ザ・グレート・展開予測ショー

#ルシオラ救済SS!『異なる結末──』


投稿者名:湖畔のスナフキン
投稿日時:(03/ 4/13)

「この辺でケリをつけましょう、ベスパ!」
「フン、地下鉄に移動したのはポチを逃すためか……ムダなことを!
 悪いがアシュ様の命令は必ず実行する。今の私にアンタ勝てないよ。覚悟はいいね?」
「あんたがアシュ様についていこうと決めたように、私は最後までヨコシマと一緒よ!
 女どうし、ホレた男の未来を賭けて勝負よ!」

(やっぱり──死ぬ気だね、ルシオラ)

 ルシオラとベスパが空中へと飛び上がる。
 そのまま空中戦が始まった。


 バゥン!
 バッバッバッバッ……

 横島はルシオラが乗り捨てたバイクに乗って、地下鉄から地上へと出た。
 すぐ傍に東京タワーがある。
 空中を見上げるとタワーをバックにして、ルシオラとベスパが霊波砲を撃ち合う光景が目に入った。

「あんなとこで──くそっ!」

 夜間なので、タワーの入り口にはシャッターが下りていた。
 横島は文殊で、入り口のシャッターを破壊する。

「見捨てて行けるわけねーだろっ! まだ死ぬな、ルシオラ!」



 ズガン!

 ルシオラはベスパの攻撃をかわした。
 ベスパのその一撃は東京タワーに命中し、据え付けられていたアンテナを破壊する。

「そこっ!」

 ベスパは間隔をあけずに連続で霊波砲を放った。
 しかし命中する寸前に、ルシオラの姿がフッと消える。

「あそこか!」

 ベスパの背後に現れたルシオラが、霊波砲を撃った。
 しかしベスパはルシオラの攻撃をぎりぎりのタイミングでかわす。

「幻術のキレはいいね。ロウソクの最後の瞬(またた)きってわけかい。けど──スピードがもうがたがただよ!」

 ベスパは空中を移動するルシオラの行く手を遮(さえぎ)った。

「せめて相打ちに──!」
「動きがワンテンポ遅いよ! もう手遅れだね」

 ルシオラより一瞬早く、ベスパの手にエネルギーが集中する。

「さよなら、姉さん!」

 ガシャン!

 その時、タワーの展望台を突き破って横島が空中に飛び出した。

「今だ、ルシオラ!」

 ベスパの放った霊波砲の軸線上に、横島が飛び込んできた。

「サイキック・シールド!」

 横島が両手を突き出した。
 その手から発生した円錐状の霊気が横島の全身をカバーする。
 さらに『盾』の文殊を使い、シールドを強化した。

「このクソポチ! 最後まで私とアシュ様の邪魔を──」

 ベスパが霊波砲の出力を強める。
 とうとう横島のシールドが耐えきれなくなり、横島はベスパの攻撃を浴びてしまった。

「ヨコシマ!」

 ルシオラが叫びながら、霊波砲を放った。
 その渾身の一撃はベスパを捉え、ベスパの胴体を吹き飛ばす。

(誤算だったね。ポチのやつ、自分を犠牲にしてルシオラを守りに──)

 ベスパの目から、一筋の涙が零れ落ちる。

(アシュ様!)

 やがてタワーの下の方から、一筋の爆炎が舞い上がった。



「ヨコシマ、ヨコシマ、しっかりして!」

 ベスパの攻撃を受け意識を失った横島に、ルシオラが必死になって呼びかける。

「なんで助けになんか来たのよ、このオッチョコチョイ! 美神さんの所へ行けって言ったでしょ!?
 私がやってきたことは全部ヨコシマのためだったのに、ヨコシマがやられちゃったら意味ないじゃない!」

 ルシオラは横島の頭に手をあて、上体を起こす。

「細胞が死にかけている──ベスパの妖毒が回りかけているんだわ!」

 ルシオラは横島の頭を自分の胸の中に抱きかかえる。

「──感じる! ヨコシマの霊体が、霊基構造が壊れかけている!
 目をあけて、ヨコシマ! 霊力を上げるのよ! 霊力がなくなったら生命も消えちゃう!」

 しかし横島は、ピクリとも反応しない。

「……死なせない、どんなことをしてもよ……」

 ルシオラは横島の頭を抱え、唇を重ね合わせた。

(生きて! ヨコシマ──)

























 ピクッ!

 横島の指がわずかに動いた。

(生きてる!)

 ルシオラの指に、いっそうの力がこもる。

























 ハッ!

 横島が意識を取り戻した時、目の前にルシオラの顔があった。
 ルシオラの手が横島の頭を強く押さえており、唇から何かあたたかいものが横島の体内に流れ込んでいた。

 横島はびっくりして、目をぱちくりさせる。

「気がついたのね!」

 横島の目が開いたことがわかると、ルシオラは唇を離した。

「あ……あれ!? 俺は──」
「壊れかけてた霊基構造を私のもので代用したの。もう大丈夫よ」
「そ、それで、おまえは何ともないのか!」
「平気ってわけにはいかないわね。でも大丈夫……」

 ルシオラは立ち上がろうとするが、少しフラついてしまう。

「お、おい、本当に大丈夫か!? みんなのところに行った方が──」
「ダメよ、そんな時間はないわ! それにヨコシマ一人で行くより二人で行った方が勝つ可能性は高くなる──」

 しかしルシオラの表情は苦しそうだ。
 何か道がないか──横島は必死に考える。

「そうだ! 合体できないか、俺とルシオラで」
「そうね。このままアシュ様の元に行っても勝ち目は薄いわ。今ならヨコシマの中に私の霊基があるから、問題ないはず──」

 ルシオラは横島の体を軽く抱きしめ、触覚を横島のこめかみにあてる。
 スウッとルシオラの体が、横島の体と重なり合った。

「ルシオラ、大丈夫か?」
(ええ、体の痛みも無くなったわ。もう大丈夫よ。それに霊波の質が変化したから、もうアシュ様のジャミングも効かなくなっていると思う)

 横島が『飛』『翔』の念を込めると、一個の文殊に二文字が埋まった文殊が現れた。

「よし、行くぞ!」

 横島とルシオラは、決戦の場へと飛び立っていった。

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