ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎! 4) 六道の女たちパート2


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/ 4)


六道女学院は霊能科があることで全国に知られており、全国各地から霊能の才をもつ少女達がここに入学している。
そして必然的に、そのほとんどが寮生活をおくることとなる。


■六道女学院第二女子寮■
ここには2年生を中心に80名の生徒が生活している。
4階建てで、1階は食堂、浴室などの共同の場、2階から4階は各15部屋あり、各室2名が定員となる。


「「 ぐが―――ぐご――― 」」


タイガーは1階の6畳ほどの収納室(・・・というよりは物置)に住むこととなった。
物が雑然と置かれており、体の大きいタイガーはその隙間をぬうようにして寝ていた。


ぴぴぴっぴぴぴっ・・・がちゃっ
「 んん・・・まだ5時50分か・・・・・はっ! そうジャ、メシメシ! 」

  
目覚まし時計を止めたタイガーは、着替えて食堂へと向かった。


どしっどしっ
「 ふあああっ・・・・・・ねむいノー。 」
「 おはよ。 」
「 おはよう。 」
「 朝ごはんがんばれよ。 」
「 ああ・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ!? 」


タイガーは驚いた。
昨日までの様子からして、一文字以外に自分に声をかけてくれる女子がいるとは思わなかったからだ。
すれ違いざまあいさつをした前髪の長い娘は、そのまま玄関で運動靴を履いて走り出ていった。
その娘の名はD組の御剣洋子。GS資格試験3位の娘である。



                        ◆


■食堂■
タイガーがここにきて3日がたった。 タイガーの仕事は食堂での調理手伝い。
すでに調理のおばさんが2人、朝食の準備をしており、タイガーもすぐさま手伝った。
そして7時。制服を着た寮生がちらほらと食堂に出てきた。
 

「 お、おはようですジャ。 」
「 ・・・・・・。 」
「 ・・・・・・フン! 」


無視する寮生たち。泣くタイガー。
タイガーは必要以上にきつくあたられ、挨拶をしてもほとんどまともにかえしてくれなかった。


「 ふふふっ、いい気味ね。 」
「 あれならすぐにでていきますわ。 」


その様子を離れた席からみている2人の寮生。
D組の、メガネをかけている桂木春華と、十字架のペンダントを首からさげている聖 聖羅。
実は彼女達がタイガーを追い出そうと、彼を毛嫌うほかの寮生達に必要以上にけしかけていた。


「 この調子ならあのトラ男、すぐでていきそうね。 」
「 そうですわね。
ずごごごっ
  ああ、同じ屋根に男がいると思うだけで、鳥肌がたちますわ!! 」
「 あんたの男嫌いは普通じゃないからね。(汗)
  フフフッ。 もうすぐよ。 もうすぐトラ男はクビになるわ!
  そしたら私が、エミ様の助手になってやるわ! GS試験に合格したこの私が! 」
うるるっ 
「 よかったですわね。(怒)
  どうせ私は1回戦で負けたわよ・・・! 」  
「 ゴ、ゴメン! もう、泣かないでよ!
  さんざん泣いたじゃない、来年またあるから・・・! 」


聖羅を慰める春華であった。
その一方で、朝食をくばるタイガーの前に、G組の夆仙香がやってきた。


「 おはよう。 」
「 お、おはよう・・・あ、確かホウさんじゃったかノー。 」
「 いいから早くよこしなさいよ。 」
「 あ、はい! 」


仙香はご飯やみそ汁をのせたおぼんをもって空いてる席に座った。

 
『 うう・・・なんかきまずいノー。 』


数日前、GS資格試験2回戦で仙香と戦い、負けてしまったタイガー。
けっして彼女を恨んでいるわけではないが、気まずさにあふれていた。 それは仙香も同じだった。


『 なんか私のせいで働かされてるみたいでヤだわ・・・
  しかもエミおねーさまの助手だったなんて・・・。 』


結局、まともにあいさつを交わしてくれた寮生はほとんどいなかった。
7時50分、ほとんどの寮生は学校にむかい、食堂に一文字がやってきた。


どたどたどたっ
「 やっべえ! 寝坊した! タイガー、メシ! 」
「 あの男ならもう学校へ行ったわよ。 」
「 あ、そうか、あいつのほうが学校遠いもんな。
  ちぇっ、途中まで一緒にいこうと思ったのによ。 」



                        ◆



■横島、タイガー達の学校の教室■
タイガーは愛子とピートに事情を話していた。


《 えっ!? 》
「 女子寮に!? 」

「 そうなんジャ。ワシも最初はラッキーと思うとったんジャが、
  ちょっとでも邪(よこしま)なことを考えるとすぐビリビリくるしノー。
  おなごたちもワシに冷たいし、せまい所に寝かされるし、
  余分な仕事もさせられるし・・・ もうたいへんなんジャ。 」
「 それで、今何回電気が流れたんです? 」
「 ・・・・・・7回。 」
「 7回って、3日で7回ですか!? それじゃああと3回で・・・! 」
グオオオ
「 だって仕方ないんジャアー!!
  ネマキ姿でろーかを歩きまわるし! 床にぱんつがおちとるし!
  レズっ子がなんか怪しいことしとるしー!!
  ワシ、自分からヤラシイコトなんもしとらんのに女子寮が・・・
  まわりの環境がーーー!!! ピートサンも男ならわかるジャロー、ワシの気持ち!! 」
「 え、ええ、まあ・・・(汗)」
「 ワシ、やめたい・・・でもやめたらクビ・・・ ワシどうすればいいんジャーーー!!! 」  


机にふせて大泣きするタイガーに、困るピートと愛子。


《 で、でも今日横島君が休みでよかったわね。 》
「 あ、そうですよ。もし横島さんがこのことを知ったら・・・。 」



すごごごご
『 じぃょし〜ぃりょ〜〜だあとオオ! ・・・いく・・・おれもいく!!! 』



タイガーたちは想像した。 横島が女子寮内で、嬉しそうに寮生を追いかけまわす姿を。


《 と、とにかく、一文字さんやおキヌちゃん達にも口止めしないと! 》
「 そ、そうジャノ! 」


その心配は無用だった。
おキヌと弓は一文字からタイガーのことを聞いていたが、もちろん横島には黙っておくことを約束していた。


                        ◆



■六道女学院第二女子寮■
放課後、春華と聖羅は、ほかの寮生数人と一緒に寮へ帰ってきた。


きゃっきゃっ
「 ・・・ってなかんじでさー、退寮する前にあのトラ男に寮全部の掃除をやらせましょうよ! 」
「 それ、ひど〜い。 」
ずごごごごっ
「 いいんですわ。それぐらいのこと、やってしかるべきですわ。 」
『 こ、怖い・・・! 』
『 聖羅さん、なにかあったのかしら・・・? 』
「 でも春華は、なんでそんなにあの男を追い出したいの? 」


ぴたっ
春華の足が止まる。


「 ば、ばかっ! 春華さんはこの前男に振られたのよ! 」
「 えっ!? うそっ!? 」
「 春華さん好きな人いたんだー。 」
きーっ
「 お、オトコなんて―――!! 」
「 あら・・・・・・!? 」


泣いている春華の前で、聖羅はタイガーが寮内の廊下をぞうきんがけしているのに気がついた。
春華も気づき、タイガーに近づいた。


「 あ、おかえりですジャ。 」
「 ・・・あんた、何してんの? 」
「 そうじじゃが。 」
「 見ればわかるわ! なんでしてるかってことよ! 」
「 い、いやのう、ワシ、このままじゃあ近いうちに退寮しそうジャケンど、
  嫌われたまま出てくのもなんか忍びなくてノー。 」
「 ・・・で、そうじしてるの? 」
「 そうじゃ。 」


「「 ・・・・・・・・・・・・ 」」


すたすたすた
「 くだんないわ!さっさとやめれば! 」
「 い、いまのはわざとじゃないケン・・・! 」
「 なんなの? 」
「 そうじとそうじゃをかけたシャレじゃない? 」


聖羅の疑問にほかの寮生が答えた。


「 とにかく、出てくつもりならさっさとでていったら!? どうせやるだけ無駄なんだから! 」
「 ウッ!! 」


そこにA組の扇使い、紫小町が帰ってくる。


「 なにやってんのさ春華、大声だして。 」
「 うっさいわね小町! このトラ男が・・・! 」
「 いじめもほどほどにしとけよ。 Sなのか? 」
かあっ///
「 なによ、ヒトギキのわるい!! 」
「 ・・・・・・「えす」ってなにかしら? 」
「 聖羅は知らなくていいの!! 」
「 あんノー 」
くわっ
「 なんジャイ! 」
「 言葉がうつってるわよ、春華。 」


小町がつっこむ。


「 わ、ワシーそろそろ、夕飯の用意せんといかんからこれで・・ 」
「 さっさと行け!!! 」


タイガーは食堂のほうへと向かった。


はあっはあっ・・・
「 あーむかつくー!! 」
「 なにを怒ってるんだ春華は? 」
「 あの男に掃除させようとしたら、もうさきに掃除してたから・・・ 」

「 たっだいまー! 」


そこに一文字が帰ってくる。 異様な雰囲気に気づく一文字。


「 ・・・なんかあったの? 」
「 一文字さん、よくあんなのとつきあってられるわね! 」
「 ・・・ハァ、残念ですわ。 」


そういうと、春華と聖羅、他の寮生達は自分の部屋へ向かった。
そして一文字と小町だけがその場に残った。


「 ・・・・・・なんなの? 」
「 さあ。 」



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