ザ・グレート・展開予測ショー

ひのめ奮闘記外伝T(最終話(後編))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 5/14)












1か月半後。



「おーい!さっちゃん早く早く!!」

「ま、待ってよ!ひーちゃーん!!」

5m程先を足踏みするひのめに息を切らせ走っていく幸恵。
幸恵は『体力ありすぎ』とボヤきながらも笑顔で駆ける。
そして・・・やがて二人の足が止まった。

「来たね」

「うん」

二人の視界に写るもの・・・それは




────六道女学院────

と、彫られた校門。

あれから1か月半。
ひのめは悩みに悩んでついに霊能科への道を選んだ。
表立っては霊能力を将来生かす以上GSライセンスを持っていたほうがいい、
そのためには六道女学院・霊能科の入学は必須と言っているが・・・

(お姉ちゃんの出来て私に出来ないなんてことない!!)

と、いう一種の反骨精神から来ていることも大きい。
それは姉や母に対する憧れの裏返しなのだが、少し素直じゃないとこがあるひのめそれを認めようとはしなかった。
そしてもう一つ・・・悪霊、妖魔を退治するだけではない、魂の救済・・・
それこそがGSの本当の役割ではないかという献身的な気持ちからでもあった。

「ひーちゃん、クラス表もらってきたよ」

「あ、うん。サンキュー」

ひのめは幸恵からもらったクラス表を受け取る。
自分の名前をジーと探す、あった。
『1−B』23番・美神ひのめ。
そして・・

「やった!ひーちゃん!私達一緒のクラスだよ!!?」

幸恵は満面の笑みでひのめ抱きついた。
確かに『1−B』4番・江藤幸恵(えとうさちえ)と書かれている。
ひのめははしゃぐ幸恵を『わかったわかった』と苦笑いで引き離した。
ちなみに中学3年間同じクラスなのでこれで4年連続同クラスとなる二人。

「私達以外に知り合いはいないみたいね」

「う〜ん・・・普通科だと何人かいたんだけど・・・あ、そう言えば知り合いじゃないないけど珍しい苗字の人ならいたよ」

「誰?」

「え〜と、これ13番のさんせ・・いん?」

幸恵は見慣れない苗字の読みに眉をしかめる。
そんな親友に助け舟を出すようにひのめもクラス表に目を通した。

「ああ、これ三世院(さんぜいん)って読むのよ。三世院ってGS界じゃかなりの名家だからね〜
 六女に入ってきても不思議じゃないか」

「ふ〜ん、ひーちゃん詳しいね」

「まっね」

一般家庭に育った幸恵にとってGS界に対して深い知識は持っていない、
ひのめはというとまがいなりにも母、姉、そして義兄がGSな為少なからずその手の情報は入ってくるのだった。

「あら〜?ひのめちゃん〜。よかったわ〜うちの学校に来てくれたのね〜〜」

「あ、冥子さ・・・じゃない、校長先生おはようございます」

馬の式神、インダラにまたがって現れたのは現・六道女学院校長六道冥子だった。
冥子は11年前に鬼道政樹を婿にとり今では男の子と女の子を一児ずつもうけ母となっている。
その格好は入学式の挨拶もあるということで煌びやかな洋服に身を包んでいた。

「はぁ〜、毎年のことながら緊張しちゃうわ〜・・・でも、ひのめちゃんの顔見れたら〜なんか安心したわ〜」

「そ、そうですか・・・・・あ、あの!一つ聞きたいことがあるんですけど!?」

「ん〜?な〜に〜?」

冥子は笑顔で首でかしげるが、ひのめは何か緊張した面持ちで言葉を吐いた。

「わ、私って何で受かったんですか!?
 霊力試験じゃ確実に合格レベルに至ってなかったと思うんですけど!?」

「ひ、ひーちゃん!」

ひのめの言葉に驚いたのは幸恵だった。
入学した今でもそれを気にしていることに・・・
いや、それだけひのめとってこれは問題だった、母や姉の口ぞえや同情などで入学するなら浪人したほうがマシ。
そんなこと思うのも一本気なとこがあるひのめらしかった。
冥子はう〜ん・・・と少し考えると・・・

「え〜とね〜・・・ひのめちゃんは〜かわいいから合格にしたの〜〜」

「はぁっ!!!?」

冥子の突拍子もない言葉に口を大きく開けるひのめ。
そんなひのめが面白いのかクスクスと笑みを浮かべながら冥子は言葉を続けた。

「な〜んて、冗談よ〜冗談〜♪・・・あら〜?もうそろそろ行かなきゃ〜じゃあまたね〜」

テクテクと歩くインダラを操り去っていく冥子。
ひのめはその後姿を呆然と送るしかなかった。

「何か、妙なテンポの校長だったね・・・」

「う、うん・・・」

苦笑いしながら顔を合わせる二人・・・そこへ


ピンポンパンポーン・・・

『まもなく、六道女学院入学式をはじめます。新入生、父兄、来賓、関係者の皆様は体育館にお集まり下さい』



「と、そろそろ行かなきゃ!」

「了解了解」

アナウンスの声に少し慌てて駆け出すひのめと幸恵。
途中、金髪にカールという珍しい髪型の同級生とすれ違う。
このつり目の少女が三世院京華(さんぜいん・きょうか)と知るのは2時間後のHRのこと。


六道女学院・霊能科入学・・・


これがひのめの人生を運命を大きく変える。
挫折も栄光も、悲しみも喜びも、泣き顔も笑顔も・・・
全てを味わうことになるひのめ──────でも、今の想いは・・・







───────守る!強くなる!私は世界最高のGSを超えてみせるんだっ!!─────────



未来と自分を信じて走るひのめの奮闘がここから始まる──




4月初旬・・・
心地よい陽気の中───
六道女学院の校庭に桜の花びらと春風が吹き抜けた・・・・




                  



                                 ひのめ奮闘記外伝T   完







────────────────────────────────────────

あとがき


終わった・・・。
まず、ここまで読んでくださった読者の皆さん本当にありがとうございます!
そして、今回いろんな冒険をさせてくれた矢塚さんありがとうございます!
あなたのリクが無ければこの作品は生まれませんでしたm(__)m

そして、ごめんなさい^^;
ひのめがGSになりたい理由っていうコンセプトが微妙にズレてますね(六女に入る理由になってるっぽい)
爽やかに終わらせたつもりですがよく考えるとここからひのめの挫折(本編)が始まるわけで・・・


さあ、次回からはやっと本編後半が始まります!
これからも精進するので『ひのめ奮闘記』をよろしくお願いしますm(__)m

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