ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎! 6) 六道の女たちパート3


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/ 4)


■朝 六道女学院第二女子寮食堂■

「 ねえ、あれ見て…… 」
「 ……どういうことなの? 」


寮生達がある方向を見てひそひそ話をしてると、そこにD組の春華と聖羅がやってきた。


「 おはよう。 」
「 おはようございますですわ。 」


春華と聖羅は寮生たちの視線の先の人物を見た。
そこには同じクラスの洋子と、ここで働いているはずのタイガーが、同じテーブルで一緒に食事をとっていた。


「 洋子!? 」
「 なぜ…………? 」


数分後、めずらしく早く起きた一文字がやってきた。


「 おっはよー! 」

「 洋子!ちょっとどういうことなの!? 」
「 この状況、くわしく説明していただきますわ! 」

「 な、なんだ!? 」


一文字の目線の先に、洋子を問いただしてる春華と聖羅がいた。


「 んぐんぐ 朝飯食べてるだけやけど。 」
「 そうじゃなくて、何でトラ男と一緒に食べてるのよ!! 」
「 んなのいいじゃん、別に。はむっ 」
「 あんた、食堂の仕事はどうしたのよ! 」
「 いや……まだなんジャケンど……。 」
「 ちゃんと仕事しなさいよ! 」
「 そうですわ! 与えられた課題ぐらいきちんとこなすものですわよ! 」
「 は、はいっ! 今すぐやりますジャ! 」

「 あいつら…………! 」

「「 いい加減にしとき!! 」」


一文字がわって入ろうとしたとき、洋子の声が響いた。


「 聞けば、こいつが契約した働く時間は朝1時間、夕方2時間、
  ここの家賃代と食事代を払える程度働けば済むらしいやん!
  あんたらの中に、家賃も食うもんも親の金やのうて自分で働いて払っとるもんがおるんか!?
  おまけに、自主的に寮の掃除までしてくれて、あんたらなにが不満なんじゃ!! ゆうてみい!!  」


洋子のあまりの迫力に、その場の全員が黙ってしまった。
長い前髪の間から目をぎらつかせ、寮生たちをにらみつけた。


「 ……………………クッ! 」


春華と聖羅は何も言わずにその場を離れた。


「 よ、洋子サン……… 」
「 きにすんな。食おうや。 」
「 ……おはよう。 」



一文字が加わり、朝食をとったあと、3人は一緒に学校へ向かった。



「 それにしても、洋子が怒ったとこ初めてみたよ。 あれはさすがに私もびびったよ。 」
「 やめてーや。今思うとかなりはずいことしたなと思うとるんやから。 」


今頃になって、照れて顔を赤くし、頭をかく洋子。


「 それにしても、おまえらいつからそんなに親しくなったんだ? 」
「 ワ、ワシ、ちょっと前から洋子サンと朝練するようになったんジャ。 」
「 あされんー!?
  洋子あんた、GS試験合格したのにまだやってたのか!? 」
「 うちはもともと毎日やっとることよ。 去年あんたにクラス対抗で負けたときからね。 」
「 あんときはおまえ、すぐ交代しちまっただろ。 4ページぐらいで。 」
「 一文字サン、洋子さんと戦ったことがあるんかいノー! 」
「 まーな…………そっかー、私もやろうかな? 」
「 いいけんど、ワシらが起きるのは5時ジャケン、7時半に起きる一文字さんには辛くないかノー。 」
「 ご、5時だと!? う〜ん………………。 」


予想外の時間に一文字は考え込んだ。


「 そうや寅吉、今晩G組の神野水樹ってコと話しに行こう。
  あんたと同じ精神感応の使い手やから、いろいろためになるかも。 」
『 とらきち…………? 』
「 そうジャノー……あ、じゃあワシ、学校あっちじゃから! 」


そういうと、タイガーは走っていった。


「 そんじゃ、うちらもいこか。 」
「 なあ、いま『寅吉』って言ったよな。 」
「 言ったよ。 」
「 そういやあいつも『洋子サン』って………… 」
「 そーやな。 」
「 なして? 」
「 気になる? 」
「 …………別に。 」
にっ
「 気になるやろー? 」
かあっ
「 別にって言ってんだろ!! 」



                        ◆



■六道女学院 2年D組■

「 ――ったくもう、ムカツクったらありゃしない!! 」
「 はあ、仕方ありませんわ。 洋子さんの言うことはまったくの正論なんですもの。 」


春華と聖羅のまわりに、数人の女生徒が集まっている。


「 もうあんな子、クラスメイトでもなんでもないわ! 」
「 お、おちついて桂木さん、この前からギスギスしすぎよ。 」
「 ちょっと自分がGS試験に勝ち進んだからって、いい気になって……!! 」
「 そんなんじゃないと思うんだけど……。(汗)」


がらっ
洋子が教室に入ってくる。 と、同時に、先ほどまで騒いでいた教室が静まりかえる。
霊能科の大半が寮生活をしてるため、今朝のことはほとんど皆知っていたのである。
洋子は全く気にする様子もなく、自分の席についた。


き〜んこ〜んか〜んこ〜ん〜〜〜
「 ほらー席に着けー。 」


担任の先生が来てホームルームがはじまる。


「 ―――というわけで、桂木、御剣。 GS資格試験に合格したお前達は、
  来月から1週間、オカルトGメンで特別研修が始まる。 がんばってこいよ。 」


 
                        ◆



■その日の夜 女子寮401号室前■

こんこん
「 水樹ちゃんいるー? 」
がちゃっ
「 ん? 洋子……それにタイガーか、めずらしいな。 」
「 まーな、仙香。 水樹ちゃんに用があんのやけど。 」
「 ああ、いるよ。 」
「 水樹ー。 」
「 なぁにー? 」


G組の仙香は、同室に一緒に住んでいる神野水樹を呼んだ。
すると奥でせんべいを食べながらテレビを見ていた水樹がやってくる。


「 ちょっといいかな? 寅吉のことで相談があるんやけど。 」
「 え、ええ…………。 」




■401号室■
部屋にはタイガー、洋子、仙香、水樹がガラスのテーブルを囲むように座っている。


「 ……………………… 」
どきどきどきどきどき
『 ………お、おなごの部屋! しかもおなごが3人も!! 』
「 寅吉! これくらいで電気ながすんじゃないよ! 」
「 はっ! 」
「 ……それで、水樹に相談っていったいなんなんだ? 」
「 ああ、それはやな………… 」


洋子は、タイガーと水樹が同じ能力の持ち主であることを話した。
能力について相談しあえば、お互いにとって、きっとプラスになるであろうことをはなした。


「 …………なるほど。でも無理ね。 」
「 なして? 」
「 タイガーの場合、精神感応を一定量使いすぎると暴走するみたいだけど、
  水樹の場合、自分の精神自体に問題があるんだもの。 」
「 ちょっと! なによそれー! 」
「 だって、「ハワイに旅行したことないー!」とか言って戦意喪失するし、
  臨海学校でも見かけにだまされて、メロウ相手に1匹攻撃しただけで、あとはパニック状態だったし。 」
「 だってだって――!! 」
「 おまけにこの前の試験も、対戦相手にびびって、すぐにギブアップしちゃったじゃない。 」
「 だって、あの九能市ってヒトの目、本気でアブナかったんだもん!! 心理攻撃もきかなかったし!! 」
「 とにかく、私のほうとしても水樹をなんとかしたいのよ。 」
「 そうかー。逆境に弱い友達をもつと、お互い苦労するなー。 」
「「 ……………… 」」


黙って下を向くタイガーと水樹。


「 ………しゃあないな。 それじゃ、じゃましたね。 」


洋子は立ち上がり、部屋を出ようとする。
つづいてタイガーも立ち上がると仙香がタイガーに声をかけた。


「 タイガー。 」
「 はい? 」
「 あなた、強かったわよ。 今度は必ず合格するわ。 」
「 えっ!? 」
「 私でよければ、実戦トレーニングの相手をしてあげるわ。 」
「 あ……ありがとう! 」
「 それから……ちょっとお願いがあるんだけど。 」
「 な、なんジャ? 」


仙香は赤くなり、コホンとかるくセキ払いをすると、タイガーの両手を自分の両手でにぎり、タイガーに一気につめよった。


がしっ
「 おねがい! 今度エミ様を紹介して!! 私、大ファンなの!! 」
「 !!?? 」


ずたたっ =☆
こける水樹と洋子。


かああっ どきどきどきどき…………
『 お、おなごのほうからワシの手を…………!! 』  ぷちっ

「 はっ! 仙香! はよ離れ―― 」


ピシャアアア――――ッ
「「 グギャアアーーーーーッ!!! 」」
「「 キャアアアーーーーーッ!!! 」」



ばたばたっ
・・・・・・・・・そして2人はボロボロになって倒れこんだ。



「 あ……あなた、こんなこと、よく平気でやってられるわね……。 」
「 へ、平気じゃないですケン……。 」
「 仙香! あんた、タイガーをクビにして、自分がエミん所の助手になるつもりか!? 」
「 い、いや、そんなつもりは……。 」


最近ようやく電気を流さなくなったタイガーであったが、いきなりの不意打ちに精神をみだしてしまった。
これで、タイガーの事務所クビまであと2回となった。


「 このアホンダラ!!
  うちに触ってもなんもおきへんかったくせに、
  仙香に手を握られたぐらいで電気を流すなんて、どういうことやね!! 」
「 す、すまんですジャ〜〜〜!! 」


他人で暴走するのは許せない洋子であった。


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