ザ・グレート・展開予測ショー

空の助さんからのリクエスト! 〜下着と彼と贈り物と〜


投稿者名:かぜあめ
投稿日時:(03/ 5/ 6)


「美神さん。これどうぞ。」

ドアを開けると同時に、横島がそう切り出した。
「は?アンタが?私に?」
驚いたように声を上げ、そのまま美神は動きを止める。

・・・・なんだ?一体どういう風の吹き回しだろう・・?別に贈り物をもらって悪い気はしないが・・・・、
なんの脈絡もないというのが逆に不気味だ。
美神の頭にいくつか回答が浮かび上がった。

1.この男は今日熱がある。

2.この男が何かをしでかし、これはその取り繕い。

3.単なるイヤがらせである。

・・もう一つは・・・いや彼に限ってそれはないだろう。
・・・・・・・。
横島はゴソゴソとふところを探るしぐさをして・・・、
そこから・・・・・・・
・・そこからブラジャーを取り出した。
ちなみに言えば黒であり、新品であり、パンティー3枚つきというお得セットである。
・・・・・。
・・・・・・・・・とりあえず回答は3に決定だった。




〜下着と彼と贈り物と〜




男の体が宙を舞った。

普通ではちょっと考えられない速度で跳ね上がり、
普通でなくてもちょっと考えられない回転数でその体躯を旋回させて・・・、

「へぶあっ!!」
・・・・・落ちた。

「ちょ・・・・オレが何をしたんですか!?美神さん!!」
・・まあ、何をしたかと問われれば「セクハラを」としか答えようがないが、
とにかく横島は意味が分からないという顔をした。

・・一方美神の顔といえば般若の形相である。
「あんた・・。一体コレはなんのつもりよ・・。」

「?近くの服屋の特売で買ったんですけど?」

・・・・・・。
・・・・・・・・バキッ!!

「な・・なんで殴るんですか!?」

「もう一度チャンスをあげるわ。自分が何を言うべきか・・。よ〜く考えてみなさい。」

・・・・・・・。
横島は悟った。
なんだか知らんが自分が美神の逆鱗に・・・触れるどころか、ハイキックをかましていることに・・。
そして・・・『次はない』ということに・・。
もしも・・・もしもである。『次に』またミスをおかせば・・・、
・・・・・・・・・。
ジ・エンドである。


「あ・・う・・・。」
横島の額にあぶら汗が浮かぶ。
・・・・ストレートに謝り倒すか・・・、何かひねりを加えるか・・。
大体自分はどういう経緯で彼女を怒らせているのか・・。

もう一度ブラジャーに目を落とす。



「・・なんだ・・。そういうことですか。」

「どういうこと?」

何のことはない。ブラのサイズが一回り小さかったのだ。
もう一度取替えに行ってこよう。

・・・・と、その旨を美神に伝えると・・
・・何故か彼女は神通棍を取り出した。

・・・・・・。
(・・オレもここまでか・・。)
遺言の言葉は何にしよう、横島が考え始めたその時である。


「横島さん?もうパーティーの準備できましたけど・・・。」
ひょいっとおキヌが顔を出した。

(ナイスタイミングだ!おキヌちゃん!!)
心の中で小躍りしながらごまかすようにたたみかける。

「そ・・そう。美神さん。じゃあ今日はこのへんにしないと・・ねえ美神さん?」
おそるおそるといった横島の問いかけ。
それに美神は首をかしげた。
「??どういうこと?パーティーって・・・。」

・・・・・。
横島とおキヌは顔を見合わせ・・、
「やだなあ・・、美神さんが忘れてどうするんですか。」
そう言って苦笑した。
「?何の話?」



「今日は誕生日じゃないですか。美神さんの」



・・・あ。

そんな声が部屋に響いた。

         ・
         ・
         ・

「勘弁してくださいよ〜。なけなしの金使ってイヤがらせなんてしませんって。」

さして気にした様子もなく、横島が声を上げる。

・・パーティーはシロとタマモを加えただけの小さなものだった。
それでもテンションが上がりに上がった横島のために相当騒がしくなったのだが・・。

「・・アレを素直に喜ぶってのは無理な話だと思うけど・・。悪かったわよ。少なくとも殴ったことだけは・・。」
そう言ってバツが悪そうに彼女は目をそらした。

横島のプレゼントに対する正解は・・
チラッと浮かんだ4番目。
「純粋なただの贈り物」だったわけで・・・。

・・・。
「でも、おキヌちゃん。よく分かったわね私の誕生日は今日だって。」

「横島さんが言い出したんですよ。いつも世話になってるからパーティーしようって。
 張り切ってプレゼントも奮発したとか言ってましたけど・・。」

・・どんなものをもらったんです?
そう聞くおキヌに・・・
苦笑しながら秘密だと答えて・・・、彼女はすこし目を閉じた。

下着・・・。アイツらしいといえばアイツらしいが・・。
それにしても、もうちょっと・・・。

・・そこまで考え、嘆息した。

そばにいる「彼」に・・わざと聞きとりにくい小さな声で言葉を紡ぐ。
はじめて貰った贈り物への・・・安直で単純で・・しかしこの世で一番きれいな言葉。

普段では絶対に聞けないその言葉に・・、彼は少しだけ目を見開く。

「腹でも痛いんですか?美神さん」

「あんた・・ほんと馬鹿よね。」

鈍感。
もう苦笑するしかないだろう。
意味がわからないという横島の顔を見て、彼女はもう一度言葉を紡いだのだ。

「ありがとう」と。


〜おしまい〜


〜あとがき〜
「ありがとう」って身近な人にほど言いにくいものですよね〜
空の助さんいかがでしたでしょう?他の方もぜひ感想お聞かせくださいね。

作者初の横島×美神SSでした。なかなか難しいんですね〜(笑)
あ・・LOST書かなきゃ・・、veldさんのリクエストも書かなきゃ・・(汗

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa