ザ・グレート・展開予測ショー

(偽)ルシオラ IN もし星が神ならば!(その5)


投稿者名:湖畔のスナフキン
投稿日時:(03/ 5/15)

『(偽)ルシオラ IN もし星が神ならば!』 (その5)


※ハルカさんの『ルシオラ IN 〜』シリーズの便乗作品です。ハルカさんの作品と間違えないように(偽)を付け加えています。



『こちら公機245、手配中の車両を西四丁目で発見!』
『了解です』
『うわー! 強行突破されました! 応援を願います』
『手配車両の行き先は?』
『現在、通りを北上中!』
『全車両そのまま北に追い込むように追跡。警戒中のパトカーは急行してください!』

 無線機を片手にパトカーに指示を出していたのは、美神であった。

「すごい! 警察が手足のように動いているぞ!」

 彦星が後ろで興奮している。

「こういう違法なことを続けていると、いつか破滅しますよ。美神さん」

 だがおキヌの忠告は美神の耳には入っていないようであった。
 ……いつものことであるが。

「警察はこれでよし! それじゃみんなで先回りよっ!」
「今年で浮気はおしまいだ、織姫!」



 ファンファンファンファン

 10台近くのパトカーが、横島と織姫の乗るコブラを追いかける。

「数が増えてくるばかりじゃ!」
「あああっ! ほっとしたような残念なような──」
「そなた、もっと本気で逃げぬか!」
「いや、そんなこと言われても……」

 横島は期待と不安の入り混じった、複雑な表情をする。

「迷うことなどない」

 織姫の姿がかすみ、変身がはじまる。

「たぎる心の命じるままにすればよいのじゃ」

 織姫はルシオラの姿のままであったが、服装はキャミソールにフレアスカートという最強装備(?)に変化していた。

「……」

 プツン

 横島の中で何かが切れる。

「そこのオープンカーの二人! いい加減に止まれ!」

 その警察の呼びかけに返ってきたのは、一発の珠であった。

 コロン コロン

 その珠がパトカーの下に転がった時──

 ドカーーーン!

 パトカーの下から爆風が巻き起こり、たちまち三台のパトカーがひっくりかえってしまった。

「あーん♪ 素敵よマイダーリン」
「カァァァー!」

 横島の目は血走り、どこか遠くの方に焦点があっている。

「よーーし、追いついた!」

 美神たちの乗ったポルシェ・カブリオレが、ACコブラの横に並んだ。

「ポチー! 正気に戻るでちゅ」
「ヨコシマ、目を覚まして!」
「織姫、今年こそは浮気は許さん!」

 ルシオラ・パピリオ・彦星が口々に叫ぶ。

「ダーリン!」
「カーッ!」

 ドンッ!

 横島はコブラをポルシェにぶつける。

「うわっ」
「キャーッ!」

 後部座席にいたルシオラとパピリオ、そして彦星が車から振り落とされた。

「おキヌちゃん、運転お願い!」

 美神はおキヌにハンドルを渡すと、神通棍をふりかざして織姫に向かって跳躍した。

「この色魔どもめがああっ!」

 美神は全力で神通棍を振り下ろすが、その攻撃はあっさり織姫に受け止められてしまった。

「この人間ふぜいが! わらわに勝てると思ってか!」

 だが織姫は、美神の攻撃を受け止めるために変身を解かざるをえなかった。

「はっ! 俺は今まで何を──」

 織姫の元の姿をみた横島が、正気に戻る。
 しかし横島たちの正面に、ガードレールが迫ってきていた。

 キキーーッ!

 横島は慌てて急ブレーキをかける。
 車の上に立っていた織姫は振り落とされそうになるが、美神を掴んだままジャンプして道路に着地した。

「年に一度のわらわの楽しみ。人の恋路を邪魔するヤツは絶対許さん!」

 織姫は美神の首を掴むと、ギリギリと締め上げていったが──

「誰が人の恋路を邪魔するですって! 人の男を奪って逃げておいて、よくも言えたものね!」

 そこには手からパリパリと火花を散らしているルシオラと、髪の毛を逆立てているパピリオの姿があった。

「デタントがなによ! もぉ絶対許さないわ! いいわね、パピリオ!」
「ペットを拉致されては、飼い主として面目が立たないでちゅ」
「ちっ!」

 織姫は美神を放すと、あわてて受身の姿勢をとる。

「もう勘弁できない! そこよ!!」

 ルシオラとパピリオが、同時に霊波砲を放つ。

 ドーーン!
 バキッ!
 ドガッ!
 ズシャーーン!

 壮絶な地上戦が展開された。


「……止められないでしょうか、美神さん?」
「もう無理だわ。あの二人がああなってしまったら、とても手がつけられないわね。合体したくても横島クンはああだし」

 美神がコブラを指差すと、そこには頭から血を流して気絶している横島の姿があった。
「でもさすがに天星神族ね。あの二人を相手にしてよく戦っているわ。まぁ、もって15分でしょうけど」

 美神の推測は当たった。
 ちょうど15分後、さすがの織姫も力尽きてしまい、ルシオラとパピリオにぐるぐる巻きに縛られてしまった。
 彦星は美神たちに礼を述べると、縛られた織姫を肩に背負い、天界へと帰っていった。


「……気がついた?」

 横島が気絶から回復した時、公園のベンチで横になっていた。
 目の前にルシオラの顔がある。

「……織姫と彦星は?」
「帰ったわよ」
「じゃあ騒ぎは収まったんだな。美神さんは?」
「コブラがガードレールに突っ込んだから、レッカー車を呼びにいってる。おキヌちゃんとパピリオは先に帰ったわ。今は二人だけよ」
「そっか……」

 横島はベンチから起き上がると、地面に膝をつきルシオラに頭を下げた。

「ルシオラ、すまんっ!」
「どうしたの、急に」
「いや、俺があてつけがましくあんな短冊を作ったから、こんな事件が起きてしまったわけだし──」
「いいのよ、もう」

 ルシオラは横島の手をとって、ベンチに座らせる。

「私もなんだかモヤモヤしていたから、今日久しぶりに暴れて少しはすっきりしたわ」
「ならいいけど」
「ねぇヨコシマ、“いい女と情熱的な一夜をすごしたい”って短冊に書いていたよね」
「もう、そのことはいいって」
「私じゃダメかな?」

 ルシオラがコツンと頭を横島の胸に寄せる。

「も、もちろんオッケーさ!」

 横島とルシオラは隣り合って座り、お互いの肩に手をかける。

「こうして見ると、ビルのネオンの明かりもけっこうきれいね」
「お、俺は、ルシオラの顔の方がきれいかなーなんて」

 横島がもじもじしながら、そっとルシオラの横顔を眺める。

「もう仕方ないわね……ちょっとだけだからね」

 二人はネオンの灯りを背景に、そっと口づけをかわした。


(お・わ・り♪)

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