とら、トラ、虎! 9) 六道女子寮大決戦!(後編)
投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/ 5)
「「 精神感応波 最大出力 !! 」」
トラとの人獣に姿を変えたタイガーは、精神感応力をフルパワーで放出し、悪霊のみに幻覚を見せた。
すると、悪霊の動きが止まり、霊同士が突然、お互いを攻撃しあった。
≪ キエエエッ!! ≫
≪ グガガガッ!! ≫
もちろんタイガーも、エミの笛なしでこの強力な精神波を短時間でもコントロールし続けることは、無理だということを承知していた。
「 え? 何をしたの!? 」
「 霊たちにお互いの霊を敵だと思いこませたんジャ。 神野サン、今のうちに結界を!! 」
「 あ、はい! みんな! 今のうちに聖(ひじり)さんの結界を解除するのよ!! 」
神野の合図と共に、寮生たちがいっせいに結界の解除を試みた。
・・・・・・・・・しかし、悪霊との戦いで霊力を消耗した彼女達にとって、聖 聖羅の使う上級クラスの結界術“非武装結界”の前には成すすべもなく、逆に霊力を吸収されるのみであった。
≪ キキキッ!! オレのザコ霊ヲ幻惑サセタ
骨ノある奴モイルヨウダガ、コノ結界ハ破レマイ!! ≫
聖羅の頭上にいる、ネズミが操る聖羅の口から、ネズミの言葉が発せられた。 そして神野は・・・・・・
『 それにしても、人も霊も混戦しているのに、寮内全ての悪霊のみに幻覚をみせるなんて、
タイガーさんの能力は、私とはレベルが違う――― 』
「 ダメだわ! 霊力のケタが違いすぎる! 」
「 もう逃げましょう!! 」
「 そんな、結界能力者のあなた達があきらめちゃったら! 」
「 神野さん! ただでさえ、私たちと聖さんでは霊力の差が大きいのに、
あのネズミの霊力もプラスされているのよ!
一文字さんみたいに霊出力を上げて攻撃できる人なんて、ここにはいないわ!! 」
『 クッ、ワシはもうダメジャ!! こうなったら、こいつにかけるしかないケン!! 』
そう思うとタイガーは突然、紙が舞う非武装結界の中へと突撃した。
≪ ナニッ!? ≫
「「 うへへへへ・・・・・・・・・ おんなああああああっ !!! 」」
ピシャアアアアアーーーーーッ
タイガーの額から強力な電気が放出され、聖羅の結界の紙を全て焼き尽くしていった。
「 そうか! タイガーさんの暴走で、“ゴクウの輪”から電気が流れたんだわ!
確かこれで9回目だから、電力もかなりのものになっているはず!! 」
プシュウウウ・・・・・・
「 はあはあはあ・・・・・・おかげで、目が覚めたノー。 」
≪ ソンナバカナ!? バケモノかコイツ!? ≫
「 ネズミのくせに、よくもここまで皆さんを傷付けてくれたノー。 」
≪ キィイイイッ!! コウナッタラ キサマヲ操ッテヤル!! ≫
ボッ バチバチバチッ
「 負けてたまるか―――!! 」
再びトラ男に姿を変え、念波をおしかえすタイガー!
≪ キイッ! ナンダ、コイツノパワーは!? ≫
バチバチバチバチ
「「 ヌオオオオーーッ !!! 」」
≪ グワーーーッ!! ≫
タイガーの精神波がネズミの念波に打ち勝ち、ネズミが聖羅の頭の上から落ちる。
と、同時に、聖羅への支配も消え、聖羅はその場に倒れこんだ。
≪ オノレ キサマ・・・・・・ハッ!! ≫
キラーン☆ (←女生徒達の目が光る)
「「「 死ねーーーーっ !!! 」」」
バシュウウッ
ネズミはすでに寮生たちに取り囲まれ、一気に除霊された。
統率のなくなった霊たちもバラバラに散っていき、残った悪霊も寮生たちに祓われた。
「 タイガーさん大丈夫!? 」
神野はタイガーに駆け寄った。
「 ・・・ウッ・・・・・・ウッ・・・・・・・・・・・・オンナーーーーーーー !!! 」」」
「 ひゃっ! また暴走してるーーー!! 」
カッ ピシャア――――――――ッ
「「「 グルアーーーーーーーーーーーーッ !!! 」」」
これまでで、最大級の電圧がタイガーを襲う!
その威力は天地を貫いた。 そして――― <パリィーーン> ―――額の“ゴクウの輪”が壊れた!
「 グルウゥ・・・・・・ 」
「 ・・・・・・タイガーさん? 」
神野はおそるおそる近づいた。
うにゃにゃにゃにゃーーっ!!
「「「 おんなーーーーーーっ !!! 」」」
「「 きゃああーーーっ !!! 」」
タイガーは暴走したままだった! そしていきなり神野に抱きついた!
むぎゅうっ
「 げへへ かわいいねーちゃん!! 」
「 いやああああっ!! あ、ちょっと! みんな逃げないでーーー!! 」
神野をオトリにして逃げる寮生達。
「 ああっ! はじめてがケモノだなんて・・・・・・!
こんなことなら、中学のとき、山田先輩に告白しとくんだったーーー!!(泣) 」
ゴンッ!
「 ぐにゃっ!? 」
タイガーは後頭部に殴られ、神野を放した。
暴走したタイガーが振り返ると、木の棒を持った聖羅がいた。
「 聖さん!! 」
「 私がとめてさしあげます!
あなたに借りをつくったままでは私の気がすみませんわ!! 」
「「 にゃーごーーー!! 」」
「「 !! 」」
タイガーが聖羅に襲いかかろうとしたその時・・・・・・!
<カッ>
「「 いきなり霊体撃滅波―――ッ !!! 」」
・・・・・・・ばたっ
「 ・・・・・・小笠原エミさん。 」
「 ふう、なんとか間に合ったワケ。 」
六女からの連絡によりかけつけたエミによって、タイガーは気絶した。
◆
■六道女学院 食堂■
数時間後、エミやタイガー、神野や聖羅をはじめとする寮生たち一同が食堂に集まっていた。
タイガーは神野に土下座していた。
「 どうもスマンですジャ!! 」
「 それはもういいから、頭あげてよ。
タイガーさんのおかげで死霊使いのネズミを倒せたんだから! 」
続いて聖羅もみんなに謝った。
「 すみません。 私の召喚のせいでみなさんにご迷惑をおかけしました。本当にごめんなさい……。 」
「 オカルトGメンの調査によれば、あの死霊使いが現れたのは、想定外の事だったらしいわ。
結界魔法陣の効力が切れかかっていた事と、たまたま呼んだ霊が死霊使いに喰われたこと、
体が小さいだけに、呼びやすかった事も理由の1つなワケ。
だから聖さん、おたくのせいじゃなくて、たまたま悪いことが重なったのよ。 」
「 エミさん・・・・・・。 」
そこに神野がエミにおそるおそる尋ねる。
「 あのーエミさん、それでタイガーさんはどうなるんでしょうか? 」
「 もちろん、“クビ”よ。 」
「 そんな! 少なくても今日の2回は仕方なく―― 」
「 理由はどうあれ、契約は契約。 男なら潔(いさぎよ)く約束は守ることね。 」
「 うう・・・・・・。 」
落ち込むタイガー。
「 それからおたくは今日中に荷物をまとめてここを出なさい。 」
「「 えっ!? 」」
ざわっ
その言葉に全員驚く。
「 当然なワケ。 “ゴクウの輪”は1つしかないんだもの。
今日みたいに暴走したとき、誰がタイガーを止める事ができるワケ? 」
「 きょ、今日はGS試験に合格した人がみんな研修にでてるから・・・・・・ 」
神野が答えた。
「 それだけじゃないわ。 ここにいれば、少しは女性に慣れると思ったんだけど、
暴走の様子からして効果はなかったみたいね。 私の見当違いだったかしら? 」
「 そんなことないケン! 以前のワシなら30秒がやっとじゃったけんど、
今回はエミさんの笛なしで、精神感応を2分もフルパワーで使えたんジャ! 」
「 だめね。 結局暴走してしまうのでは意味ないわ。 」
聖羅が一歩前に出る。
「 あ、あの、もう一度だけこの方に、チャンスを与えてはくれませんか? 」
「 聖サン・・・・・・! 」
「 タイガーさんは私をはじめ、寮の危機を救ってくれました。
そのためにクビになさるのでしたら、私たちもあと味が悪すぎます。 」
聖羅の後ろの寮生たちも、大半が同じような気持ちでエミを見ている。
「 フッ、ちょっと見ない間におたくらもずいぶん成長したみたいね。 いいわ、もう一度だけチャンスをあげる。 」
エミはタイガーに、書類の入ったふくろを差し出した。
「 そこで、しばらくの間、あんたには精神修行にいってもらうワケ。
「 しばらくって? 」
「 期限は来年の3月。
あんたが高校卒業するまでに、GS相手に、精神感応攻撃を600秒続けられること、これが条件よ。 」
「 600秒って、10分!? そんな無茶ですジャ! 」
「 どうしてもクビになりたくなければ、やるかないワケ。 これにサインしなさい。 」
「 これは“契約の神の契約書”!! 」
(契約の神エンゲージ:3巻参照)
ひそひそ
『 エミ様ってこんなにきびしいひとなの? 』
『 でも、次の修行を用意してたってことは、見捨てるつもりはなかったってことじゃない? 』
タイガーはしばらく悩んだあと、サインし契約を交わした。 そこに聖羅が近づく。
「 それでタイガーさん、精神修行ってどちらで行うのですか? 」
ぱさっ
「 えーと、○○県須藤町の神野神社ってとこですジャ・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ、神野!? 」
「 ここってもしかして・・・・・・・・・ 」
「 私の実家!? 」
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今までの
コメント:
- ■9話 後書き■
これで女子寮編は終了し、タイガーの修行場所は神野神社へと移ります。
早っ! と思われる方もいるかもしれませんが、霊能力者で、タイガーよりもマイナーな存在でありながら、個性的だった彼女達となら、また新しい展開が生み出せると思い、彼女たちと知り合うきっかけとして、タイガーに女子寮修行をさせてみた次第です。
・・・・・・というわけで、ゴールデンウィーク中につき、1日3話ずつお届けしました。
次回からはぺースを落として投稿しますので、タイガーの今後の活躍にご期待ください。 (ヴァージニア)
- 禁断の学び舎からついに追放。
・・・・・。
よかったな!タイガー。 (トンプソン)
- トンプソンさん、度重なるコメントありがとうございます。
文章表現のほうはこれで改善されましたでしょうか?
よろしければ、この調子で書かせていただきますので、今後ともタイガーの行く末を見守ってやってください。 (ヴァージニア)
- いいんですか? こういう展開で?
一文字、 妬いちゃいますよ?
今後の発展が楽しみなので、 賛成ですけど… (K.H. Fan)
- 展開次第では妬くかもしれませんね。
一文字のタイガーに対しての感情ですが、原作26巻P121でも彼女が言ってるように、
「 女子高にいると男と出会う機会なんかないのがフツーなんだよっ!!
余ってんなら紹介しろってんだ ちくしょー! 」
このセリフから、男友達はいないか、いてもそれほど好意を持ってはいないように見受けられます。
原作では一度しか2人は会ってないので、その後2人がどのような付き合い方をしたのかは不明でした。
ですから現時点では、一文字にとっては、いちばん仲のいい男友達として考えています。
タイガーのことを気にしてるとは思いますが、一文字の性格から、それほどドロドロした展開にはならないと思います。 (ヴァージニア)
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