ザ・グレート・展開予測ショー

とある夕陽


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 4/26)

「・・・・・。」
東京タワーの展望台の上に、横島は居た。
隣には、花束が置いてある。
「・・・・・。」
横島は、無言のまま、夕陽を見ていた。
それを見て、横島は、自分を愛してくれた、
そして、自分が愛した女性の言葉を思い出すのだ。





『昼と夜の一瞬の隙間・・・。
短時間しか見れないから、よけい美しいのね。』





その頃彼女は、全世界を恐怖に陥れた魔族アシュタロスの創り出した部下だった。
彼女は、スパイの役目を与えられた横島の手を握った。






「・・・・・。」
横島は、自分の右手を見る。
彼女の手は、小さくて柔らかくて・・・・・、
そして、暖かかった。
魔族といっても、外見は何ら人間とは変わりない。
そして、心も・・・・。
いつしか、横島と彼女は恋に落ちた。
横島は、彼女との約束を果たすため、厳しい特訓をした。
彼女は、約束を果たした横島を待っていた。
そして、横島は約束を果たし、彼女と一緒に暮らせることとなった。
しかし、それはあっという間に終わった。
生きていたアシュタロスは、今までに倒された魔物を復活させた。
そして彼女は、自分の妹との決着のために、ここへ来た。
しかし、彼女は、妹にやられそうになった。
その時、横島は彼女の妹の攻撃を、身代わりに受け、彼女は、妹を倒した。
しかし、それによって瀕死の重傷を負った横島。
彼女は、横島にありったけの霊力を注いだ。
それにより、横島は復活したが、彼女は・・・・。
「・・・・俺がもっと強かったら、お前と一緒に見られたんだけどな、ルシオラ・・・・。」
苦笑する横島。
しかし、その表情は、どこか哀しげであった。
その時、不意に睡魔が襲ってくる。
横島は、それに勝てず、眠りについた。





『ヨコシマ・・・・。』
「ル、ルシオラ・・・・?」
横島の前に、最愛の女性、ルシオラがいた。
『久しぶりね・・・・。』
「うん・・・・。」
小さく頷く横島。
『・・・・ゴメン。あの時、ウソついたりして・・・・。』
「・・・・・・別に怒ってないよ。」
フッと微笑む横島。
その顔は、どこか嬉しげであった。
『いつも、ここに来てくれて・・・。嬉しかったわ。』
「当たり前だろ?ここはお前との想い出の場所なんだからな。」
それを聞いて微笑むルシオラ。
『ゴメンね。夢の中でしか会えなくて・・・・。』
「・・・・・。」
『本当は、ヨコシマと一緒に、この夕陽を見たかった。』
「分かってたさ。」
『え?』
「だから、いつもここに来ていたんだから。」
『・・・・・ありがとう。』
微笑むルシオラ。
横島も微笑む。






『もう・・・・・、行くね。』
「・・・・・。」
横島は、ルシオラを抱きしめる。
『ヨコシマ・・・・。』
「少し、こうさせてくれないか・・・・。」
『・・・・・うん。』
ルシオラは、横島の背中に手を回す。
そして2人は、顔を近づけ、口付けをかわした。
それから数秒後、唇を離す2人。
『ねぇ、ヨコシマ・・・・。』
「・・・・ん?」
『これからも・・・、私を愛してくれる?』
「・・・バカ。当たり前だろ?」
そう言って、横島はルシオラを強く抱きしめる。
『・・・・ありがとう、私はいつもヨコシマの傍に・・・・。』





「・・・・・ん?」
目を覚ます横島。
すでに夕陽は沈んでいて、辺りは暗くなっていた。
隣を見ると、あったはずの花束が無くなっていた。
「・・・・・・またな。ルシオラ。」
フッと微笑んだ横島は、文珠を使い、下に下りる。
「・・・・・・。」
「美神さん・・・・・?」
道路に、美神が乗ったコブラがあった。
「前からいたんスか?」
「違うわよ。ドライブしてたら、偶然アンタの姿が見えただけよ。」
「1人でですか?」
「う、うるさいわね!事務所に戻るんでしょ?とっとと乗りなさいよ!」
「はいはい。」
フッと笑って、コブラの助手席に乗る横島。
美神とは長い付き合いである横島。
美神の性格はよく知っている。
ずっと前から、横島を待っていたのだろう。
十数分後、事務所へと戻った美神と横島。
「おかえりなさい。」
「おかえりでござる!」
「おかえり。」
2人を暖かく迎えるおキヌ、シロ、タマモ。
「ただいま。」
返事をする美神。
「・・・・・ただいま。」
同じく返事をする横島。
「!! よ、横島さん?」
「せ、先生?」
「よ、ヨコシマ?」
「よ、横島クン?」
驚いた表情をする4人。
「ん?どうしたんスか?」
「なんで、泣いてるの?」
「え?」
ポロッ
涙が床に落ちる。
「あれ?あれ?」
別に悲しくはないが、涙が出ている。
「ど、どうしたんでござるか?」
オロオロするシロ。
「あれ、何でだろう?悲しくもないのに・・・・。」
涙を拭う横島。






「でも、悪い気分じゃないな・・・・。」






事務所の外では、1匹の蛍が、優しい光を放ちながら飛んでいた。




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