ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎!16) 新生除霊委員 出動!


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/12)


■神御呂地高校 3年B組■
年が明けた1月、3学期始業式の放課後。
タイガーのクラスメイト達が帰宅する中、同級生の氷室早苗がタイガーに声をかけた。

「 タイガークン、水樹ちゃんはまだこっちにいるんだべか?。 」
「 ああ、そうじゃが。 」
「 あのコ確か、3学期になったら東京さ戻るって言ってなかったか? 」
「 そういやそんなこと言っとったが、なんだかそのへんうやむやになっとるようジャ。
  多分オヤジさんの神野師匠に、残って修行するよう止められとるんジャロー。
  転校届も親の許可がいるようじゃしノー。 」
「 ふーん・・・・・・。 」

ぴんほんぱんぽ〜ん

〈 除霊委員のみなさん、至急音楽室に集合してください。 〉

「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 」
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 」

校内放送の呼びかけに黙り込むタイガーと早苗。

「 なんだべ? 除霊委員って? 」
「 そんな委員あっただか? 」

クラスに残ってたほかの生徒はそんな話をしていた。
すると早苗は自分のかばんに荷物を片付けだした。

「 なあ、今の 」
「 タイガークン、さっさと帰るべ! 」

〈 除霊委員のみなさん、至急音楽室に集合してください。 〉

再び同じ放送が流れた。
早苗は片付け終わると、教室を出ようとした。

「 サ、早苗サン、これひょっとしてー 」
「 なにしてるだ、あんたもさっさと荷物まとめて――――― 」

そこに3度目の放送が流れた。

〈 除霊委員のタイガー寅吉クン、氷室早苗クン、神野水樹クン、至急音楽室に集合してください。 〉

「 名指しで呼んどるがー 」
「 ・・・・・・キッ! あんのナルシス野郎! 」

早苗は走って教室を出て行った。

「 あ! 早苗サン!! 」

タイガーも後を追いかけた。




■放送室■

〈 あー、早苗クン早苗クン、委員長の早苗クン、至急音楽室に来てください。
  早く来ないと、キミの幼き頃からの数々の思い出話でもしてしまいますよ?

  ・・・・・・・・・・・・・そう、あれは早苗クンが6歳の時でした。
  小学校に入学した早苗クンは、それはそれは活発な女の子でした。
  ある日早苗クンが友達と校庭でボール遊びをしていた時、同じクラスのヤマちゃんが・・・・・・ 〉


ドヴオ―――――――ッ

「「「「「  こんのバカキザ妖怪―――――――――――――!!!!!  」」」」」


突然放送室に侵入した早苗が、マイクの前にいた男を殴り飛ばした! そして放送するスイッチを切った!

「 ふざけるのもタイガイにせんと、わたすもしまいには怒るべ!! 」
「 もう怒っとるようじゃが・・・・・・ 」
《 さ、早苗クン、集合場所は音楽室のはずだが? 》
「 やかましい! どう考えてもおめえを止めるのが先やろ、メゾピー! 」

早苗が殴った男は、原作11巻に登場した、学校妖怪メゾピアノことメゾピーで、この神御呂地高校の教師でもあった。

《 フッ、なかなかいいパンチしてるね早苗クン。
  だがこれでも僕はここの教師だよ。 先生を殴るとは、ひどいじゃないか。 》
「 生徒のプライベートを学校中に公開することのほうがよっぽどひどいわーーー!! 」

怒りまくる早苗を、タイガーがなだめていた。

「 まあまあ、メゾピーも悪気があったわけじゃ・・・・ 」
「 あったに決まっとるべ!! 」
《 ひどいなあ早苗クン。 僕がそんな妖怪に見えるかい? 》
「 見える! 」

早苗はきっぱりと言った。

「 と、とにかくジャ、メゾピー、いったいワシらに何のようなんジャ? 」
《 それはだね・・・・・・あ、水樹クンが音楽室で待ってるようだからそこで話そう。 》
「 わかるのか? 」
《 フッ、僕はピアノの近くにいる人の気配ぐらいは、離れててもわかるようになったのさ。
  早苗クン、これもキミの霊媒体質の力で、パワーアップさせてもらったおかげだよ。 》
ギロッ
「 その割には感謝の心が足りてないようだべな。 」
「 まあまあ早苗サン。 」




■音楽室■
タイガーが早苗をなだめた後、3人は音楽室へと移動した。
そこにはメゾピーの言うとおり、神野水樹(もと六女G組の黒髪長髪少女)がいた。

「 あ、みんな! さっきの放送なんだったの? 」
「 こんのバカがバカしただけだ。 」

あごでメゾピーをしめす早苗。

ははは
《 ひどいなー早苗クン、ちょっとしたイタリアンジョークではないか。 》
「 やかましい! 」



タイガー、早苗、水樹の3人はパイプ椅子に座り、メゾピーはピアノの椅子に座った。



「 ・・・・・・それでワシらを呼んで、いったい何の用なんジャ? 」
《 うむ、我が神御呂地高校除霊委員としての活動内容としてだねー 》
「 ちょっと待つだ! 」
《 なんだね委員長。 》
「 だから委員とか委員長とかいつの間に決まっただ! わたすらは誰も委員に入ったわけではねえべ! 」
「 これは大いなる意思なのだよ早苗クン、キミ達は運命の中にいるのさ。
  そう、これは運命! ベートーベン交響曲にも匹敵する我が魂のディスティニーーー!! 」
「 バカなのかキザなのかはっきりしろ! 」

酔いしれるメゾピーにつめたく突っ込む早苗。

「 早苗姉ちゃん、もういいじゃない。 とにかく聞くだけ聞きましょう。 」
「 ふんっ! 」
こほん
《 話を元に戻そう。 本日キミ達に集まってもらったのは他でもない。
  除霊委員としての活動内容は悪霊を除霊することにある。 ・・・・・・だが!
  この学校付近には、倒さなくてはならないほどの悪霊の存在は確認出来ないのだ! 》

水樹と早苗が答える。

「 まあ村だからね。 人も少ないし、死んで悪霊になりそうな人は都会に多く出てくるものよ。 」
「 それにだ、去年おキヌちゃんがここら辺の悪霊連れて、東京さいったもんだから、
  ここら辺に潜んでいた自縛霊やらなんやら全部着いていっちまったんだべ。 」
《 そ、そうなのか? 》
「 たまに悪霊が出ても、わたすの父っちゃが退治してくれるしな。 そもそも除霊委員なんて必要ないんだべ。 」
《 そ、そうだったのか・・・・・・ 》
ぱんぱんっ
「 はーい、というわけでおひらきおひらき! さっさと帰って神社の掃除でもするべ! 」

早苗は手をたたいて帰ろうとすると、校長先生が入ってきた。

「 メゾピー先生! 校庭に悪霊が!! 」

「「「 !! 」」」
ばっ
《 除霊委員! 出動!! 》

メゾピーは、胸のポケットに入ってたバラの花を、意味なく天井に放り投げた。




■校庭■
≪ クオオオオオオオン!! そのカラダヨコセーーーーー!! ≫

ドクロの姿をした悪霊の魂が、校庭に残ってた生徒を追い掛け回していた。
かけつけたメゾピーがタイガー達に指示を出した。

《 さあ、行くんだ! タイガークン、早苗クン、水樹クン! 》
「 ワシらはちょっと・・・・・・ 」
「 早苗姉ちゃん、お願いね。 」
「 え? 」
《 どうしたんだね、キミ達。 》
「 ワシら師匠に、修行中の間は霊力使うこと禁止されとるんジャ。 」
「 一度でも使うと、今までためてきた霊力がリセットされちゃうから。
  あれぐらいの霊なら、メゾピーと早苗姉ちゃんだけでも充分でしょ? 」
「 しょうがねえな、わたすにまかせろ。 」
《 フッ、早苗クン、残念ながら僕の力では――― 》
バッ
「 誰もおめえに期待なんかしてないから安心しろ! 」

そう言うと早苗は悪霊に向かって飛び込んだ!

「 はああああああ! 悪霊退散!! 」 <カッ>

≪ ソンナ・・・・・・せっかく戻ってきたのに・・・・・・!! ≫

早苗は懐から取り出したお札に、悪霊を吸引した!
実はこの悪霊、以前おキヌの体を乗っ取ろうとしていた霊団のボスで、美神たちにこっぴどくやられたことがあった。
ほとんどの力を失い、かろうじて元いたこの学校へと戻ってきたのだが・・・・・・今となってはもうどうでもいいことだろう。

バシュウーーーーッ

「 よっし、秒殺だべ♪ 」
「 さっすが早苗姉ちゃん! 」
「 す・・・・すごいノー、一発でしとめた! 」
《 見事だ! ビューティフルだ、早苗クン! 》

早苗がタイガー達のところに戻ってくる。

「 まさか一瞬で倒すとは思わなんだ! さすがおキヌちゃんのお姉さんジャノー! 」
「 へへへっ、まーな♪ 」
《 さすがだ早苗クン、僕の目に狂いはない。 》

メゾピーの目が怪しく光った。


                            ◆


■3年B組■
そして翌日の昼休み。 そこにまたも校内放送が流れた。

ぴんほんぱんぽ〜ん

〈 除霊委員のみなさん、至急音楽室に集合してください。 〉

「 早苗サン、また・・・・・・ 」
「 はあーっ、無視すっと後で何言われるかわかったもんでないからな。 タイガークン、行くべ。 」

ため息をつく早苗。 さらに校内放送が続く。

〈 我が除霊委員は、氷室早苗クンの除霊のサポートをしてくれる生徒を募集します。
  学年、性別は問いません。 霊能力がなければ、後ろで応援してくれるだけでかまわない。
  いま入会すれば、早苗クンの特大ポスターをプレゼント!
  なお、入会のお問い合わせは、ビューティフルピアニストティーチャー、
  【ピエール・ザ・ジェントルマン・リトルボーンフイッシュ・ガングニール・
   ミッシング・パーフェクト・リップクリーム・13世・オア・ジュルビエール―――――】 〉

「 なんか名前がますますおかしなことに・・・・・・ 」

タイガーの横にいた、早苗の肩がふるえだす。

「 サ、早苗サン!? 」
「 あんのバカキザ妖怪・・・・・・! 」



■放送室■

〈 ―――――そうだ、僕の演奏も聞かせてあげようではないか!
  そう、僕と早苗クン、教師と生徒の禁断の愛のシンフォニー! あははははははははははははは!! 〉


ずごごごごごごごごごごごごごご

メゾピーの背後には鬼神と化した早苗がいた。





















・・・・・・・・・・・・数分後、放送室には、見るも無残にボロ雑巾と化したメゾピーが横たわっていたという―――――



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