ザ・グレート・展開予測ショー

妙に似たもの同士


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(03/ 4/19)

「もうちょっとなんだけどなぁ」
壊れたオルゴールをひょんな事から手に入れた。
「捨てちゃえばいいのに、と美神は言っているのだが、
スパナやらドライバーやらを持ち出して手を加えているタマモである。
「面白いので御座るか?」
シロもあまり興味がなさそうなのだが、タマモというと。
「うーん、動きがぎこちないのがなぁ・・」
音は出るが音楽になってないのである。
と、そこに。
「こんんちゃーす」
横島が顔を出す。
「あっ、横島!」
「なんだよ。タマモ」
「ちょとこれ見てよ」
「何々?」
横島も機械いじりや工作作業が得意な男である。具合を聞くとすぐさま。
「はーん。ビスの一部が出っ張ってるんじゃないかな?」
と、タマモが使っていた工具一式を使い縦横に見回す。
「直りそう?」
覗き込むようにしてタマモが言うと。
「あぁ、簡単だな。こりゃ」
物の数分で直してしまう。
「さすがはお師匠様で御座るな!」
シロの言葉、皆一様に同意見である。
「うーん。機械いじりには負けるわね」
オルゴールが直った事よりも自分に治せなかったのがややひっかっかるらしいタマモである。
「そんな事ないぜ。ここまでよく独学でやったもんだよ」
手放しで褒める横島を見る限りタマモも機械いじりにセンスがあるといえようか。
「そう?私は面白そうだからやってたダケなんだど」
「面白そうねぇ」
「うん。結構面白い!私料理とかよりもこういうことのほうがいいな」
女の子らしくないわねと、オキヌちゃんがあとから漏らしたとか。
そんな事があった数日後。
この時も美神事務所の面子が集まっている。
「あら?何のCDかな?」
見慣れないCDがあるのを見つけた美神令子が何気なく入れてみる。
「ん?聞いた事があるような、無いような・・」
年上の美神がこの様子ではオキヌちゃん、ましてやシロにわかるはずもなく、因みに鈴女も判るハズが無い。
だが、タマモが。
「あっ、ビートルズじゃないの」
今更といえなくも無い大家のCDである。後で判ったことだが母親美知恵の忘れ物であった。
「へー。あんたビートルズなんて知ってたんだ」
「うん。私このバンド好きなのよ」
「ふーん。結構古風なトコがあるのね。アンタって」
かなりお気に入りの曲が入っているらしく、オーディオの前で聞き惚れるタマモである。
「拙者はモーニング娘。とかの方がいいで御座るなぁ」
「私は氷川清が好きなのよ〜」
と、シロのオキヌちゃんである。因みに美神はユーロビートがお気に入りとか。
そこへやってきた横島が耳にするなり。
「ビートルズっすか?これ美神さんの?」
「ううん。違うけど・・ってアンタも知ってるの?」
「そっすねー。けっこう、いやかなり好きっすよ。音楽の中では」
そう口にしたから。
「横島もそうなの!私も好きなのよ。このシンプルなのがいいのよね」
どういう歌詞かはわからないんだど話になる。
「あぁ、俺も詳しくはしらないけど」
と断った横島であるが、これは所謂ウソと言う奴で。
「今流れてるのはLove Me Do って奴でな。俺を愛してよって奴なんだ」
「えー、そんな陳腐な歌詞なの?」
「あぁ、それにビートルズって結構恋愛物が多いンだぜ」
例えばポンキッキーズの終わりの奴も恋歌だし、と一端の説明が出来るのである。
「アンタホントにすきなのね。ビートルズ」
と、あきれるまでもないが、以外だな、と美神令子はこの時思った。
それから数日後。
「お菓子買ってきたよ」
と、タマモがお使い帰りのおつりを保護者了承の元幾つか買ってきた。
明治製菓のロングラン、マリーシリーズという奴である。
別段文句も無いし、それでお茶をはじめようとしたとき、今回のパターンで横島がやってくる。
「ちゃーす、お茶菓子、もらい物なんすけど、もって来ましたー」
と、手に持ってたのが読者もお分かりの通りマリーシリーズである。
「ありゃ?同じ物っすか?ちょっとしくったっすかね?」
なにぶん、大人数なのでぴったりの数である。
「ねぇ、タマモは何でこれ買ってきたの?」
と、ビスケットをほおばりながらタマモに聞いた答えは。
「うーん。やっぱり好きだからかなー」
では横島はというと。
「えぇ、小さい頃から食ってますから。やっぱし」
お菓子の中では好物であるという。
更に、
「あっ。このCM好き!」
テレビを流していた時、ペプシマンの帽子を引っ剥がそうとするCMである。
「タマモも?俺も最初見たときうれしかったんだ」
横島が同調する。
「うれしいって何よ」
この頃妙に気の会う二人をなんとなく面白くないと感じはじめる美神令子である。
だが、これが追い討ちとなった。
食事に行けばタマモが狐饂飩なら横島が狸そば、最近気になるニュースが全く同じ。
更に。
「あ、あんたたちどうしたのよ?」
偶然にも。
横島は安売りで買ったトレーナーと、タマモがさる景品で手に入れたジャンパーが。
「ペアルックになってるでござるぞ!」
いささか鈍いシロも心面白くない。
しかしながら。
「いや、意識してるワケじゃねーんだって。ここんトコ偶然が続いただけだって」
弁解する横島はタマモに目で合図する。
「そ、そうよ。私が横島に対してそ、そういう思いなんて、ねぇ」
逆にはっきりと否定されて、しなだれる横島であった。
「悪い事、しちゃったかな?」
その夜、ぐーすか眠っているシロを他所に綺麗な星空を眺めるタマモである。
「でもなぁ、機械いじりって私好き見たいだし、音楽のセンスも似てる」
似たもの同士なのかな?あいつと私って、でもなぁ、似たもの同士ってどうなんだろ?」
オキヌちゃんが定期購読している女性誌を星明りで見る。
「ふむ。趣味が一緒のカップルは長続きしやすく、気安い関係が築きやすい、か」
更に詳しいことまで、書いてあるが、全部は読まず。
「私と横島ねぇ、確かに私が本気になれば、悪いけど、美神さんにだって負けないけど」
本気になれるかしらと、せん無きことを考えつつ夢に入った。
雀が目を覚ましたと同時に。
「きゃつ!」
妙に色っぽい第一声を挙げたタマモにシロも夢から現実に戻る。
「どうしたで御座るか?」
「ん?ななんでも無いのよ。あはははは」
「人騒がせな、いや狼騒がせな奴で御座るな」
と、再度夢の住人になろうとしている。
「やーねー。昨日ヘンな事かんがえてるからぁ」
タマモはどちらかといえば熟睡タイプ、夢を覚えられるタイプではないのだが、
「もう、やんなっちゃう。どーして私が横島に助けられてお姫様抱っこなのよぉ〜」
最初は膨れ面、だがだんだんと顔に笑みが咲き始め最後は声を殺して笑う。
「うふふ。なんだったのよ。アレは私の願望?でも、横島はあそこまで強くないでしょ?でもいいなぁ」
って自分でも何をいてるのか、第一相手を覚えていないのに。と反語を繰り返している。
何故なら。
「な、何か考えて無いと恥ずかしいわよ。わ、私夢の中でキャミ一枚だったし」
キス。されちゃった。
なぞを脳内リフレインが始まるともう笑いが止まらなくなる。
だ、そうである。だが
これは確実に近い未来で現実となりうる。
それは先の話であり、今では無い。
その先を知るのは今現在、我が盟友だけである。

FIN

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