ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎!12) 続・高校生日記!!(前編)


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/ 8)


■神御呂地高校 3年B組■
タイガーと水樹はまず職員室に行き、担任の先生と共に、水樹は2年A組、タイガーは3年B組の教室へと向かった。

「 ―――というわけでみんな、顔に怖がらず、仲良うするべや。 」

ホームルームが終わり、担任の先生は教室を出た。

「 なあ、東京ってどんな所だ!? 」
「 でかいガタイしとるべー! 」
「 何しにこんな山奥の学校にきたん!? 」

タイガーの紹介が終わり、担任の先生が出て行くと、生徒達が一気につめよってきた。
こんないなかの学校に、転校生は珍しいらしい。

「 へえー、神野神社にいるんだべかー。 えらい遠いとこから来とるんやのう。 」

ぴくっ
離れた席で、タイガーの話を聞いていた、1人の女子生徒が反応した。

『 神野? あの子も来てるんだべか? 』

その女子生徒は人だかりになってるタイガーの所へ近づいた。

「 なあ、ひょっとすて、水樹ちゃんも来とるんだべか? 」
「 あ、ああ、2年A組におるはずじゃが―― 」
「 そっ。 」

そういうと彼女は教室を出て行った。

「 知り合いなんかノー。 」
「 ええ、彼女のうち、神社やってるからね。
  隣町、須藤町の神野神社とは昔から付き合いがあったみたいよ。 」



                           ◆



■2年A組の教室■
水樹(もと六女G組の黒髪長髪少女)は、今朝再会した中学時代の友達と教室で話していた。

「 でもあのタイガーって人、でかいわりに暗そうよねー。 」
「 目つきが怪しいべ。 まさに野獣。 」 
「 年ごまかしてるんじゃない? 」    
「 ははは。(汗)」
    『 ひどい言われようね。 』
「 水樹、ほんっとにあの男と何でもないのね? 」
「 だからそういってるでしょ! 」
    『 ううっ、まだいうかこいつらー! 』

「 水樹ちゃんいるー? 」

教室の外には、1人の上級生が水樹のことを探していた。

「 あっ! 早苗姉ちゃん!? 」
「 ! 」

上級生を見た1人の女生徒が、水樹に耳打ちをした。

「 水樹、あの人よ。山田先輩の彼女。 」
「 えっ? 」

水樹は廊下に出た。

「 水樹ちゃん、元気そーだな、くるならもっと早く教えてほしかったべ。 」
「 うん、それが昨日急にきまっちゃってさー。 連絡する間もなかったのよ。 」
「 ん? 水樹ちゃん、しゃべり方かわったな。 すっかり東京さの言葉になってるべ。 」
「 うん、あっちの生活長かったから。 」
「 そういえばなんで、六女(六道女学院)やめて、戻ってきたんだ? 」
「 それは・・・・・・話すとながくなるから、また今度にね。 」
「 ふーん・・・・・・。 」

き〜んこ〜んか〜んこ〜ん

「 おっといけねえ、次の授業が始まっちまうだ!
  あ、それと水樹ちゃん、放課後に手伝ってほしいことがあるんだけど。 」
「 え? 」



                          ◆


■3年B組■
その日の放課後。

『 水樹サンも友達との付き合いもあることじゃし、先に帰るかノー。 』

「 タイガークン、ちょっと頼みがあるんやけど。 」
「 えっ? 」

話しかけたのは、朝、水樹のことを聞いてきた女生徒だった。

「 おめえ、GSの助手さやってたんだべ。 ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど。 」
「 そりゃ、かまわんがー。 」
「 それじゃあちょっときてけろ。 水樹ちゃんにはもう言っとるから。 」
「 水樹サンも? 除霊の仕事なんかノー? 」
「 うーん、ま、そんなとこだ。」
「 わかった。 ワシでお役に立つのなら何でも手伝うケン! 」
「 よし、きまりだ。 わたすは氷室早苗! よろしくな! 」



                          ◆



■音楽室■
そのあとタイガーと早苗は、音楽室の前へとやってきた。
そこにはすでに、水樹と音楽の先生が待っていた。

「 ――それで手伝うことってなんなんジャ? 」
「 なかを見てけれ。 」

早苗がそういうと、扉を開けた。
すると、だれもいないのにピアノの音が聞こえた。


ちゃりらりらんっ♪ちゃりらりらんっ♪ぱらぴれぴれぽらぽろんっぽっぽん♪


「 誰もいない………。 」
『 どっかで聞いた音ジャノー。 』
「 アレを見てけろ。 」

早苗の指差す先にはピアノがあり、人がいないのにピアノは勝手に動いていた。

「 あ、あのピアノ、誰もいないのに勝手に動いてる………!? 」
「 いや、いるべ。 姿は見えんけどな。 」

『 なんか前にもこんなことがあったような………どこじゃったかノー? 』

「 先週からずっとこうなのよ。 これじゃ授業もできやしない!
  じゃ、先生は用があるから、頼んだわよ除霊委員! 」
「 ……勝手に妙な役職ふらんでけろ! 」

『 これもなつかしい! ……あ、そうジャ! 』

「 わたすのちからでずっと説得しとるんだども、こいつちっともどかねえだ!
  おい、おめさ! いい加減にどっかいってけろ! 」

誰もいないピアノに向かって叫びだす早苗。

「 ………なんだと! こったらかわいいコの言うことがきけねえのか! この、ナルシス男! 」
「 あの〜早苗姉ちゃん、私には全然見えないんだけど………。 」
「 わたすにもほとんど見えねえ。 テレパシーで直接話しかけてるだ。
  “霊視ゴーグル”があれば見えるだども、あれ高いからなー。 」
「 あのー、ワシこの妖怪知っとるケン。 とりあえず、姿を見えるようにするケンノー。 」
「 えっ!? 」


「  メゾピアノ!! 出てきんシャイ!!  」<ボッ>


キイイインッ ピシパシッ
タイガーはそういうと、瞬間的に精神感応を使い、霊を見えるようにした。
すると、ピアノのイスに、タキシードを着てバラをくわえた長髪の男が現れた。

「 見えた! 」
「 ウッ!? 」
「 あんた、どうしただ!? 」

タイガーが急にひざをつき、しゃがみこんだ。

「 まさかこいつがなんかしただか!? 」
「 い、いや、なんでもないケン。 それより……。 」

3人はピアノに座る男に注目する。

ぱんぴれぱんぴれ ぴれりろりん♪
《 なんだい君は、びっくりするじゃないか。 僕の曲を聴きたいのなら、もっと静かにしてくれたまえ。 》

「 なんなの、このひと……。」
「 こいつは【メゾピアノ】っていう学校妖怪で、
  学校に入ってピアノを弾く、ただそれだけのはた迷惑な妖怪ジャ。
  前にワシの学校にもでたんじゃが、まさかこんな所にきてたとはノー。 」

ぱらぽれぱらぽれりん♪
《 ほう、君は僕を知っているのか? 》            (メゾピアノ:11巻参照)
「 前に愛子さんのおった学校で会ったじゃろ。 」
《 ふっ、僕は醜い顔は覚えないことにしているんだ。 》
「 そげんこと、お前に言われるまでもないわーーー!! 」
「 まあまあ。 」

タイガーをなだめる水樹。 そこで早苗がお札を取り出した!

ばっ
「 思ったとおりのキザな男だな! わたすのお札でやっつけてくれる! 」
《 あっはっは。 いくら早苗クンの能力が強かろうと、僕には勝てない。 》

にゅるりんっ
メゾピアノはそう言うと、ピアノの中に入ってしまった。

「 あっ、卑怯だぞおめえ! 男ならきっちり出てきて勝負しろー!! 」
「 ねえ、前はどうやって退治したの? 」
「 いや、それがのう、ピアノを弾いて勝負したんじゃが、
  ピートさんの天才的なオンチによって、学校を出て行ってくれたんジャ。 」
「 なによそれ・・・? 」
「 つまり、メゾピアノを認めさせるぐらいにピアノを上手に弾くか、下手に弾くかのどっちかしかないんジャ。 」
「 なるほど。 そんじゃ、テキトーに下手に弾いてみるべ! 」

そういうと早苗はイスに座り、ピアノを弾きだした。


ぼん!ばん!びん!ぼん!ばん!びん!びびん!ぼぼぼん!


早苗は力任せにピアノを弾いた。 しかし・・・・・・

《 あはははは、これは傑作!
  そんなに力任せに叩いて壊してしまえば元もこもないよ、早苗クン。 》

ピアノの中から声だけが聞こえた。

《 それに音楽の成績が2≠フ君なら、わざわざ下手に弾く必要もないんだよ。 》

かあっ///
「 あんたなんで知ってるのさー!! むかー! こいつ絶対おいだしてやる!(怒)」
「 早苗姉ちゃん、おちついて………! 」
「 水樹サンはピアノは上手なんかノー? 」
「 私にふらないでよ。 ピアノなんてほとんど弾いたことないんだから。
  要は授業のある昼間だけ、弾くのをやめてくれればいいわけでしょ? そう彼に頼めない? 」

ぴんぽれぱんぽんぴんぽれぱわぽれ♪

《 僕は弾きたい時に弾かせてもらう。 それが僕の美徳なのさ。 》

『 うーむ、害はないんじゃから退治の必要もないし、
  こんなことでわざわざピートさんを呼ぶのもなんだしノー………………そうか! 』
「 メゾピアノ! 」
《 なんだね。 汚い声で私の名を呼ばないでくえたまえ。 》
むかっ
「 いい加減にせんと、ピートさんを呼ぶケンノー。 」
ぴくっ
《 なに………? 》


ピアノを弾く音が止まり、メゾピアノは口に咥(くわ)えていた薔薇を落とした。



【8.3KB】                           [後編に続く]

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