ザ・グレート・展開予測ショー

傷ばかりの天使!!(その3)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 5/10)

「ん・・・・・・。」
目が覚めたメイドは、ゆっくりと体を起こす。
辺りを見回すと、どうやら森の中らしい。
空は暗く、星々が綺麗に輝いている。
前を見ると、ボンネットの隙間から白い煙が出た車と、
その横で口論をする横島と西条の姿があった。
「君のせいで、僕の車が故障してしまったではないか!どう責任をとってくれる!?」
「仕方ねぇだろーが!!黒ずくめの車に追われてたんだから!!
それに、何でスポーツカーにしたんだよ!!四駆にしろ!四駆に!!」
「車の価値もロクに知らない君には言われたくない!!」
「何だと〜!!」
互いに睨みあう2人。
どうやら、黒ずくめの男たちの仲間に追われていたらしい。
「あ、あの・・・・。」
恐る恐る声をかけるメイド。
「ん?あぁ、目が覚めたようだね。」
2人がメイドの方を見る。
「あの、貴方方は・・・・?」
「僕はオカルトGメンの西条という者だ。で、隣にいるのが・・・・。」
「初めまして、正義の戦士、横島忠夫と言います。」
いつの間にか横島は、彼女の両手を握っていた。
ビュッ!!
「のわっ!?」
紙一重で、西条の持つ霊剣"ジャスティス"の一閃を避ける横島。
「状況というものを考えたまえ、横島クン!!」
「仕方ないだろーが!!こんなに可愛いんだから!!」
再び口論を始める2人。
「・・・・・・・。」
ただ、呆然とするメイドであった。





「私の名はアメリヤ。アメリヤ・シルクハイトと言います。」
小さな切り株に座ったアメリヤは、ペコリとお辞儀をする。
「で、何で君が黒ずくめの男に連れて行かれそうになったんだい?」
「実は、口封じのために男たちが、私を殺そうと、車に乗せたんです。」
「何だって!?」
「私は、アリス王女様、リナ王女様に仕えるメイドなんです。」
「!!」
驚く2人。
「王女様たちを誘拐した犯人を目撃した私は、誰かに伝えようとしたのですが、捕まってしまい・・・・。」
「犯人を知っているのか?」
「はい、隣国の、バルチザン王国の者だと思います。」
「!! バルチザン王国だと!?」
「? 何だソレ?」
「阿呆で無能な横島クンに説明するとだね・・・。」
「おい、だれが阿呆で無能だ!!誰が!!」
その横島を無視し、西条は説明を始めた。
「バルチザン王国。ザンス王国に次ぐオカルト技術を持つ王国だ。」
「そう言えば、ずっと前に、キャラット王女が言ってたな。ザンス製品の売り上げが落ちているって。」
横島は、前にあったザンス国王暗殺未遂事件のことを思い出した。
「そう、バルチザン王国は、ヨーロッパの科学力や技術力を使い、オカルト製品を量産している。
しかし、そのために品質は落ちていて、ザンス製品の方が、信頼性が高いんだ。
しかも、バルチザン王国は精霊石が採れないため、精霊石を輸入するしかない。」
「!!そうか、だから2人を!!」
「そうだ、隣国で、しかも精霊石が採れるメタリア王国。これを利用しない手はないだろう。」
「なるほど・・・・。」
「で、アリス王女様とリナ王女様は?」
「バルチザン王国にある、大きな古城に監禁されています。」
アメリヤがそう答えると、2人はスッと立ち上がった。
「よし、居場所が分かった!早く助けに行こう!!」
「おう!!待っていてください、アリス王女、リナ王女!!この横島忠夫が救い出して見せます!!」
いきり立つ横島。
「・・・・・・。」
それを呆然としながら見るアメリヤであった。





その頃、バルチザン王国にある古城の一室では・・・・。
「あぁ、白馬に乗った王子様!早く私を救いに来て!!」
目をキラキラさせる少女。
メタリア王国第二王女リナ・ルア・メタリアである。
「やめなさい、リナ。見っとも無いですよ。」
椅子に座り、読書をしている女性。
メタリア王国第一王女アリス・レア・メタリアである。
「いいじゃないの。こんな事思ってさ。」
ニッと笑うリナ。
「それに、白馬に乗った王子さまは、全ての女性の夢なのよ!?」
目をキラキラ輝かせながら、力説するリナ。
「白馬に乗った変態じゃなければいいんですけどね・・・。」
さりげなく毒舌を放つアリス。
ドテッ
それが聞こえていたのか、その場にコケるリナ。
「そ、そんなコト言わないでよ・・・・。」
苦笑いしながら、起き上がるリナ。
捕らわれの身でありながら、ほのぼの(?)とした様子を、2人は見せていた・・・。





ブロロロロロ・・・・
「おい、西条!!もうちょっとイイ車はなかったのか!?」
「バカ言うな!!これしか無かったんだ!!」
小さなレンタカーショップで借りた、ボロボロのビートルに乗りながら、2人は喧嘩していた。
後部座席には、大量の武器弾薬が入った箱。
それに大量の破魔札が置いてある。
ブロロロロロ・・・・
ゆっくりとしたスピードで進むビートル。
バルチザン王国まで、あと数キロである・・・・。


続く

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