ザ・グレート・展開予測ショー

今を生きる(2)


投稿者名:キリランシェロ
投稿日時:(03/ 5/ 9)

「はあ〜お腹すいた〜」
タマモが外に出てしばらく歩いたあとの最初の第一声はそれだった。
すでに昼時でサラリーマンなどがラーメン屋とか定食屋といった店に入っている。
歩いているとタマモは『そば/うどん』と書かれた店を見つけた。
「ここで食べよっかな」
タマモはためらうことなく速やかに店の中に入っていった。
「らっしゃい!」
「きつねうどんね」
タマモはそう言ってカウンター席に着いた。
「お〜い今食ったのと同じやつもう一杯くれ!」
ちょうど同じカウンター席に座っている男が追加をとった。
タマモはちらっとその男の方を見た。
季節があわないであろう黒のロングコートを着た背の低い目つきの悪い男だった。
(あっ目があっちゃった・・・)
タマモはその男から目をそらした。
「おい、あんた・・・」
その男が声を掛けてきた。
タマモは少々あせったが顔には出さずに対応した。
「何よ」
「あんた・・・人間じゃないだろ」
男は小声で言う。
冷静な目で、少し目を細めてその男を見る。
「だったら何?私が妖怪だとして退治でもするの?」
タマモも小声で言う。
「へい!お待ち!!」
テーブルの上にきつねうどんが置かれた。
タマモは表情を変えてきつねうどんに箸をつける。
うどんの上にある油揚げを齧り幸せそうな顔をする。
それを見た男は気を悪くしていないようで、突然笑い出した。
タマモはその笑い声で我に返った。
「なるほどな、あんたが横島が言ってた油揚げ好きな妖狐ってわけか」
「何あんたあいつの知り合いなの?」
「まあ、俺の数少ないダチだ」
「・・・ダチって友達のことよね。友達はよく選んだほうがいいんじゃない?
あんなアホでスケベな奴でなくさ・・・」
「なるほど、妖狐のじょーちゃんはあいつのそんなとこしか見てないんだな」
「よ・・・妖狐の・・・じょーちゃん?」
「まあ気にするな、あいつはすごい奴だぜ。あいつがやろうと決めてできなかったことはないんだからな」
「あいつってそんなにすごいの?」
「決めたことをやり遂げられるってことはすごいことだと俺は思うな。
まあ・・・あの時は・・・あいつ一人が大きな傷を残したけどな・・・」
男の前にそばかうどんが置かれた。
男は箸をつけながら言葉を続ける。
「俺はあいつと肩を並べたい。あいつが苦しんめば俺はあいつの隣で一緒に戦う」
タマモは思った。
(・・・何があったか知らないけど、あいついい友達持ってるんだ)
「・・・おっといけね・・・いつのまにか俺の話になっちまった」
男がそう言った時にはタマモは既にいなかった。
勘定を支払ったためである。
「・・・何で俺はあんなことまでしゃべったんだ・・・」
男の名は雪之丞といった。



今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa