ザ・グレート・展開予測ショー

橋姫伝説 その14


投稿者名:弥三郎
投稿日時:(03/ 4/27)

『そう、そこのプロテクトを外して……そうそう。次にこの仕掛けを……』

ルシオラは大友皇子が封印されている結界を外している。
しかし、ルシオラは左腕を骨折しているため思うように操作できない。

「これで、ヨシと!ふぅ。疲れたわ。外側は完全に解けたわ。後は内側ね。」
『まだまだ罠がある。気をつけて作業しろよ。』
「こう見えても機械には強いのよ。任せなさい。」

皇子の心配をよそに胸を張るルシオラ。自分が持つ技術に相当の自信があるようだ。
その後すでに結界構造を解析していた皇子に手助けしてもらいながら順調に結界を解いていく。
コツをつかんだルシオラは解いていく速度を上げる。
しかし、皇子は慌てだす。

『ちょっと待った。』
「へ、なに?」

(かちっ)

「かちっ?(汗)」

ボムッ!!

『トラップあるから気を付けろと言いたかったんだが、遅かったか……。』
「けほっ、それを早く言ってよ……。」

小麦粉を被ったのかのように白い粉まみれのルシオラは弱弱しく文句を言った。

『いや、すまぬ。あまりにも早く作業するんでな。言うタイミングを逃してしまってな。』
「ったくもう!!小麦粉よ、これ。どうやってトラップに仕組んだのかしら。」
『そこは余にもわからなくてな。あ、因みにこういったトラップはあと14個あるぞ。』
「ええ!!そんなにあるのぉ。……解くの止めちゃおうかしら(ぼそっ)」

ルシオラの呟きが聞こえたのだろうか、大友皇子は両手を派手に振って何とか思い留めようとした。

『中途半端で投げ出すんじゃなぁい!!』
「冗談よ。ただ面倒臭いなぁってね。しかも左腕が使えないし。」
『まぁ、そうだがなぁ。よし、次は男への霊力供給経路を断つんだ。』
「分かったわ。」

大友皇子とルシオラの奮闘はまだ続く。



一方、男と美智恵は宇治駐屯地の滑走路で対峙していた。

「あなたが美神美智恵さんですか。お美しい。あなたのような方がGSとはね。世の中には奇妙なこともあるもんだ。」
「その言葉は褒め言葉として受け取ってもよろしいかしら?」
「お好きなように。」

男は優しく微笑む。
男は40代前半であろうか。黒いジャケットを着た2枚目である。ただ、眼光は鋭く狙った獲物は逃がさない
と言った感じである。
映画俳優に例えればクリント・イーストウッドと言ったところか。ハードボイルドが似合いそうな男である。

「あら、あなたこそハリウッドに出てきそうないい男よ、太秦了祐(うずまさりょうすけ)さん。」
「ほう、私の事を知っておいででしたか。光栄ですなぁ。」

男は嬉しそうに言う。

「もちろんよ。評議会(ゴーストスイーパー自主連合評議会)の生き残りで重要なメンバーと言ったら
 あなたしかいませんでしたもの。それに皇居襲撃未遂事件以後、無関係だったあなたが失踪するんですもの。
 誰もがあなたの事を不審に思うわ。」
「まぁ、頭の回転が早い人はすぐに思いつくだろうなぁ。」
「当然よ。それに、あなたは某国に入り魔族と契約を結んだわね。霊基が崩壊寸前である上に魔力の波動を感じるわ。」

魔族との契約を政府(と言うより独裁者自信)自身でやっているところはあの1国しかない。
というか公然と魔族契約を行えるのはその国だけなのである。
(因みに某国は世界GS協会から制裁を受けている)
ただし、魔族との契約を結ぶにはその国に対して「資本投下」をしなければならず、太秦はほぼ全財産を
つぎ込んだと言う。
そして、魔族との契約を成立させた後、太秦は世界中を回りGSを抹殺するもの「イレイサー」として
修行してきた。
そしてその後の足取りは途絶え、反乱軍が蜂起したときに太秦は再び世の中に名前が出ることになったのである。

「私が知っているのはこんなところかしら。」
「お見事。さすがだ。」
「反乱おこす意味はなんだったのかしら?と思っていたんだけど。まさか、京都の地脈を自分に流れ込むように
 するためなんでしょう?そして魔族との契約は行動を起こせるだけの力が欲しかったからでしょう?」

美智恵はそこまで言うと神通根を構えた。

「頭の回転が速い人は好きだねぇ。その通りだよ。今の日本を見てみろ。腐った政治家。無責任な若者。
 みんな何にも出来やしないから日本はダメになってきている。ならば、力のない天皇より私が権力を握って
 日本を再生しようじゃないかと。そして理想郷を作るんだよ。」

太秦は自分の思いをぶちまけるように早口でまくし立てた。

「国民は国をどうこうと考える必要はない。なぜなら、全部私が決めてしまうからだ。暮らしは豊かになり
 社会福祉は充実し何もおそれることはない。私が考える政策に従えば国民はすばらしい生活を送ることが出来るんだ。
 どうだね、美神さん。あなたは非常に優秀な人だ。私に協力しないか?あなたなら政府要職を保障しよう。」

半ば狂気に入った目で美智恵を見つめる太秦。
それに対し美智恵は笑った。

「生憎だけど、私は今の環境で十分満足しているわ。それに私には守りたい世界があるのよ。あなたごときに
 それを壊されてたまりますか。」

言葉は優しかったが怒気が含まれていることにこの場にいる全員に分かった。
男も霊剣武蔵を構えると周りからは静電気の音が聞こえ始めた。
2人の霊力がぶつかっているのだ。
2人は散っている葉っぱが地面に落ちるのと同時に切りかかった。


剣と剣がぶつかり合う。
力負けしそうと判断した美智恵は右足で太秦を蹴り上げバックステップで距離を取る。
腹を蹴られた太秦は少しむせながらも追いすがる。
美智恵は近づけまいと霊砲波を太秦に浴びせかける。それを払った太秦はジャンプして上から美智恵に襲い掛かる。美智恵は右に飛んで太刀筋を避ける。

「やるわね。」
「あなたも。だが、私のほうが優勢のだ。降伏するなら今のうちだぞ?」
「何言ってるのよ。勝負はまだこれからよ。」

二人の勝負はまだ始まったばかりだ。

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