ザ・グレート・展開予測ショー

kitchensinkさんからのリクエスト!『事務所とニボシと犬の視点と』


投稿者名:かぜあめ
投稿日時:(03/ 4/24)



〜ニボシと事務所と犬の視点と〜

(1)

(・・・どういうことだ・・?)
オレは思った。
何なんだあの事務所は・・・・。
野良をやって2年になる・・・がこんな場所ははじめてだった。



「横島ぁぁぁぁぁぁ!!!!」

バキーン

ガッシャーン

ヒューッ・・・・・・・

ゴキッ!!!

一日に一度は爆炎が舞い、鮮血が飛び散り、挙句、人が上から降ってくる。
・・・しかもである。

「いって〜な〜。容赦ねえんだから・・美神さんは・・。」
ため息をつきながら目の前に立つこの男・・・頭から落ちたというのに全くこたえた様子がない。

「なんだ?お前、野良か?・・ん〜・・あ!ニボシでも食うか?」
などと言うことを言い・・、犬であるオレにニボシを平然と差し出す・・。
・・・・バカだコイツ・・。

「まあお前も色々大変なんだろうなあ・・。貧乏人の気持ちは痛いほどわかるし・・
 ・・オレの場合好きでやってる仕事だから文句も言えんか・・・。」

ポンポンと頭を軽く叩いて・・・・がんばれよ〜、という言葉とともに男は去った。



・・・・・しばらくして・・、


「あ・・今日も来てるでござる!」 「・・毎日飽きないわね。」

いつものように2人のガキが近づいてきた。
どうでもいいがこのガキども・・・匂いが人間というより獣の・・・

「何やってるの?」
・・・・・・・・・。
「いやちょっと気になってたんでござるが・・」

・・・・・・・ん?なんだ?オレを突然押さえつけて・・・
!!!!!!
「あ〜やっぱりオスでござる。」
「・・・あんた恥ずかしくないの?同じ犬なのに・・。」
「拙者は狼でござる。何ともござらん。」

・・・んなこたぁどうでもいいんだよ!!!放せ!!やめろ!!
ムコに・・・ムコにいけなくなる!!

「・・・やめてあげたら?相当いやがってると思うわよ?」

「あ・・これは失礼したでござる。」
・・・・・。
・・やっと解放された。ガキの一人が深々と頭を下げ、部屋にもどる。
金髪だけが残った。


「・・・・。ずいぶんと小さいのね・・。まあ気にしない方がいいわ。
 男の価値は大きさじゃないから。」

・・・・・・。
スタスタスタ。
・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・やっぱりムコにはいけない。


(2)

「ごめんね、じんべえ・・。あの2人も悪気はなかったの。」
青い髪の少女がオレの頭をなでる。
ちなみにじんべえというのは本名ではなく彼女が勝手につけたものだ。

・・・センスはともかく・・生まれて初めてのオレの名だった。
オレ自身の名前。名前をオレにくれた人。
・・・・だからオレはじんべえでいい。
こんなとんでもない場所に来るのも、彼女がここにいるからだ。


・・・・・。
・・・・ああ〜冗談抜きでムコにしてくれねえかなあ〜。
送ってみてえよ。熱々の新婚生活をよ〜。


・・・しばらく妄想にふけっていたオレを・・、彼女の声が引き戻した。

「・・・・?これ・・・。」
彼女が目をとめていたのは、足元にあったニボシなわけで・・、

「・・・。・・あの人にもらったの?じんべえ・・。」
そう言って・・、彼女はふわりと微笑んだ。

・・・。

「・・これをあなたにあげた人ね・・、さっきすごく喜んでたの。
 『ポケットからニボシが出てきた〜』って・・。3日間何も食べてないんだって・・。」

・・目を閉じる彼女の頬はほんのりと赤・・・・・・・・って!!なに解説してんだよ!!
ちょっと待て!!こりゃやばいんじゃねえか!?

なんだか知らんが・・ニボシをくれたアイツがやさしいね〜・・とかそういう展開か!?

するってぇと何か!?あのバカがこの子を・・・この子があのバカを・・・・・。
・・・・・・。
ああああああああああ!!!!

「お弁当つくったら・・喜んでくれるかな?」

・・・・ああああああああああああ!!!!!

(3)

一日が終わる。
カーテンをしめながら・・、おキヌが笑いかけた。
「よかったですね。横島さん。お給料間に合って・・。」
心底ホッとしたような声である。

「今回はマジでやばかったよ・・。弁当サンキューな。おキヌちゃん」

「お金に余裕があっても無駄遣いしちゃダメですよ。ゴーストスイパーは体が資本なんですから・・。」


「・・・・・そのことなんだけどさ・・。おキヌちゃん・・。」



・・・・・・。
・・・ふっ。この間は取り乱したが・・・なんのことはない・・。奴を倒せばいいことだ。
そうこの世は下克上。無情なものだ・・。
横島とかいったか・・。
人の女に手を出した報いだ・・・。この爪のサビに・・・・・。

「おお!!こんなとこにいたのか!」
・・横島だ・・。ほう・・、少しは度胸があるようだな・・それでこそ倒し甲斐が・・。

「じんべえ!!横島さんがしばらくあなたを預かってくれるの!!」

・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・は?
「なんかお前に共感しちまってさ〜。なに食費のことは心配すんな。
 おキヌちゃんが毎日弁当作ってくれるらしいからな。」

・・・ちょ・・ちょっと待て!!オレはお前の飼い犬などには・・。
「よかった・・。じんべえ、これから毎日会えるね?」
・・・・・・。
・・・・・・・あ・・今、おいしいとか思っちまった。
「よ〜し!!ついてきやがれじんべえ。ニボシでも食わせてやるよ・・。」
「ワウ!!ワウ!!」(人語訳『だから犬はニボシは食わねえっての!!てめえ!!ぶっとばすぞ!!』)




グングンと遠のくおキヌをみつめ・・、そしてオレを抱えるコイツを睨み・・、
(いつか絶対ぶっとばす・・・。)
オレは新たな決意を固めるのだった。


〜おしまい〜

あとがき
おまたせしましたkitchensinkさん。いや〜てこずりました。
おキヌは長い話ではよく動いてくれるのにショートショートは難しいですね。
veldさん、空の助さんリクエストは絶対仕上げます(笑)がんばります。

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