ザ・グレート・展開予測ショー

彼の大きさ(9−6)


投稿者名:ANDY
投稿日時:(03/ 4/21)

「―行くぜ!!狂乱角とやら!!!」
 俺は自分を奮い立たせるように声を上げ、霊波砲を連射しながらムカツク奴に迫った。
「タイガー、雪乃丞の援護をするぞ!」
「了解ですジャー!」
 俺の後ろから、俺の大事なダチ二人の声が聞こえた。
 俺はそんな頼りがいのある声を聞きながら、今はいないダチのことを思った

 ママを失って、俺には友達って呼べる者は出来ないって思っていた。
 だが、今じゃあ頼りになる奴らが俺のそばにいる。
 決して何らかの知り合いって言うわけじゃなかった。
 いや、ダチの一人には、誤解とはいえ殺気をぶつけられたこともあった。
 だが、今じゃあそんなことなんて忘れて、一緒にバカやったり、飯喰ったり、酒飲んだりしている。
 こんな関係になれたのは、たった一人の大バカのおかげだ。
 根性がないように見えて、土壇場で踏ん張り、周りがあきらめてるのに、自分はあきらめず、そんなでたらめな一人の男に誘われるように俺達は出会った。
 俺はそんな奴をダチに持てた事を誇りに思った。
 だが、あいつは今俺のそばにはいない。
 なぜだ?!
 ・・・オマエラガウバッタノカ!
 俺は、自分の身を持って実感している。
 怒りは限界を超えると、感覚をシャープにするんだ、と。
 あの日、あのときの機内の様子のビデオを見て、俺は悔しかった。
 そこに映っていたあいつは、傷を負っているのに魔族を難なく倒し、乗客の安全を確保するなんていう離れ業をしていた。
 悔しかった。
 あいつに置いていかれているようで。
 初め、アイツと俺の力関係は、俺のほうがアイツより前にいた。
 だが、何時の間にかあいつは俺の横に並ぶようになっていた。
 俺は嬉しく思い、『さすが俺のライバルだ!』と思っていた。
 だが、共に妙神山での修行を終えたあたりから、お前はどんどん強くなっていった。
 俺も修行をしてお前に追いつこうとした。
 だが、差は一方的に開くだけだった。
 もし、俺がアイツと同じ状況に陥ったとき、アイツと同じことが出来るか?
 答えは、否、だ。
 それから俺はもっと強くなるために修行をした。
 世間はあいつは死んだもんだと思っているが、俺達は違った。
 俺達はあいつがいつか絶対帰ってくると信じているし、それは間違いないことだと確信もしている。
 だから、あいつが帰ってきたときに俺は胸を張ってあいつに会えるように、あいつのバカ面に一発良いのを食らわせてやるために修行をした。
 他のダチも同じ考えだったらしい。
 俺はそれが嬉しかった。
 そんな時、あのときの奴と同じ奴が出たという情報を受けた。
 俺はすぐにその場所に飛び、そして今ここにその親玉のような奴と戦おうとしている。
 おい!横島!!俺の修行の成果を見せてやるぜ!!!
「喰らえ!GSパーンチ!!」

 今、僕の友である雪乃丞の攻撃が始まっていた。
 雪乃丞。
 彼とは不思議なものだ。
 GS試験では、僕は誤解だったとはいえ、彼に殺気をぶつけ、戦ったことがあったのだから。
 それが、今では学校以外での一番の友人の場所を占めている。
 不思議な縁だ。
 彼と僕に縁を結んでくれた人の方がもっと不思議だが。
 僕はヴァンパイアハーフという、妖怪に属するもので、外見からはわからないだろうが、数百年のときを生きてきた。
 その中で、友人と呼べる人も何人かはいた。
 だが、彼らは僕のことを『ヴァンパイアハーフ』としか見ておらず、『僕』を見ていなかった。
 それは仕方がないことだ。
 いくら友人とはいえ、根本的に種族が違うのだから。
 僕はどこか諦めにも似た感情を持っていた。
 だが、彼はそんな僕に『うらやましい』と言った。
 『何でお前ばっかもてるんじゃー!』と、自分の感情に素直に従い僕に詰め寄ることが何度もあった。
 彼は、『ヴァンパイアハーフ』ではなく、『僕』として認識して接してくれていた。
 彼のおかげで、初めての学校でもすぐに友人が出来た。
 彼のおかげで僕は今まで過ごしてきた時間で最高な時間をくれた。
 だが、今彼はいない。
 なぜ?
 アナタタチガ!!
 あのビデオを見てから、僕は必死で強くなろうと修行した。
 もし僕が彼と同じ状況だったら、あそこまで事をうまく運べるだろうか?
 答えは、NOだ。
 それが僕は悔しかった。
 彼に置いていかれるようで。
 だから修行した。
 彼が帰ってきたら、彼にこう胸を張って言えるために。『あなたの背中は任せてください』と。
 他の友人達も僕と同じ気持ちのようだった。
 それが嬉しかった。
 そんな僕に、ある情報が来た。
 あいつらが出たと。
 そして、今僕達は多分この中で一番強い奴と戦おうとしている。
 横島さん、見ていてください!これが今の僕の力です!!
「ヴァンパイア・ウェーブ!!」

「タイガー、雪乃丞の援護をするぞ!」
「了解ですジャー!」
 ワシは、ピートさんの呼びかけに答え、自らの身体をトラへと変えた。
 ワシは他の二人と比べて、霊的攻撃はそう強くない。
 が、それでもワシは戦うんじゃ!
 少しでもあの二人の手伝いが出来るように!
 こんなワシを友達と認めてくれたんじゃカラ!
 ワシらは本当に奇妙なもんじゃった。
 最初は敵同士だったのが、いつのまにか一緒に戦うようになって、一緒にクリスマスパーティなんて洒落たもんをするほどになっとった。
 不思議じゃあ。
 こんな関係になれたのはアン人のおかげじゃ。
 アン人は不思議な人じゃっタ。
 一回、上司の命令とはいえ、あの人を縛り上げて大変なめに合わせたことが会った。
 せっかく出来た友達じゃったのに、ワシは自分から捨てるようなことをしてしまった。
 が、次の日学校に行くと、アン人はワシに『一緒に飯食おうぜえ〜』と声をかけてくれたんじゃ。
 ワシはほんまに嬉しくって、泣いてしもうた。
 それから、アン人と一緒に学生をやって、一緒に戦うこともあるようになった。
 アン人はだんだんと強うなっていかれた。
 ワシはアン人の背中を眺めるしかできんかった。
 あの時、わしはビデオを見てから、少しでも力が欲しくて修行をした。
 片っ端から探してワシに使えそうな呪法具を探したし、強くなるよう身体をいじめたんじゃ。
 同じ背中を見るんでも、アン人に『背中は任せてつかあさい!』と言えるようになるために。
 そんなワシに、ある情報が来た。
 あの、むかつく奴らが出たと。
 そして、今ワシは大事な二人友達の背中を見ている。
 横島どん、見とってつかあさい!これが今のワシの力じゃ!!
「タイガー・イリュージョンじゃあ!!」

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