ザ・グレート・展開予測ショー

〜LOST〜(5)


投稿者名:かぜあめ
投稿日時:(03/ 4/20)



雨が降りしきる夜の中、照らす光も月もなく―――

・・・・。
小刻みに揺れるバスに乗り・・・、横島たちは目的地へと向かっていた。
タマモの話が確かなら事件の鍵はこの先にある。
場所は都立第3高等学校・・・・失踪事件の震源である。


〜LOST〜(5)


「横島く〜ん!」

「?おお!もう来てたのか。」

バスを降り立つ横島たちを待っていたのは・・、
使いに出されたシロ・・・そしておなじみ除霊委員のメンバーだ。
「今回ばかりは頭が下がるわ・・。お前らしかつかまる奴がいなくてな〜。」
本当に頭を下げる横島にピートが首を振る。
「事情はシロさんから聞いてます。・・放っておくなんてできませんよ。」
タイガーも愛子も異論はないようだった。


少しだけ雑談を交わしながら・・、人のいない校庭をゆっくりと歩く。

「・・でも良かったんでしょうか?八重崎さん・・やっぱり誰かに預かってもらった方が・・。」
うしろを歩く彼女を見ながら、心配そうにおキヌがつぶやいた。

「たしかにそうなんだけど・・依頼が入ってるんだろ?目ぼしい奴らはみんな・・。」

「ええ・・。霊波が乱れて今日は少し低級霊がうるさいですから・・・・。」


・・・・。
しかしピートは思うのだ。それにしてもこのタイミングで・・・と。
選択の余地などというものがほとんどないこの状況・・・。

「・・事務所にいるより近くで待っててもらった方がいいんじゃないかな、護衛もつけるしさ・・。」
横島が言う。
・・・・これも・・選択の余地がないということか・・。
・・・・・・・。

     



「――・・着いたようでござるな・・。」

玄関の前。
その建造物をシロが見上げる。
都立第3高校・・神隠しの2年後、当然のごとく廃校となり・・
・・・今はかろうじて一本のバスが通るだけ。
人の出入りなどあるはずもない。

「おお、おお、けっこう凄い霊気放っちゃって・・ここでいいのか?タマモ」

「美神さんの話なら・・ね。」
わずかに強張ったようなタマモの声。
彼女でも多少なりと緊張しているようだ。
「頼むからみんな無理はするなよ。急だったから文殊があんまり無いんだよ。」
文殊・・霊力を凝縮し、キーワードで一定の特性を持たせ解凍する横島の得意技なのであるが・・

「そうなの?一体何個・・・。」
「え〜と・・ひい・・ふう・・みい・・5つだな。」
その時、珠を数える横島の懐から二つの文殊がコロコロと落ち・・、
「なんだまだ2つもあるじゃない。数え間違いよ。横島くん。」
「・・あ!それは!!」
・・・・・。
『透』『視』
・・・・・・・・。
その場に居る女性(八重崎、シロを除く)がこの2つの文殊の効用を想像し・・そして・・。
コオオオオオ。
どこからが冷たい風が吹いた・・。
「いや!!そのなんていうかオレの力の源は煩悩だったりするわけで・・
 ・・あ!それに実際使ったらレントゲンみたいで何も・・・というかそれは校内の構造を調べるために・・」
「「「問答無用」」」
女性陣の声が重なる。
「む・・無用って・・!!ちょっとは有用に・・
 あの〜タマモさん何ですその火は?・・・・!!そこ!なんで机を振りかぶって・・って!!」

うっぎゃあああああああああああああ!!!
月の無い夜・・・。悲鳴は雨音をかき消すほどに轟いた。
          ・
          ・
          ・

「・・痛って〜。たんこぶ出来てるよ・・。」

予想外?の負傷を負った横島におキヌはヒーリングの処置を行っていた。
本当に痛そうな横島の様子に彼女は困ったような笑顔を浮かべる。

「やっぱり美神さんみたいにはいかんもんかな〜」
ため息をつく彼に・・しかしおキヌは穏やかな声で・・
「・・そんなことありませんよ。
 横島さんがいつも通り振舞ってくれたおかげで・・みんなの緊張がほぐれました。」

・・そう言った。

「念のため言っとくけど・・・そんなつもりは全くなかったぞ・・・・。」
肩の荷がとれたとしても・・それは偶然、
そう言いかける横島に彼女が首を振る。
「だからですよ。無意識にだから逆にみんな安心できる。
 横島さんについていこうと思うんです。」

まっすぐ彼をみつめている。
・・・・・・。
ザーザーと降る雨の中、そこで話が少し途切れて・・・
横島は・・それこそ無意識に彼女から視線を外していた。

「そんなもんかな〜・・・。」

「そんなもの・・・・ですよ。」

・・・・。
途切れ途切れの会話・・。
・・・どこか・・妙な雰囲気だった。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
「せんせ〜!!まだでござるか〜!!」
遠くからシロが叫び・・、そこで二人ははっとした。
「・・!あ・・横島さん治療・・終わりましたから・・。」
「ん?そう?じゃあそろそろいくか〜」

そう言い同時に立ち上がり先にいる仲間の元へ小走りをして近づいていく。
彼らはバカをやりながら、下を向く八重崎を慰めていて・・
その顔には先ほどの緊張は浮かんでいない。

さきほどから少し考えていた。
おキヌの言葉は慰めなのか本心なのか・・・。
目の前の光景を見ると一外にウソとは言えないわけで・・・、

(ほんとにそんなもんなのかな〜)

そう思い横島は首をかしげた。



〜あとがき〜
横島はウソを言っていません(笑)
今回彼は本気なので「透」「視」で校内の構造はちゃんと調べているようです。
でもこの2個を使ったがために後で泣きを見ることに・・(笑

ご意見・ご感想お待ちしています。リクエストも執筆中ですのでお楽しみに!








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