ザ・グレート・展開予測ショー

(偽)ルシオラ IN もし星が神ならば


投稿者名:湖畔のスナフキン
投稿日時:(03/ 5/ 5)

『(偽)ルシオラ IN もし星が神ならば』 (その1)


※ハルカさんの『ルシオラ IN 〜』シリーズの便乗作品です。
 ハルカさんの作品と間違えないように、念のため(偽)を付け加えています。



「夕陽って、何度見てもきれいね──」

 東京タワーの展望台の上で横島とルシオラは、夕陽を眺めていた。
 ルシオラはうっとりとした表情で、沈み行く夕陽を見つめている。
 しかし隣に座っていた横島は、夕陽よりもルシオラの横顔に見入っていた。
 横島は体をプルプルと振るわせて衝動を抑えていたが、とうとう耐えきれなくなった。

「ルシオラーー!」

 横島はルシオラ目掛けて、ガバッと飛びかかる。

「キャー!」

 バキッ!

 横島は撃沈する。

「ううっ、ちょっとだけ“チュウ”したかっただけなのに──」
「急にされたらびっくりするでしょ! ちゃんと流れを読んでよ」
「おあずけ食ってる男に、そんなの読めるかー!」

 いつもならば、ここでルシオラが「ばっかね〜〜」と言って許してくれるのだが、今日は違っていた。

「せっかく雰囲気にひたっていたのに、気分が台無しだわ。今日はだーめ!」

 ウルウルと悔し涙を流す横島だった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 その日の三日後は七夕の日であった。夕方におキヌが、事務所の中で笹の飾り付けをする。

「氷室さん、どうして七月七日に笹を飾るんです?」

 手伝っていたルシオラが、おキヌに尋ねる。

「それは、こういう言い伝えがあるからなんですよ」


 ── ・ ──── ・ ──── ・ ──── ・ ──── ・ ──

   天の神様の娘「織姫」は、牛飼いの青年「彦星」と恋をしました。

   ところが恋に落ちた二人は、仕事がまったく手につきません。

   怒った神様は、二人を天の川の両側に引き離してしまいました。

   しかし、悲しむ二人をあわれに思い、七月七日の夜にだけ二人が会う
   ことを許したのです。

 ── ・ ──── ・ ──── ・ ──── ・ ──── ・ ──


「それで二人の恋人は、自分たちが会える日を祝ってくれた人の願いを叶えてくれるんです。願い事のある人は笹に願いを書いた短冊を飾っておくんですよ」
「年に一度のデートか……ロマンチックな話ね」
「パピも願いごとを書いたでちゅ」

 パピリオが願い事を書いた短冊を持って、駆け寄ってきた。

「どれどれ──“ゲームステーションの新作ソフト”──これは願い事じゃなくて、自分が欲しいものでしょうが」
「まぁまぁ、せっかくだから飾っておきましょうよ」

 おキヌがパピリオの短冊を笹の葉につけた。

「ところで、ルシオラさんは短冊をつけないんですか」
「私はあとで。氷室さんこそ」
「私もあとでいいです」

(ヨコシマと仲直りしたいなんて、氷室さんの目の前では書けないわね)
(横島さんともっと仲良くなりたいなんて、ルシオラさんの前では……)

 二人は、ホホホという少々乾いた笑い声をあげた。

「そ、そう言えば美神さんは?」
「私? 私はそういう少女イベントには参加しないことにしているのよ」

 自分の机で書類仕事をしていた美神が、顔をあげた。

「そう言えば横島クンは?」
「今日は用事があるって言ってましたけど、そろそろ来ると思いますよ」
「ちわーす、遅くなりました」

 手に紙袋をもった横島が、事務所に入ってきた。

「おっ! おキヌちゃん短冊を飾ってるね。俺もやろうかな〜」

 そう言って、紙袋の中から大量の短冊を取り出した。
 そこに書いてあったのは……

 『いい女と情熱的な一夜をすごしたい』
 『いい女と情熱的な一夜をすごしたい』
 『いい女と情熱的な一夜をすごしたい』
 『いい女と情熱的な一夜をすごしたい』
  ・
  ・
  ・
  ・

「あっ、笹が折れちゃった」

 一度に何十枚もの短冊を笹につければ、そうなって当然である。

「当たり前でしょ! もっとマシなことにエネルギーを使いなさいよ!」

 スパーン!

 美神はすかさずハリセンでツッコミを入れた。
 しかしその時……

 バチッ! バチバチバチ!

 大量の短冊をぶら下げた笹が、突如として発光し始めた。

「霊体だわ! 何か強力なパワーを持った霊体が、事務所の結界の中に割り込もうとしている!」

 美神は急いで自分の机に戻ると、愛用の神通棍を手に取り構えた。


(続く)

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