影。

 きらきら、赤と蒼の点滅、その輝きは、月の前では無粋に見えた。
 自己主張が激しい、まるで、彼の様。
 思わず、飛行機にまで重ねてしまう自分に苦笑しつつ―――。

 あの飛行機に乗っているかもしれない―――こんなことを考える。

 「ナルニア・・・遠いなぁ・・・」





 遠いけど。
 諦めたくないよ。
 距離なんて―――関係ないから。

 「・・・うん、頑張るっ!」
























 その夜。進路を変えようかと真剣に熟考する一人の女子高校生がいたことを明記しておく。

 「ナルニア・・・大学あるのかしら・・・って言うか・・・ナルニア語覚えなくちゃいけないじゃない・・・くっ、せっかく東京弁をますたーしたのに・・・今度はナルニア語だなんて・・・」
































 ナルニアにて、彼の両親と彼女が出会い。

 彼女が彼の嘘に気付くのも―――また、明記しておく。










 そして―――後日談





 彼は照れ笑いを浮かべて―――俯いた。―――冴えない言葉を呟きながら。
 望むべくならば、その言葉に含めた思いが伝わるように―――そう、願って。

 「・・・夏子、ごめん」

 彼女はきょとんとした表情を浮かべて―――そして、笑顔を浮かべた。
 彼の言葉の真意は分からない、それでも。
 彼が浮かべた表情の意味は分からない。それでも。
 変わる事無く、ずっと、持ちつづけていた思いを、伝えるチャンスがあったから。

 だから、とても、ありふれた言葉を。
 陳腐だけど、とても、単純に伝えられる言葉を。
 今、自分の顔を見ていない彼に向かって。
 恥ずかしいけど、目を逸らさないように。
 だって―――



 「ずっと・・・あなたが好きでした」



 ―――勿論、今でも好きです―――から。

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