ザ・グレート・展開予測ショー

10年後・・・・奥さんは誰だっ!?(前編)


投稿者名:ハルカ
投稿日時:(03/ 5/ 6)




“・・・・・東京、池袋で改装工事が行われていた
 サンシャイン60の悪霊占拠事件が発生してから30時間が経過し・・・・・”



「駄目だっ!!
 大規模な除霊器具を使用しようとすれば悪霊どもは活性化し、
 ビルの中に取り残された人達を攻撃する恐れがあるっ!!!!」

「チクショウ!!!!
 ヤツらもそれが分かっててビルに取り残された人達を人質にしてるんだっ!!!!
 どうすれば・・・・どうすればいいんだっ!!??」



時は西暦2009年、東京――――
アシュタロスによる核ジャック事件から10年が経とうとしていた。
アシュタロスの消滅という形で終焉を迎えたあの事件は
神・魔のパワーバランスを大きく崩す事態を引き起こし、
結果として人間界における悪霊・魑魅魍魎の発生件数を飛躍的に引き上げる事となった。

約30時間前に発生した悪霊による高層ビル・サンシャイン30の
乗っ取り事件も今や、さほど珍しい事件ではない。



“・・・・・オカルトGメンと民間GSの共同作戦による
 懸命の除霊・救助作業もむなしく高層ビルに取り残された
 人々の生還のめどは未だ立っておらず・・・・・”



そして、そんな困難な除霊作業や凶悪な悪霊による事件に対応するために結成された
特殊プロジェクトチームが召集され――――今、ここ東京に集結する。






「精霊石と破魔札のストックを確認しろ!!!!
 急げよぉ!!この様子じゃビルの中はそうとう荒れ狂ってるぞ!!!!」

――――プロジェクトチームのエース・伊達雪ノ丞――――



「まずはビルの中に取り残された人達の安否の確認だ!!
 ビル内部の生命反応を確認!!急いでくれ!!!!」

――――冷静沈着、バンパイアハーフの司令塔・ピエトロ=ド=ブラドー――――



「ワッシの精神感応で一時的に悪霊達を混乱させて突入できませんカノー?」

――――荒ぶる野性・タイガー寅吉――――



「それよりもビルの中の見取り図を用意してくれたまえ!!
 時間をかければかけるほど人質が危険にさらされることを忘れるな!!!!」

――――伝説のGS、美神美智恵の意志を継ぐ男・西条輝彦――――





いずれも世界に誇る日本GS界の精鋭達であり、
ここ数年のプロジェクトチームの業績は目を見張るものがある。
・・・・・が今回ばかりはそうもいかない様子だ。


「・・・・おい、西条。
 この現場、どう見るよ?」

「・・・・・やっかいだな。
 思ったよりも悪霊達に統制がとれている。
 おそらく雑霊を操っているボス格がいるんだろう。
 そして人質がいる、これが最悪だ。」

悪霊の知能は低いものが多く、たいがいはバラバラに行動しているものである。
だが、たまに高い知能を身につける悪霊が現れる。
そしてその悪霊が多くの雑霊を配下に従えたとき、被害は計り知れない。
それに加え、悪霊による凶悪事件が増大した昨今においても規格外の規模の悪霊の数と
ビルの中に取り残され、人質となっている人々の存在が
今回のケースの除霊をより困難にしている。

ヤツらは分かっているのだ、人質がいる限り強行突入はできないことに。


「・・・・・クッ!!
 大規模な結界や除霊道具を使用すればヤツらを刺激する事になる・・・」

「ワッシの精神感応ならボス霊の目をくらまして数人くらいなら突入できますケン。」

「この悪霊がウジャウジャいる中をか?
 ボス霊の目をくらましても他の雑霊は容赦なく僕達を襲ってくるんだぞ。」


八方ふさがりだ。
打つべき手が見つからない。

今、悪霊達に気付かれないように遥か遠くから少しづつ・・・少しづつ
出力の弱い結界で悪霊達の力を奪っているが突入可能な状態になるまで
すくなくとも12〜15時間・・・

そのときに――――何人生き残っているか・・・・・


「・・・・・それでもやるしかねえんだよ!!!!
 俺達を必要としている人達がこのビルの中にいるんだっ!!!!」
(もし・・・もしもこんな時にアイツがいたら・・・
 俺の悪い癖だな・・・まだ俺はアイツに頼っているのか・・・・)



アイツ・・・・どんな絶望的状況下においても
天才的な機転と行動力で状況をひっくり返すワイルド・カード。



「横島・・・・・横島忠夫はどこにいるんだ・・・・・?」

一人のオカルトGメン隊員がつぶやいた。

10年前のアシュタロス核ジャック事件を筆頭にどこかで悪霊による凶悪事件が起これば
必ず駆けつけて何とかしてくれる――――それが世間の横島忠夫に関する感想だろう。

この隊員も例外ではない。
英雄と謳われた男に期待を抱いてしまう事は仕方がない事なのかもしれない。


だがそんな思い、期待がその男を追い詰める。

期待されれば・・・・・助けを求める人がそこにいれば
その男は戦場に何度でも舞い戻ってしまう。自らの命もかえりみずに。


だから英雄は戦場を後にした。


「アイツを・・・・呼ぶのか?
 アイツは自らの意志で現場を離れたんだ。それを再び戦場に引き戻すのか・・・・?」

「頼むっ!!!!
 この状況を打破できるのは・・・・・
 取り残された人たちを救えるのはアイツだけなんだ!!!!」



それは雪ノ丞の悲痛な呟き、Gメン隊員の決死の叫び。

戦友を再び戦場に引き戻してよいものだろうか?
だが今のままではどうしようもない現状。




もちろん今までだってアイツ一人で数々の奇跡を起こしてきたわけではない。
それどころかアイツ一人が来た所で何かが変わるわけでもない。

だが――――

アイツには周りを鼓舞する力がある!!
それは絶対的なカリスマ!!
アイツがいるだけで現場に生気がみなぎる。

だから周りが動く。
起きるはずのない奇跡が起きる!!!!
今までも・・・・そしてきっとこれからも!!


「2時間・・・2時間くれ。あいつを説得してみる。」


すまない―――――またお前を迎えにいくぞ。




“現在、サンシャイン60の悪霊占拠事件から
 30時間余りが経過しようとしています―――――・・・”





雪ノ丞はヘリコプターの中でただ一人戦友のことを考える。
――――――その戦友を再び戦場に立たせる為に。



“そんな中、現場を見守る観衆の人々から
 あの英雄と呼ばれた伝説のGSの名前がコールされています!!!!”



雪ノ丞を乗せたヘリコプターは
東京から少し離れた片田舎にある1件の貸し別荘の前に着陸する。


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