ザ・グレート・展開予測ショー

かたおもひ。


投稿者名:hazuki
投稿日時:(03/ 4/28)


「だあああっ!!これ以上働いたら本当に死ぬぞ俺は…………」

と、半ばヤケのように、言い捨てながら、横島はテーブルに突っ伏していた。
それは、まあそうだろう。

朝の八時から次の日の八時までノンストップで働いていたのだ。
二十四時間のんすとっぷで悪霊と闘ったりする。
はっきしいって、死ねる。
つーか死ぬだろう。つーか何故死なないと言われることをやってのけ、事務所に帰ってきた横島の第一声である。

まあ、それがどれだけの重労働かというのを物語るかのように、横島の目の下にはうっすらと、隈ができており、頬を心なしかやつれていた。

「でも、なんとか終わりましたよね」

ことんと、眠気さましの珈琲をいれおきぬ。
おきぬも、横島ほどではないが、サポート役として結構な労働をしている。
疲労も、かなりのはずなのだが、それでも笑顔を絶やさないところが彼女が、彼女たる所以であろうか?

「ありがとう〜」
と、へたったまま横島。

へろへろとした手付きで、カップを手に取り珈琲を口に含む。

(あれ?)

口に含んだそれは、いつものより甘く疲れた自分への気遣いが、見える。

(すごいなあ)
と思う。
こんな風に、自分も疲れてへろへろなのに、他の人まで思いやれるなんて。
いつも自分のことで精一杯な自分には、できない。

だけど─
だけど、と思う。

人を気遣うばかりの彼女は、誰が気遣うのだろうか?
いつも元気で、笑顔が絶えなくて、優しい。
だけど、人間ならばイライラもするときだってあるだろうし、メンドクサイときだってあるだろう。
それを、誰にも気付かせない。
彼女に、感謝の言葉を言う事をあったとしても、気遣う言葉をいう事ができない。
そう、考えたら
なんかもったいないなあと思った。

何でもったいないのか?と聞かれたら答え様もないのだけど
ふいに、横島は、のろのろと顔を上げ─

「おきぬちゃんこそ、キツかっただろう?大丈夫?」

と言った。


どおしてだろう、

どおしてこのひとは、こんなに……

おきぬは、その大きな目を一杯に見開いて目の前にいるひとを見た。
別に、こまやかな神経をしているわけでもないし、正義感に溢れていると言うひとではない。
どちらかというと、鈍感だし、デリカシーというものも持っていない。

なのに、こんなふうに声を掛けることができるのだ。
もうへとへとでしんどくて、それなのに、
自分のほうが全然らくなのに

それでもきつかっただろう?といってくれる。
別にそう言ってほしかったわけではないのに
言われてから気付く

ああこんな言葉がほしかったんだと、思わせる言葉を。

そりゃもういとも簡単に。

(ああもう!!)

こんなふうに、肝心なとこの言葉を間違えないひと。
悪い処なら山のように思いつくのに


─こんなひと、好きにならないわけがない!


おきぬは、ほとんど、悔し紛れに、にっこりと笑い

そして─


「大丈夫です」

と言った


美神さん編へと続く

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