とら、トラ、虎! 8) 六道女子寮大決戦!(前編)
投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/ 5)
■六道女学院第二女子寮■
翌週の日曜日、一文字や仙香といった、2年生のGS試験合格者7人は、特別研修へと向かった。(弓は自宅通学)
他の寮生達は玄関で見送った。
「 いってらっしゃーい! 」
「 おみやげ忘れないでねー! 」
7人を見送ったあと、寮生達は寮内に戻っていった。
「 さてと、天気もいいし、庭の掃除でも始めるかノー。 」
季節は秋。 木の葉が舞い落ちる中、タイガーは寮内にある、六道女学院専用の霊的格闘グラウンドにいた。
ここには寮生のために、半径5メートルの特殊な結界魔法陣が常に設置されており、このなかではすべての物理攻撃が無効になる。
タイガーも時々、一文字や洋子とここでトレーニングを行っていた。
タイガーが竹ほうきでグラウンドの枯れ葉を掃除をしていると、神野水樹(G組の心理攻撃を得意とする少女)がやってきた。
「 これが“心理の書”の写し。 」
2人は近くのベンチに座り、タイガーは1冊の本を手にしていた。
「 そう、私の実家の神社に代々伝わる秘伝書の1部。
私が六女(六道女学院)に入学したときに父から受け継いだものなの。
これには精神感応に関するすべてのことが書かれているらしいわ。 」
「 らしいって、神野サンは見てないのかノー? 」
「 見たけどね。 」
「 ワシが見てもいいんカイノー。 」
「 うん。 」
タイガーは本を広げた。 しかし、そこにはなにも書かれていなく、全て白紙だった。
「 どういうことジャ? 」
「 神の力を授かった精神感応者しか読めないらしいわ。
私の家系は代々テレパシストで、それが読めるのは神様に選ばれた人だけだっていわれてるわ。 」
「 そうなんかー。 確かになにか力を感じる。 」
「 精神感応者にもいろいろあって、私達みたいに幻覚をみせたり、霊力の弱い霊を目視させる以外に、
イタコのように霊だけでなく、遠く離れた人の言葉を聞きとって伝えることができる人もいるわ。
もっとすごい人は、相手の思考そのものまで読み取ることができるらしいわ。 」
「 神野サン詳しいノー。 」
「 フフッ、GS界でも精神感応者は貴重だからね。
これでも私、六女の精神感応者のなかではトップクラスの成績なんだから! 」
「 ほえーすごいノー。 」
「 そうだ、タイガーさん、今度うちの実家にきてみたら?
お父さんなら、精神波をうまくコントロールする方法を知っているかも。 」
タイガーと神野が話しこんでると、黒の法衣を着た聖 聖羅(D組の結界能力者)と数人の寮生がグラウンドにやってきた。
「 あら、神野さん珍しいですわね。 あなたが男の人と一緒にいるなんて。 」
「 聖(ひじり)さん・・・・・・。」
「 いくら彼氏がほしいからって、なにもこんな野獣と付き合うこともないでしょうに。 」
「 わ、私はそんな! 」
「 や、野獣・・・・・・。(汗)」
「 あなた、神野さんにまで手をだすんじゃないですわよ。
神野さんも気をつけなさい。 この男、内心何を考えてるのか、わかったもんじゃありませんから。 」
そう言うと、聖羅たちは結界魔法陣のなかに入っていった。
「 聖さんの男嫌いは有名だけど・・・・・・タイガーさん、あなたなにかしたの? 」
「 いやーそれがのう、この寮に来た日に・・・・・・・・・ 」
■タイガーの回想■
タイガーが廊下を歩いていると、床にハンカチらしきものが落ちていた。
「 落し物カイノー? 」
タイガーが拾うとそれは・・・・・・
「 !? こっ、これは、おなごの下着!? 」
びりびりびりびりびりびりびり
「「 グワァアッ!! 」」
ぷしゅうー
「 お、おなごのしたぎ・・・・ 」
そこに聖羅が通りかかった。
下着をにぎりしめたまま、たおれているタイガーを見て・・・・・・
「 こ、これは、違うんジャーー!! 」
「 ・・・・・・・・・・・・変態! 」
聖羅は眉間にしわをよせ、口元をヒクヒクさせながらそう言ったのである。
(回想終わり)
うおおおっ がんがんがんっ
「 わざとじゃないんジャアッ! ほんとにワシはハンカチだと思うて―――!!(泣) 」
「 ・・・・・・・・・・・・。(汗)」
近くの木に頭をぶつけるタイガー。
カラ笑いをする神野。
そんなことを話している間に、聖羅たちは何かの術の準備を済ませていた。
「 それでははじめますわよ。 」
聖羅は魔導書をひろげる。
結界魔法陣の周りには聖羅を中心に、5人の寮生たちが結界の中心に向かって霊波を送り始めた。
「 何が始まるんですカイノー。 」
「 低級霊の召喚よ。
結界能力者は、月に一度ああやって、霊界から霊を召喚して封じ込める練習をしているの。
霊の召喚は、大抵仙香や桂木さんがやっているんだけど、今回は聖さんがかねてるみたいね。 」
「 危なくないんかノー。 学生だけで。 」
「 大丈夫でしょ。 あの魔法陣は霊を外にださない効果もあるから。 」
聖羅は魔導書を読み上げると、霊波を送った。
すると結界魔法陣の中心に、小動物の霊が現れた。
《 キキッ 》
「 今回はネズミの霊ね。それではみなさん、順番に霊波で結界を張り続けてもらいますわ。 」
《 キキキィーッ 》 カッ
ネズミの目が一瞬光った。
「 ん? なんかいま・・・・・・ 」
「 タイガーさんも感じましたか? 」
「 キャアアーーーッ!! 」
「 どうしましたの!? 」
突然結界を張っていた寮生の1人が、後ろからの霊の攻撃に倒れた。
「 キャッ!! 」
「 なぜ・・・・・・はっ、まさかこのネズミが!? 」
聖羅がそう考えると、数体の霊が姿を現した。
「 そんな、私の術が失敗したと言うの!? でもなぜ結界の外まで霊波が・・・・・・ウッ!! 」
「 聖羅さん!? 」
≪ 非武装結界!! ≫ カッ
聖羅は突然結界の中に入り、ネズミを頭に乗せ、書物の紙を魔法陣いっぱいに放った。
≪ キキキッ ザコ霊ニ混ジッテようやく復活スルコトガデキタゼ。 オレサマノ霊力ヲなめんなヨ!! ≫
聖羅は彼女らしかぬ口調で話しだした。
「 聖羅サン、まさか操られとるんジャ!? 」
「 タイガーさん、この精神波もしかして! 」
「 間違いない、あのネズミ! 」
「「「 ネクロマンサー(死霊使い)!!! 」」」
「 そういえば以前、横島サンに聞いたことがあるケン!!
ネズミのネクロマンサーと戦ったことがあると!!
そのとき確か、生きた人間も操ったと言うとった!! 」 (ネズミの死霊使い:19巻参照)
「 いったいなにがあったの!? 」
「 きゃっ!? なんなのこれ! 」
異変に気づいた寮生が数人かけつけた。
と、同時に寮内のあちこちから悲鳴が聞こえてきた。
「 寮の中にも悪霊がでているんだわ! 」
「 あのネズミを倒さんといかんノー! 」
そうこうしているうちに、悪霊の数がネズミと聖羅を中心に20体を超えていた。
≪ キキキッ! 不成仏霊ドモ、殺ッテシマエ!! ≫
タイガーたちは戦った。
タイガーはコブシに霊力を注ぎこんで霊を殴り倒し、神野はお札を使って攻撃した。
ほかの寮生たちも神通棍や霊体ボウガンなど、おのおのの武器で戦った。
だが、現在寮に残っている生徒は20名ほどに対し、霊の数はどんどん増え、その数は50体を超えようとしていた。
「 だめだわ! 霊がどんどん増えてる! 」
「 六女の他のみんなの応援はまだなの!? 」
「 このままでは霊団になってしまうわ!! 」
苦戦する寮生たち。 タイガーや神野も必死で戦う。
「 あの結界をなんとかせんといかんノー!! 」
「 私、心理攻撃をやってみるわ! タイガーさん、援護して! <ばっ> これでもくらえ! 」
神野はどこからだしたのか、榊(さかき:お払いなどに使われる常緑樹の葉)を取り出した。
そしてネズミの死霊使いにむかって、数十匹の猫の幻覚をみせた。 ・・・・・・だが、
≪ ソンナ攻撃が通用スルモノカ!! ≫
バシュッバシューッ
神野の霊波が、聖羅のあやつる非武装結界の前に、次々と書物の紙ふぶきの中に吸収された。
「 ダメだわ! 聖さんの非武装結界、“無敵の盾(イージス)”の前ではすべての攻撃が吸収されてしまう!! 」
「 どうしたらいいんジャ! 近づこうにも、こう霊が多いと・・・・・・神野サン!? 」
神野は攻撃をやめ、しゃがみこんだ。
「 仙香も亜美も御剣さんもいない!
ネクロマンサーのおキヌさんもすぐにはこられない! 悪霊と結界で手も足もでない・・・・・・!! 」
「 神野サン・・・・・・? 」
いやいやいやああああ!
「 死ぬ前に一度でいいから、アイドル俳優の近畿クンと一緒にデジャヴーランドでハワイに乗りたかったーー!! 」
「 神野サン! ワシより先にパニクらんでクレー!!『逆境に弱いってのは本当じゃったんかー!!』 」
「 きゃあーっ! 」
「 !? 」
近くで戦ってた寮生たちも、どんどん増えていく霊の数におされていった。
「 ・・・・・・ワシがやらねば!! 神野サン!! 」
「 えっ!? 」
「 ワシが暴走したら、そのときは容赦なくワシを倒してくれ! 」
「 えっ!? まさか精神感応!? 」
「 ・・・・・・いくケン! 」
【8.2KB】 〔後編に続く〕
今までの
コメント:
- ■8話 後書き■
早くも序盤のクライマックスです。
マイナーキャラと思われる、ネズミの死霊使いも登場しました。
原作では、ネズミの死霊使いは、おキヌや横島を操ってました。 このお話は後編に続きます。
追伸:「煩悩の部屋」にて私が描いた、六道女学院女生徒12人のイラストが掲載されました。
つたない絵ですが、「よし!見てやろう!」と思った方は、是非とも見てやってください。 (ヴァージニア)
- 今の俺には『ドラゴンク●スト ダ●の大冒険』 のポ.プ並に見えるぜ。
タイガー。 (トンプソン)
- ポ.プですか。(笑) 彼もあの話の中では、一番成長したキャラでしたよね。
タイガーも最終的には大魔王と戦うのでしょうか!? もしあるとしても、かなり先の話となるでしょうね。 (ヴァージニア)
- はっはっは。丁度あっちでネズミのネクロマンサー出しちゃいましたよ(笑)変な所で微妙にシンクロしてるのかな? (MAGIふぁ)
- MAGIふぁさん、あっちとはどこなんでしょうか?≪わからなくてすみません!≫
まさかネズミのネクロマンサーまで同時期とは驚きです! (ヴァージニア)
- 夜華 で検索すると見つかる所です…掲示板SSにて。 (MAGIふぁ)
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