橋姫伝説 その15
投稿者名:弥三郎
投稿日時:(03/ 5/ 9)
美智恵と太秦が戦っているところ、横島は呆然としていた。
周りでは反乱軍司令部に向かってSASが突入している。いたるところで硝煙の臭いと霊波の嵐が吹き荒れていた。
神通根で戦っていた美神が横島を呼びに来た。
「横島クン、あなた何ぼさっとしているのよ!!そんなことやっている間に悪霊に取り殺されるわよ!!」
「(ぼそ)美神さん……………」
「横島クン?今なんて言ったの?」
「ルシオラ……死んでしまったら……」
よく見ると横島は肩を震わせて自分自身を抱きしめるように身を縮めていた。
またルシオラを失うかもしれない。
その考えが今の横島の頭の中を占めているのだった。
「横島クン、ルシオラは無事よ。けろっとした顔で帰ってくるわよ。」
「美神さん!!軽くそんなこと言えるんですか?!またルシオラがいなくなってしまったら俺……」
「……………………」
美神は何か言いたくても言えなかった。
あまりにも横島が痛々しかったのも事実だが、まさか自分に向かって食って掛かると思ってもいなかったからだ。
だが、このまま済ませるわけにはいかないと思った美神は強硬手段に出ることにした。
ばきゃっ!!
「何するんですかっ!!」
「いつまでメソメソしているのよ!!ルシオラをこんな目にあわせた奴らをぶっ叩くのが先じゃないかしら!!」
美神は出来うる限りの喝を横島に叩き込んだ。
そして不安を怒りなどに変換させて戦力の確保を狙ったのも美神の考えであった。
しばらく呆然としていた横島は頬を緩ませて答えた。
「そうですね、美神さん。出来うる限りの事やってルシオラが無事なのを祈るしかないっすね。」
そういった横島は今枝に敵がこもっている敵司令部に向かって走っていった。
「まったく、世話焼かせるわね。ルシオラ、あなたが羨ましいわ。」
美神の呟きは風の中に消えていった。
一方、西条達がいる連合軍司令部では次々と入ってくる吉報に沸いていた。
美智恵たちが宇治駐屯地に突入したとき、京都駅にヨーロッパからの援軍が到着。
すぐに西側から敵に向かって奇襲攻撃を行い成功。敵は潰走に向かっているとのことだ。
それに対してアメリカ海兵隊オカルト部隊が追撃に向かっているとの情報が入っている。
西条は結界を守りきったことに安堵感を覚えていた。
「よし、このまま反乱軍を押さえ込むんだ。そうすれば結界の心配はしなくてすむ。」
「しかし、西条司令官。なんだか私嫌な予感がするんですが。」
補佐官の一人が不安を打ち明ける。
「実は私もでね。どうしてこんなに早く戦線が動くのか疑問なのだ。」
『それについては問題にはならんでな。むしろ太秦が発動しようとしている技の方が危険じゃ。』
「陛下、いつから……」
『ついさっきじゃよ。男が発動する技のことで言っておきたいことがあってな。』
「敵の部隊が問題にならないと言うことは……」
『うむ、マインドコントロールを行った奴の肝っ玉が小さいことしか考えられんわ。
大きく被害が出る事を恐れて部隊を下げ始めたんだが失敗したというのが本当のところじゃろうて。』
そこまで言うと後醍醐天皇は太秦が行おうとしている技について説明し始めた。
それを聞いているうちに西条の顔は険しくなり危機感が募っている事を示していた。
「陛下、わかりました、感謝します。オペレーター、全軍に伝えろ。即刻部隊を後退させるように伝えろ。
そして強力防御結界の中に退避するようにとな!!」
美智恵と太秦の戦いはやや太秦が優勢であった。
剣術に秀でている上に力がある。これだけでも十分厄介なのに霊力までが美智恵のを上回っているのだ。
それにもかかわらず美智恵はよく戦っている。今まで戦ってきた経験が物を言っているのだろう。
また2人の剣が交わる。そのまま鍔迫り合いの力比べとなった。
「美神さん、あなたと戦えた事を光栄に思う。あなたのような素晴らしい人はそういない事だろう。」
「褒め言葉として受け取っておくわ。だけど、あなたが言わんとしていることは、『新政府に参加してくれ』でしょ?
言ったじゃない、遠慮するって。」
「完璧にふられましたな。」
太秦はそういうとククッと笑った。
美智恵は微笑み返して冥土のお土産に持って行けと言わんばかりに太秦を蹴り上げた。
太秦のみぞおちにクリティカルヒット。太秦はむせ返りながら美智恵との距離をあけようとする。
しかし、美智恵はそれを許さず追い討ちをかけるように斬撃を立て続けに太秦に浴びせかける。
辛うじてすべてをかわしきったが最後の1撃で剣を弾き飛ばされてしまった。
「勝負あったわね。あなたの負けよ。」
「勝負?まだ決まっていないよ。私にはこれがあるんだからな!!」
太秦は突き出された神通根を弾き飛ばしバック宙返りで美智恵との距離をとった。
「一体何する気なの?!」
美智恵は急に始まった霊力の異常集中に驚いて太秦に問いかけた。
「私の切り札だ。」
太秦はそう言ってなにやら文言を唱え始めた。
『古より伝わりし炎の指輪よ。我が名、太秦了祐の名においてそなたが契りし者を召喚せよ。いでよ、サラマンダー!!』
その掛け声とともに大きな火竜、サラマンダーが出現した。
そしてサラマンダーは大きな咆哮をあげるとあたり一面を焼き尽くし始めた。
その炎の前で美智恵は呆然とするしかなかった。出来ることといえば忌まわしい契約を行った太秦に
哀れみの目を向けることだけであった。
今までの
コメント:
- あ゛、誤字発見(汗)
誤:今枝 → 正:未だ
なのであしからず(汗) (弥三郎)
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