ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎!14) 人骨温泉の地鎮祭(前編)


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/10)


■神御呂地高校 3年B組■
 タイガーが転校して2週間、期末試験も終わり、もうすぐ冬休みとなったある日の放課後、タイガーと早苗の教室で、水樹(もと六女G組、心理攻撃が得意の黒髪長髪少女)も含めた3人が話し合っていた。

「 地鎮祭? 」
「 んだ、去年の死津喪比女(しずもひめ)事件で、御呂地村の人骨温泉ホテルが壊されちまったんだ。
  んでようやくホテルの再建工事がはじまるだよ。 」 (20巻P127参照)
「 あー知ってる!
  東京中を花粉だらけにしたこの辺りの地霊よね? おキヌさんがその事件で生き返ったんでしょ。 」
「 そっ、あのときは西条さんやエミさんからテレパシーをうけて、銃を持った式神を探すのに苦労しただ。
  式神を見つけたとたんにホテルが壊れたから危なかっただ。 」
「 わ、ワシもその場におったケン! 」
「 えっ? 」
「 いや、だからワシもエミさん達とここにこようと、ヘリコプターに乗っとったんジャ! 」
ぱらぱらっ
「 え、どこにもいないわよ。 」

水樹は単行本の19,20巻を見ている。

「 よく見てくれ! 20巻の99ページと109ページ!! 」

水樹と早苗は単行本を見て見ると、スミのほうにタイガーがいた。

「「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(汗)」」
「 なっ、ワシもあんときは戦かっとったんジャ! 」

水樹と早苗は、セリフもなく、なんの役にも立ってないタイガーが哀れで何も言えなかった。

「 と、とにかくだな、明日父っちゃが地鎮祭を行うだ。水樹ちゃんたちも見にこねえか? 」
「 うーん、お父さんの了解がとれたらいいけど。 」
「 わしもこの前えらい怒られたからノー。」
「 怒られたって、いつ? 」
「 その、転校初日の夜にな――― 」





■タイガーの回想■

「 なに、力を使っただと? 」
「 は、はい・・・・・・。」

転校初日の夜、タイガーと神野父が神社本殿の中で、正座して向かい合っている。

「 その、【メゾピアノ】の姿を確認するために、一瞬だけ精神感応を。 」
「 バカモン! わしは霊力を使うことを禁じておったはずだぞ。 」
「 す、少しだけならと思い、つい・・・・・・! 」

「 ・・・・・・わしがおめえに霊力使用を禁じておったのは、霊力を溜めることで一種の過負荷状態にするため。
  数ヶ月溜めたところで一気に霊力を開放し、潜在能力をひきださせ、強靭な精神力を会得させるためだ。 
  霊力は日頃から使用し、鍛えていかねば衰えてしまうものだが、
  霊力を使わずに精神修行を行えば、最大霊力値は少しずつだが増していく。
  霊力を開放させた時点で、なにも潜在能力をひきださせなければ、
  おめえのこの1ヶ月がすべて無駄になるとこじゃったんだぞ! 」

「 師匠がそんな考えをお持ちだったとは知らずワシは・・・・! 」
「 まあ、今回は妖怪を具現化させる程度じゃったから、
  さほど霊力は消費せんかったはずじゃが、明日からは気をつけい、いいな!  」
「 は、ははっ!! 」
(回想終わり)





「 ・・・・という訳なんジャ。 」
「 そっかー、私、あの程度なら大丈夫だと思っていたから。 」

《 うんうん。 それはすまない事をしてしまったね。 》

「「「 !!?? 」」」

いつのまにか、学校妖怪の【メゾピアノ】こと、【メゾピー】先生が教室にいた。
あいかわらず、タキシードを着て、口に薔薇をくわえている。

「 メゾピー!! あんたなんでここにいるだ!? 」
《 教師が教室にいても不思議ではなかろう。
  それに僕の名前は【ピエール・ザ・フランソワーズ・カトリーヌボンボワージュ・
  ブルゴーニュ・ゼルテーニョ・クッキングマスター・ファッチューチョンメルシー・
  ストレートフラッシュ・13世・サンシャイン・ガブリヨリ・・・・・・じゃない、ガブリエール――― 】》

パコン  =☆

早苗がどこから取り出したのか、ハリセンでメゾピーを叩く!

《 な、なにをするのだ!? 仮にも教師を! 》
「 やかましいメゾピー! この前と名前が違がっとるべや! 」
「 でも“13世”はかわらんのジャノー。 」
「 なにか意味があるのかしら? 」

早苗がふと、何かに気づく。

「 そういやおめさ、ピアノのそばにいなくていいのか!? 」
「 そ、そうジャ、愛子サンもいつも机のそばにおったしノー。 」
《 早苗クンのおかげでパワーアップしてしまってね。
  楽器のそばにいれば、愛子クンみたいに自由に移動できるんだ。 》
「 楽器って、おめさ、なんももっとらんではねえか。 」
《 これさ。 》

メゾピーはポケットからハーモニカをとりだした。

《 いまはいろんな楽器に興味があってね。 携帯にはこれが一番さ。 》

ぷあぱらぱらぱらら〜♪
そういうとメゾピーはハーモニカを吹きだした。 早苗はかばんを手にした。

「 ・・・・・・バカはほっといて帰るべ。 」
《 待ちたまえ、早苗クン! 》
「 なんだべ? 」
《 僕も地鎮祭に出席させてもらうよ。 》
「 はあ? なしておめえが? 」
《 僕が除霊委員の顧問で君たちが委員だからさ。 》
「 なっ!? だれが決めただ、そげんこと!? 」
《 僕がいま決めた。 》
「 ・・・・・・・・・・<ぷちっ>! ひとりでやってけろ! タイガークン、水樹ちゃん帰るべ! 」

教室から出ようとする早苗。

《 だから待ちたまえ、まいしすたー! 》
「 だからその呼び方やめてけれって言ってるべ! 山田君にでも聞かれたら誤解されちまうだ! 」

ピクッ
その言葉に反応する水樹。

《 水樹クン、地鎮祭とはなにか知っているかね? 》
「 え、ええ。 地鎮祭(じちんさい)は建物を建てる前に、土地の神さまをお招きし、
  施主や工事関係者が、工事の無事を祈りながら神々に建築するゆえを奉告することが地鎮祭で、
 (とこしずめのまつり)とも、地祭り(ちまつり)などとも呼ばれてるわ。 」
ビシッ!
《 えーくせれんと! さすが水樹クン! 》

メゾピーは人差し指を水樹にむかって指し示した。

「 ほえ〜、水樹サン、すごいノー。 」
「 えへへっ♪ 」
「 そったらこと、神社の者なら誰でも知ってるだよ。 」
《 早苗クン、この地の神は誰だか知ってるかい? 》
「 知ってるべ。 わたす、会ったことがあるし。 」
「 えっ!? 」

驚く水樹。

「 直接わたすが話したことはないけど、その神様のおかげでメゾピーにもしたみたいに、
  おキヌちゃんに霊力エネルギーを流しこんで、反魂の術で生き返らせることができたんだ。 」
《 たしかこの地には、死津喪比女という土地神より強力な地霊が存在し、
  ここを支配していたはずだ。ところが1年前――― 》
「 おキヌちゃんが地脈から切り離されたことで復活。 んでかわりに地脈と結びついた霊が今の神だ。 」
《 して、その神様の名は? 》

「 【ワンダーホーゲル】だ。 」

《「「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 」」》

沈黙するメゾピー・タイガー・水樹。

《 ・・・・すまないが、もう一度言ってくれたまえ。 》
「 だから、【ワンダーホーゲル】だ! 美神さんたちはそう呼んでただ。 」
「 これはまた、新しい名前をつけんといかんノー。 」
「 さすがに神様にまで変な名前をつけるわけにはいかないでしょ。【山の神】ってことで、いいんじゃない? 」
《 水樹クン、それでは僕の【メゾピー】という名前はやっぱり・・・・ 》
「 ああっ! 深く考えないで、深く!! 」

落ち込むメゾピー。 しかしすぐに立ち直る。

《 フッ、とにかくその、【山の神】に会っておきたいんだ。 この地に住む学校妖怪としてね! 》
「 ・・・・わかっただ。 ただし、邪魔はすんでねえぞ。 」
ばっ
《 おお、さすが早苗クン! わが除霊委員の委員長!  》
「 ちょっと! かってにへんな役職つけんでけろ! 」

メゾピーは両手いっぱいにひろげてみせていた。


                                  ◆


■学校の帰り道■
その後、タイガー、早苗、水樹の3人は、バス停まで一緒に帰っていた。
早苗は、死津喪比女事件のことを話していた。

「 んでな、そんとき横島さんの霊波刀で、死津喪比女の新芽にざくっと突き刺してやっつけたんだ! 」
「 くーっ! さすが横島サン! わっしの大親友ジャ!! 」
「 ・・・・・・おめさ、横島とはただの同業者でなかったべか? 」
「 いやーワシが東京に来たとき、初めての友達が横島サンだったんジャ。
  それ以来、ワシらはいつも共に戦ってきたんジャ! 」

早苗がジト目でタイガーをみている。

「 水樹ちゃん、こいつに風呂覗かれたり、セクハラされたりされなかったべか? 」
「 エッ!? 」
「 ちょっと早苗サン! なんで急にそんなこと聞くんジャ!? 」
「 あの横島の親友と言われたら、疑ってかかるのがふつうだべ! 」
「 横島サン、いったいなにをしたんジャ?(汗)」  
「 あんの男、初対面のわたすにいきなりキスしようとするし、
  抱きつこうとしてくるし、あげくのはてに風呂を覗くんでなくて、お湯の中に潜ってたんだべ!
  わたす、全部みられてたと思うと、いまでも寒気がするべ! 」
「「 ・・・・・・・・・・・・。(汗)」」
「 やっぱ男は山田君みたいに紳士でいかんと! 」

水樹は意を決して早苗にたずねる。

「 ねえ早苗姉ちゃん、山田先輩とはうまくいってるの? 」
かあっ
「 ま、まーな。 なんだかんだで1年付きあっとるしな。 」
「 ・・・・・・そう、よかったね! 」

水樹は笑顔でこたえた。

「 水樹ちゃんもいい男みつけるだ! ただし、こんな東京の男を除いてな。 」
「 はあ・・・・・・ 」
「 早苗サン! 東京の男がみな横島サンみたいなのとは思わんでクレ!
  だいたいワシはもともと東京の人間ジャないケン! じゃべり方でわかるじゃろー!!  」
「 さ、いこ、水樹ちゃん! すけべがうつってしまうべ! 」
「 あっ! 」
「 ま、まってクレー! 」

水樹の手をひっぱる早苗。 おいかけるタイガー。 そして水樹は・・・・・・


『 早苗姉ちゃんが幸せなら、それが一番よね・・・・・・私も頑張らなくちゃ! 』


水樹は心の中で、初恋に決着をつけた。
小雪が降る中、たわいない会話をしながら帰宅する学生3人であった。



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