とら、トラ、虎!17) 修行の成果!
投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/13)
時は流れ、エミとの約束の期日まであと2日となった、2月27日。
高校3年生のタイガーは、3月1日に卒業式をむかえていた。
タイガーはあれからずっと神野神社で修行を続けていた。
そして3ヶ月以上にわたる精神修行によって、過負荷状態となった霊力を開放し、潜在能力を引き出す時がついにやってきたのだ。
■神野神社 本堂前■
「 2人共、一瞬でも気を抜くな。 力を引き出せなかったら、この数ヶ月は無駄になるものと思え、ええな! 」
「「 はいっ!! 」」
雪の降るなか、いつもの迷彩服を着たタイガーと、巫女の衣装を着た神野水樹は、竹刀を手にした神野父の前に立っていた。
本堂にはタイガー達を見守る早苗と神野母、そしてなぜか学校妖怪教師メゾピアノことメゾピーもいた。
「 2人共、霊力を開放しろ! 」
ゴゴゴゴゴゴッ
「「 は―――――っ!! 」」
タイガーと水樹の体から、凄まじいまでの霊力が放出された。
《 ほう、これはこれは。 》
「 なんて気だべ! 」
メゾピーと早苗はその霊力に驚いた。
「 こ、これがワシの霊力! 」
「 ・・・・・・いくぞ!! 」 <フッ>
「 !?!? 」
バキィーーーッ―――――――――−−‐ 「「 グオッ !!! 」」 ズザッ
「 タイガーさん!! 」
神野父の姿が消えたかと思うと、一瞬のうちにタイガーを霊気のこもった竹刀で胴に一閃し、タイガーを吹き飛ばした!
そして水樹はすかさず、手にした榊(さかき)の枝で精神攻撃を行う!
「 永久氷河!! 」
水樹は父に、巨大な氷づけにする幻覚をリアルにみせた!
「 海外に出たこともねえおめえが、永久氷河じゃと!?
テレビ・雑誌で仕入れた程度の情報で、この父に勝てると思ったか!! 」<カッ!>
神野父は逆に無数の虫に囲まれた幻覚をみせる!
「「「 い、いやあーーーーーーっ!! 」」」
―――タイガーと水樹は神野父と戦った。
2人は得意の精神感応を駆使し、神野父に幻覚をみせるが全くといっていいほど、通用しなかった。
一時的にとはいえ霊力の増している2人を相手に、神野父は余裕だったのである。
そして、2人の体力・霊力が限界に近づいてきた頃、水樹の力が開花する・・・・!
「 えいっ!! 」 パアアーーーッ
水樹振りかざした榊の枝が光を放ち、その波動が神野父をはじき飛ばした!
「 えっ? これって・・ 」
いまだ榊の枝が光を放っている。
「 そ・・・・それぞ神野家に伝わる、榊に神霊が宿る御神体、【御霊代(みたましろ)】!
精神攻撃を主体とする神野家が、対悪霊との戦いに用いた技だ。
その光を解き放てば、どんな悪霊をも撃滅させることができるだろう。 」
「 エミさんの霊体撃滅波みたいなことが出来るってことカイノー。 」
「 なしてもっと早く教えてやんないべ? 」
《 フッ。 自力で習得してこそ、価値があるというものさ。 》
早苗とメゾピーはそんなことを話していた。 そしてタイガーと神野父が対峙する!
「 さて、残るはおめえだけだ。 このまま終わるか? 3ヶ月の苦労を無駄にすて。 」
「 ・・・・・・! 」
『 そうジャ、ワシはこのために・・・・・・この日の為に頑張ってきたんジャ!
そう、エミさんに認めてもらうため・・・・・・エミさんのお役に立つためにワシは!! 』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
タイガーの霊力が、強く握りしめた両コブシに集中され、両手が光りだす! そして徐々に形づくっていく・・・・!
「 こ、これはまるで、横島サンの【栄光の手】(ハンズ・オブ・グローリー)!! 」
タイガーが手をひろげて精神を集中すると、指先1本1本から爪のように、20センチぐらいの霊気の爪が伸びていた。
そして神野父は、戦いの構えを解いた。
「 いままで霊力の塊で殴りつけて攻撃してきたが、精神集中によりその殺傷能力ははるかに増したはずだ。
その感覚を忘れるな! さすれば精神感応を多用しようと、必ずコントロール出来る! 」
「 は、はいっ!! 」
「 その力、お前の名の通り、【虎の爪】(タイガークロー)と名づけるがいい! 」
「 ははっ!! 」
神野父に頭を下げるタイガー。
「 やったな、タイガー、水樹ちゃん! 」
ぱぱらぱ〜♪
《 成長した君たちに祝福の曲を贈ろう。 》
水樹に飛びつく早苗とラッパを吹くメゾピー。
「 ヨッシ! これでエミさんに顔向けできる!! 」
◆
翌日早朝、タイガーと水樹は東京へと向かった。
■東京の道端■
電車を降り、六道女学園女子寮に向かう途中、一文字と同じ年ぐらいの金髪の女子高校生が言い争っていた。
「 だからしつこいんだよ!! 」
「 なんだとてめえ!! 」
「 だいたい中学の時に決着はついてるだろ! 」
「 あんなのは無効だ! あんときは悪霊が足を引っぱったからじゃねえか! 」
「 バカ! だから私が助けた時点で決着がついてんだろ!!
いいか、私はもうあの頃の私じゃないんだ。
GS試験にも合格したし、ケンカなんかやってる場合じゃないんだよ。 」
ムカーッ
「 な、なんだとー! 」
「 ったく、これからダチを迎えにいかなきゃいけねえってのに、あーあ、完全に遅刻じゃんかよー。 」
とそこにタイガーと水樹が一文字に声をかけた。
「 一文字さん、どうしたんカイノー。 」
「 あ、タイガー! 水樹も! 」
「 ただいま。」
「 元気そうじゃねーか!
いま迎えに行こうとしてたところなんだぜ! 修行のほうはばっちりなのか!? 」
「 ええ、なんとかね。 」
「 まあ、みててくだされ! 」
「 それじゃあみんなも待ってるし、寮に帰ろうぜ。 」
ピシッ
「 あ、あたいを無視するなーー!! 」
ばしいっ!
タイガーは、一文字になぐりかかった金髪の少女のパンチを片手でうけとめた。
「 !? 」
「 危ないノー。 一文字サンに何をするんジャ。 」
「 うっせえんだよ!! 」<どすっ>
金髪の少女のパンチがタイガーのみぞおちにもろにはいった。 しかし、タイガーはほとんど動じない。
「 うっ・・・・・・やめてツカーサイ。おなごがすることじゃないケン。 」
たじっ
「 なっ、あたいのパンチを・・・・・・ばけもんかこいつ! 」
すたたたーっ
「 ちっ、おぼえてろよーーー!! 」
金髪の少女は、そう言いながら去っていった。
「 何なんじゃ、あのおなごは。 」
「 むかしのライバルだよ。 さっきひさびさに会ってよ、あの頃はよく町のシマを争っていたもんさ。 」
遠い目をする一文字。
「 町のシマって、一文字さんいったい・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(汗)」
水樹はそれ以上聞かないことにした。
◆
■六道女学園女子寮■
その後、六道女学園女子寮にやってきたタイガーは、寮の食堂でエミをまっていた。
エミを待つ間タイガーと水樹は、一文字ら寮生たちと、自分達がいない間におこった出来事をいろいろ聞いていた。
仙香と春華がGS見習いとして、エミの助手になったこと、
ピートが高校卒業後、唐巣神父のもとを離れ、イギリスに半年間研修にいくことなど。
そんな中、D組キョンシー使いの春華が、タイガー達に質問してきた。
「 あんたたち、本当に強くなったの? 」
「 えっ? 」
「 だって、いくらあんな修行をしたからって、そんな劇的に強くなれるとは思えないのよ。 」
そこに水樹の同僚でもあり一番の親友でもある、G組の霊体触手の使い手、仙香が水樹に提案した。
「 そうね、私も試してみたいと思っていたところよ。 水樹、私と試合をしましょう。 」
「 えっ!? そんな、仙香まで!! 」
「 タイガーはこのあとエミおねーさまとの試験があるし、力を使うわけにはいかないでしょ?
一緒に同じ修行をしてきたあなただからこそ、試しがいがあるんじゃない。
友人としても、あなたがどれだけ成長したか、興味があるわ。 」
「 う・・・・・・友達なら手加減してよね。 」
■寮内 霊的格闘グラウンド■
こうして水樹は巫女服、仙香は黒装束の霊衣を着て、寮内にある霊的格闘グラウンドにでてきた。
この場所は以前、ネズミのネクロマンサーと戦ったことがあった場所でもあった。
ここは半径5メートルの特殊な結界魔法陣が常に設置されており、このなかではすべての物理攻撃が無効になる。
すでに多くのギャラリーが集まっている。
「 水樹、用意はよくて? 」
「 ええ・・・・・・。 」
「 2人とも用意はいいわね。 ・・・・・・では、始め!! 」
「 いくよっ!! 」
「 ひっ!! 」
春華の合図と共に、仙香が霊気のこもった拳で水樹に襲いかかる! 寸前でかわした水樹は、榊の枝を光らせる!
パアアーーーッ
「 み・・・・御霊代(みたましろ)!!! 」
「 なにっ!? 」
ズザア――――――ッ!
仙香はラインぎりぎりまで弾き飛ばされる!
「 なに、いまの!? 」
「 ふっふっ、水樹サンの新ワザジャケンノー。 」
驚く一文字。
「 あまいわ水樹! 」
水樹に跳びかかる仙香!
「 クッ! それならもう一度! 」
水樹は再び榊の枝を光らせる! ・・・・・・だが、全霊力をこめた仙香の拳は、弾かれることなく水樹にヒットする!
「 キャアアッ!! 」
水樹は結界外にとばされ、勝負は決した。 仙香の元に寮生が集まる。
「 さすが仙香さん! 」
「 かっこいい! 」
「 なによ、修行ったって、大したことないじゃない。 」
そう寮生達は語った。 しかし仙香は・・・・・・
『 違う、私もエミおねーさまのところで鍛えられているけど、水樹の成長度ははるかに大きいわ。
さっきの技でも、一度受けただけで霊力をごっそり失ったし。
もし2度目の攻撃が入らなかったら・・・・・・フッ、これは私もうかうかしてられないわね。 』
「 水樹サン・・・・・・ 」
「 うっ、仙香に勝てるとは思ってなかったけど・・・・・・でも悔しい!! 」
BURO――――N
とそこに、バイクでエミがやってくる。
「 エミさん・・・・・・ヨッシャ! 次はワシの番ジャ! 」
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今までの
コメント:
- ■17話 後書き■
神野父が行った修行内容は、猿神の修行を参考にしています。
そして今回出てきた“金髪の少女”というのは、原作24巻で一文字の回想に出てきた不良少女のことです。
彼女のことは、“とら、トラ、虎!”を読んでくださるなかで、心の隅にでもとめておいてください。
追伸:「煩悩の部屋」にて私が描いた、「新生除霊委員!」のイラストが掲載されました!
10話から今回までの主な出演メンバーをそろえてみましたので、
メゾピアノがどんな奴か忘れた方は、そちらの方を見て思い出していただければ幸いです。 (ヴァージニア)
- 今回目を見張ったのはなんといってもタイガークローです(笑
20センチってけっこう長いですよね・・
・・あ・・あんまり関係ないですね。ごめんなさい(笑
ついにタイガーの戦闘が・・・原作で目立てなかった分を挽回してほしいです。
ヴァージニアさんは絵もお上手なんですね〜多才でうらやましいです。
自分も描きたいです・・上手な絵・・(爆 (かぜあめ)
- ふふふ…あいかわらずネタがカブる(笑)といっても、今回はありがちだからでしょうが(笑)カブったのはタイガーの爪。こちらは名無しで、精神世界で使った上にもう一回使うかどうかも未定…というかタイガー自体出番があるかどうか(笑) (MAGIふぁ)
- かぜあめさん、お褒めの言葉をいただきありがとうございます。 なんだか照れます。(笑)
マイナーキャラ一筋(?)の私としましては、ほとんど描かれていないようなキャラをこれからも描いていていきたいと思います。
機会があればまた見てやってください。 次回は多分、あの少女です。
それと横島が初めて“栄光の手”を使ったときの霊気剣が1メートルぐらい伸びていたので、タイガーの爪はこのぐらいの長さにしてみました。
ご質問があれば、どんどんお聞きになってください。 できる限りのことはお答えしていきたいと思います。 (ヴァージニア)
- MAGIふぁさん、再度読んでいただきありがとうございます。
同じキャラクターを同じ時期に扱うと、どうしてもかぶってしまうことは致し方ないと思います。
トラの武器といえば、爪か牙か雄たけびぐらいのものですし。
今後もかぶることがあるかと思いますが、
同じキャラを推進し、共にタイガーの幸せを願う者として、これからもがんばりましょう! (ヴァージニア)
- いえ、すでに私のほうのタイガー救済計画は一応の成功を収め、終了しております。彼の事は、よろしく頼みましたよー。 (MAGIふぁ)
- よろしく頼まれました! MAGIふぁさん、了解です! (ヴァージニア)
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