ザ・グレート・展開予測ショー

彼の大きさ(9−7)


投稿者名:ANDY
投稿日時:(03/ 5/ 3)

「―行くぜ!!狂乱角とやら!!!」
 勇ましい掛け声と共に、十数条の霊波砲が狂乱角へと向かっていった。
 その一つ一つの威力は、並みの霊なら数体まとめて消し飛ばすだけの威力を秘めていた。
 が―
「未熟」
 狂乱角の呟き声と共に、霊波砲は狂乱角からそれてしまった。
 狂乱角をまるで恐れるかのように。
 霊波砲によって粉塵があたりに充満した。
 そこに―
「喰らえ!GSパーンチ!!」
 粉塵を利用して接近していた雪乃丞の拳が迫っていた。
「ほう」
 口に笑みを浮べると同時に、狂乱角はすざましい破壊力を秘めているはずの雪乃丞の拳を掴んでいた。
「だが、あま―」
「ヴァンパイア・ウェーブ!!」
 狂乱角の嘲りの声を掻き消すように、魂のこもった掛け声が響き、そして―
「なに?!」
 狂乱角の足元から霊波が火山のように噴出して、その身を牙として狂乱角に襲いかかった。
「チッ!」
 その牙たちから逃げるために、狂乱角は初めて動作を大きくして避けた。
「タイガー・イリュージョンじゃあ!!」
「喰らえ!!」
 二つの雄叫び声が響くと共に、狂乱角の目の前には何時の間にか雪乃丞がおり、右フックを入れようとしていた。
「む」
 狂乱角はその攻撃をかわすと共に、カウンターとして雪乃丞の背中に強烈な手刀入れた。
  グシャアアー!!
 何かがつぶれる音が響いた。
「まずひと―」
「おらあ!!」
「なに?!」
 狂乱角が暗い笑みを浮べようとしたところに、先ほど自分の手で生を終わらせた相手が迫ってきていた。
 狂乱角は驚愕の表情を浮べながら、自分へと迫ってくる左のハイキックを受け止め、もぎ取った。
「これで―」
「うらー!!」
「くらえ!!」
「おらおら!!」
「くたばんな!!」
「終わりだあ!!」
 手にある肉片を投げ捨てると同時に、狂乱角は五つの拳をその身に受けた。
「ぬう?!」
「「「「「まだまだこれからだ!!」」」」」
 驚嘆の声を上げる狂乱角に対し、五人の雪乃丞は一斉に狂乱角へと向かって行った。
「ぬう。面妖な」
 口では悪態をつきながら、だが顔には笑みを浮べながら狂乱角は雪乃丞五人衆と互角にやりあった。
「ヴァンパイア・ショット!!」
「グウウオオオ!!」
 その戦況にピートも加わり、その二人を鼓舞するかのようにタイガーは、ところどころに血をにじませながら吠えていた。
 自分へ向けて放たれた霊波をいなし、そのタイガーの様子を見て狂乱角は冷たい笑みを浮べた。
「なるほど」
 そう呟くと共に、狂乱角の姿は掻き消えた。
「な?!」
「どこだ!」
「ぐわああ!」
 三者三様の声を同時に発した。
 いや、一人だけ驚きの声ではないが。
「「タイガー!!」」
 声の出所、タイガーのほうへ顔を向けると、そこには何時の間にか狂乱角がおり、タイガーを踏みつけていた。
「タイガー!」
「てめえ!」
「ふむ。実に面白い技だ。実体を持つ幻影とわな」
 雪乃丞とピートの声に耳を貸さずに、狂乱角はタイガーが使っていた技の感想を口にした。
「だが、まだ完成には程遠かったようだな。自分に呪い返しが来ているぞ」
 狂乱角がつけた以外の傷を負っているタイガーへそう述べた。
 タイガーは今までの修行の成果から、相手に幻影を見せるだけでなく、その幻影に実体を持たせることが出来るようになっていた。
 が、この技はある宗教の禁術とされているほどのものであり、この技を極めればその幻影に子供を作らせることが出来るほどの罰当たりな技なのだ。
 だが、タイガーはまだそこまで習得することが出来ておらず、限りなく本物に似ている実体のある幻影を複数操ることが出来る、のが今のところの限界なのだ。
 だが、この技は呪いの一種であるので、他の呪いと同じように破られたらその呪いは術者へと返ってくるのだ。
 そのため、狂乱角が雪乃丞の紛い物を一体倒すごとにタイガーはその身にダメージを蓄えていたのだ。
「ふ。貴様わかっていたはずだ。こうなるのは。なぜそれでも使った」
「グァハ。・・・あ、あん人に胸え・・はれる・・ため・・じゃい」
「そうか」
 狂乱角の底冷えのする眼光にさらされても、タイガーは目から力を失わずにそう答えた。
「なら、死ね」
 タイガーの首を折ろうと狂乱角は足を少しあげた。
 ほんのわずかの隙ができた。
 その瞬間を狙っていたかのように、突如タイガーの霊力は爆発的に増大した。
「む?!」
 そして―
「くらええ!!タイガー・キリモミシュートじゃあ!!!」
 狂乱角をまるでコマの様に回転させ、空中へと投げた。
「あとは、たのんました。二人とも」
 その言葉を合図に二つの影が狂乱角へと向かって飛んだ。
「「おう!!」」
 その影は、雪乃丞とピートである。
「「これで終わりだあ!!GS・ダブルキーック!!!」」
 雪乃丞の右足、ピートの左足へと巨大な霊力が集まった。
 そして両者の足は、寸分も違わず、狂乱角の胸へと届いた。
 そして、それと同時に三人を中心に爆発が起きた。 

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