ザ・グレート・展開予測ショー

奥様は妄想狂!?−前編と言うか、何というか・・・−


投稿者名:veld
投稿日時:(03/ 4/21)


 ある日と言うか、何時もの光景・・・と言うか・・・。

 炬燵を囲んで、一人と二匹。
 俺たちはそれぞれにやりたいことをしていた。
 シロはくぅ〜んくぅ〜ん楽しげ(?)なうなり声をあげながらみかんの皮を剥いでいて。
 そして、タマモはその剥かれた実を口に運んで。
 俺はぼけっ、とそれを見ながら座椅子にもたれている。

 何時もの光景で。シロはタマモが食べてしまっているのに気づいて頬を膨らませて拗ねて見せると、タマモが苦笑いを浮かべたりとか。
 忠夫さんのみかんなのにぃ・・・とか、恨めしげな視線で何故だか俺にぷくぅと頬を膨らませた顔を見せたりとか。
 そんな彼女にときめきを感じたりとか・・・(をい)

 まぁ、つまりは、本当に何時もどおりの日々って事で。



 うつらうつらとした意識の中で思い返す、先日の話。
 これもまぁ、本当に、いつもどおりといえばいつもどおりの話だった。






 「忠夫さん、今日の晩御飯、何が良いでござるか?」

 「そうだな・・・親子丼が食べたいかな」

 「親子丼・・・いやらしいわ、何か、あんたが言うと・・・」

 「どういう意味だっ!?」

 「先生・・・拙者の母上はもう・・・」

 「なっ、だぁぁぁぁっ!!違うわっ!!」

 「シロ、きつねうどん」

 「何でお前が決めてんだぁぁぁ!」

 「わかったでござるよ」

 「だからっ!!お前も納得すんなぁぁぁぁぁ!!」

 と、幾ら俺が叫んでも聞かれることもなく。

 三日連続、きつねうどん。決定。




 その、油揚げによく味の染み込んだおキヌちゃんから伝授されたきつねうどんを啜りながら、俺は隣に座る『うどんの具にならなくてもいいらしい女の子』を見つめていた。
 彼女にばかり目を向けていると、同じく隣にいるシロからむっとした瞳で見つめられてしまうので左右交互に見ることを半ば無意識にはしていたが。


 何故だか、何時の間にか三人で暮らしていた。
 シロが俺の元に嫁いで来て以来、彼女はあの事務所の中にいることにいささかの戸惑いを覚えてきたらしい。
 らしい、というのも、俺自身が彼女に確認を取ったわけじゃないから分からない、と言うことなんだが。
 彼女にしてみれば、深い意味もなく何気なくそこに居れる場所、というのが、俺の部屋になったらしく、最近では、夜眠る時もこの部屋で過ごしている。
 婚前には何かともめていたシロとタマモだったが、お互いに落ち着きと言うものを持ったのか、噛み付きあうようなことはなくなった。
 寧ろ、仲がいい。これでもかっ、ってくらいのコンビネーションを持ち合わせることができるまでに。彼女らの友情は確固としたものになりつつある。
 なってるか・・・もう既に。
 元々、彼女らの中の悪さというのは、仲の良さゆえのものであった部分もあるし(つまり、喧嘩するほど仲が良いって奴だったのだろう)。素直になれば、二人とも、けっして気が合わないわけじゃない。
 それは良い事だ。素晴らしいとさえ言える。

 「・・・しかし、だ」

 「・・・?」

きょとん、とした顔で俺を見るシロ。タマモは唐突に喋りだした俺の頭を心配するように尋ねる。その手に持った器の中には、中身は、殆ど入ってはいなかった。

 「何よ?忠夫」

 「何で、『忠夫』・・・なんだ?」

 「・・・?何かおかしいでござるか、忠夫さん」

 何がおかしい?・・・おかしいですよ、ええ、おかしいさっ!!

 「お前はそれで良いのかっ!?我が愛妻よっ!!」

 「あいさい・・・(ぽっ) 忠夫さん・・・まだ、営みをするにはいささか早すぎるでござるよぉ・・・」

 何を言われるのか、我が妻よ(汗)?

 ぽやん、とした表情を浮かべたその後に、ぽっ、と顔を赤く染め、頬を押さえる彼女は正真正銘の天然妄想娘さんである。
どうして・・・愛妻から夜の・・・ごにょごにょにまで行き着くことができるのか・・・出来うる事なら頭の中を覗いてみたいものである(汗)。

 「あ、すんの? それじゃあ・・・、あたしは台所から温かく見守ってるから」

 「何をっ!?って言うか見守るのかよっ!!って、違うだろうがっ!!・・・くっ、ツッコミどころが多すぎてどこから攻めていけば良いのかわかんねえっ!!」

 「忠夫さん・・・拙者、頑張るでござるよっ♪」

 服をゆるゆると脱ぎ、徐々に貧相とは言えなくなりつつある身体を晒そうとしながら、彼女は笑顔で俺に言う。晒されたスポーティーなブラが目に止まる。
 正直に言おう、俺は見惚れていた。そのくらいに、彼女の笑顔(三割)と姿態(二割六部三厘)に魅せられていた。(残りの四割三分七厘は彼女の気持ちさっ♪)

 「シロ、頑張んなさいよっ!!」

 が、この台詞にいろいろと人間として大事なものを取り戻させられた(受身)。

 「だぁぁぁぁぁっ!!服を着ろっ!!っつーか、何を言ってんだっ!?タマモよぉっ!」

 思わずシロから目を逸らしつつ、叫ぶように言う俺。隣に住む小鳩ちゃん親子にとってはえらい迷惑な話かもしれないけれど・・・今の俺には考える余裕もなかった。

 衣擦れの音が止み―――すすり泣きが後ろから聞こえてきた。
 うっ・・・うっ・・・って、何か胸をきゅっと締め付けるような泣き声。
 振り返り―――絶句する。

 「タマモ・・・忠夫さんが拙者の身体に飽きたって・・・」

 「良いの・・・シロ、泣いてもいいの。全然、悪くなんてないっ・・・あいつが悪いのよ・・・男なんて・・・男なんてね・・・」

 シロはタマモに背を擦られながら―――泣いていた。
 アホか、と言う言葉を飲み込む。
 恐らくは・・・マジだ。こいつは―――。少なくとも、シロは絶対にマジだ。

 「違うっ!!飽きるわきゃねーだろうがっ!!って、違うっ!!こんなことを言ってる俺っ、違うぞぉぉぉ!!!」

 何やら、わけが分からなくなってきました(汗)


 「・・・忠夫さん、それじゃあ、営みでござるなっ!!」

 「だから、何でそっちの方向に行くっ!?」

 「いつものあんたの行動がそうさせるのね・・・」

 「しみじみ言うなっ!!虚しくなるわっ!!」

 「んじゃ、先生・・・」

 おお、見事なぬぎっぷり!!ってっ!!

 「だから、脱ぐなっ、って言ってるだろうがっ!!」

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