ザ・グレート・展開予測ショー

今を生きる(1)


投稿者名:キリランシェロ
投稿日時:(03/ 5/ 8)

「ふう〜」
タマモは見ていた雑誌をテーブルに放り投げた。
「暇ね」
いつもなら今いるこの事務所で暇になることはない。
いつもならアホでスケベな代名詞といえる男がアホなことをするのを観察したり、
その男の弟子と言っているバカ犬とささいなことで口論したりしているので暇になることはまずない。
男のほうは珍しく学校に行っているため不在、バカ犬のほうは散歩に出かけた。
この事務所にはあと二人いるのだがその人らも各々の事情でいない。
そんなため事務所にいるのはタマモ一人である。
「ねえ、人工幽霊一号、何か話しない?」
『話・・・ですか』
「そ」
『そう言われましても共通の話題を探すのはいささか困難で何を話せばいいのやら』
「いつもだったらアホな行動をとるスケベ男を見てて退屈はしないんだけどね」
『・・・横島さんのことですか?』
「そ・・・」
タマモは両手を頬にあてて考えるポーズをとる。
「そういえばあいついつも同じ日に休みもらってるのよね・・・美神さん休む理由もきかないで休ませてるみたいだけど・・・なんでか知ってる?」
『まあ・・・知ってはいますが、私から言うのはちょっと・・・』
「なんで?」
『何といいますか・・・あの人も心に傷を持っているんですが・・・』
「え?心に傷?」
タマモは目を丸くして聞き返す。
『あの人にも辛いことがあるんですよ』
「でも・・・あの行動が・・・その心に傷を持ってる人のすることなの?」
『彼は以前と同じ行動をとることで周りの人達を心配させないようにしてるんです』
「そうなんだ・・・じゃあアホでスケベな行動は演技ってこと?」
『そういうことになりますね』
「あいつがね〜」
『知りたいという気持ちはわからないわけではありませんが本人が言い出すまでは
その・・・』
「心の傷にふれないように・・・でしょ」
『はい』
「それくらいわかるわよ・・・」
『・・・・・・・・・』
「あのさ・・・」
『はい?』
「私も散歩に行って来るわ」
『わかりました、お気をつけて・・・』
外は暖かく風が心地よかった。

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