ザ・グレート・展開予測ショー

先生と一緒っ


投稿者名:逢川 桐至
投稿日時:(03/ 4/11)



 なぁ…

「なんでござるか?」

 なにしてんだ、おまえ?

「先生と散歩に行く前の、朝の支度でござる」

 ごそごそと、聞こえて来る雑音に目を覚ませば、何やら配膳している見覚えのある後ろ姿。
 そして卓袱台の上から、匂って来る濃厚な肉の臭い。

 何事かと声をかけてみりゃ、シロは、んな事をぬかした。
 思わず目を目覚ましに向ける。

 おまえ… 今、何時か判ってんのか?

「んと… そろそろ5時でござるな。
 散歩するには丁度良い時刻でござるよ」

 同じ様に目覚ましを覗き込んで、嬉しそうにそう曰う。
 疑念の欠け片もなくそう思ってる瞳が、きらきらと期待に輝いていた。

 って、ちょっと待てぃ!

「なんでござるか?」

 なんでもクソもあるかぁ〜いっ!
 日も昇っとらん内から、他人んちに押しかけといてそれか?!

 いくら温厚な俺でも、しまいにゃきれるぞ。

「だから言ったじゃない。
 いくらヨコシマでも、昨日の仕事終わったの2時じゃ、嫌がるに決まってるって…」

 そうだぞ、その通りだ。
 しかもいつも通りの肉体労働、3時間と寝とらんのに、散歩なんぞしてられるか! 

 …って、ちょっと待てぃ!

「何よ?」

 おまえはおまえで、何をしてる?

「シロを止めに来ただけだけど?」

 だったら、今啜ってるソレは何だ?

「えっ?
 あぁ、止めても止まりそうに無いし、こんな早くから動いたからお腹空いちゃったのよ」

 で、俺の買い溜めといた特売1個58円也の、○いきつねを勝手に食ってると。

「ヤダ…
 目の前にこんなモノがあったら、我慢出来る訳ないじゃない」

 あぁ、さいですか…

 邪気も何も無い瞳で、極当然の事と口にするタマモの笑顔。
 何かもう、どうでもよくなってきたわ、マジに…

「さ、先生。 拙者の作った朝餉を食したら、一緒に散歩に行くでござる」

 そう言って手を差し伸ばした先には、所狭しと並んだ幾つもの肉料理。
 ちなみにサラダもご飯もトーストも無し。
 焼いた肉、揚げた肉、炒めた肉。 肉々々々、肉尽し…

 朝っぱらから何を作っているか、シロ?
 と言うか、その肉の山はどっから調達した…?

「事務所の冷蔵庫から持って来たのでござる。
 あ、大丈夫でござるよ。 美神殿達の分も、ちゃんと作ってから来たのでござるから」

「ま、あんだけやっときゃ、コレくらい無くなってても判らないわよ。
 どうせ食材の管理してんの、ミカミじゃないんだし」

 ま、いいけどよ…
 にしても、本当に止める気有ったんか、タマモ?

 仕方なく流しに向かうと米を研ぐ。

「何をしてるでござるか?」

 米も無しに食えるか、こんなん朝っぱらから。
 と言う事で、炊き上がるまで俺は寝る。

「そんなぁ…」

 食材を調達してきた事に免じて、散歩は付き合ってやるから、そのくらい待て。

「うぅ、仕方ないでござる…」

 お急ぎモードなら、40分かそこらで食えるのだ。
 それから飯にしたって、7時前には出られるだろう。 いつもの俺なら、起きてすら居ない時刻だ。 そのくらいの我慢は、して貰おうか。

 ところで、タマモ。

「何?」

 せめて、それで終わりにしろ。 人の非常食、幾つ食らう気だ?

「ちぇっ… ケチ」

 4つも食っといて、言うか普通?

 まぁ、いい。
 米が出来るまで、起こすんじゃないぞ。

 言い残して、布団へ戻る。
 疲れはまだ残っているから、俺は簡単に眠りに落ちた。

 ・

 ・

 ・

 ……むぅ。

 炊飯器の発てた音に目覚めて見れば、がっちりとホールドされた両の腕。

 起きられん…

 すうすうと、左右から聞こえて来る寝息は非常に安らかで、無理に起こすのも躊躇われる。
 しっかしよくもまぁ、こんな狭い布団に潜り込む気になったものだ。
 タマモにしてもシロにしても、申し訳程度に布団は掛ってるけど、これじゃ寒かろうに。

 ったくしょうがねぇなぁ、こいつらは…

 この状態は、それでも気分の悪いモノで無し。
 好きにさせとく事にした。

 考えて見ればこの二人とて、昨晩、布団に入った時間は大して変わらなかった筈だ。
 掛け布団を、足でどうにか縦から横へと掛け替える。 両手が拘束されているので、結構難しかったが。

 これで、俺の足は飛び出ちまうが、この二人なら何とかそれでも収まった。

 全く、人騒がせだよなぁ、こいつらも…
 俺も、もう一眠りするか。

 ふぁあぁぁぁ…

 ・

 ・

 ・

 涙目で訴えるシロに負けて、学校をさぼっちまったのは秘密だ。

 3人して目が覚めたの、昼近かったんだよ。
 昼からでも通おうとか思うほど、俺も勉強したい訳じゃないしな。

 タマモが散歩についてきたのは、結構意外だった。
 帰るなり、またカップうどん食われちまったから、それ目的だったんだろうけど。

 ・

 ・

 ・

 それはいいんだが味を占めたか、週に一度は目が覚めると二人が揃って両脇で寝てる様になった。

 頼むからバレない様にしてくれよ、二人共。
 …俺の命が懸ってるからな。

 絶対だぞ…
 美神さんに殺されたら、おまえらの所為だからな。



 【おわる】



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……ぽすとすくりぷつ……

 今度は、4日ほど遅れてもうた(苦笑)
 定期的にアクセス出来んのに、日取り決めて転がそうなんざ無理だよな、やっぱ(^^;
 ま、大体、半月に一度って事で。

 それはそれとして…

 似た様なものしか書けないのは、引き出しが狭過ぎるからだな。
 って言うか、何でソコに居るのか、タマモ?(^^;

 シロの話を、媚び売る為に(爆)……書き始めたと言うのに、気が付けば出てた。
 タイトル決めて、肉料理を並べてる辺りまでは居なかったのにねぇ…
 揚げ句、寝てるし。

 ちなみに、何でその後の訪問を断らないかと言えば、貴重な蛋白源ごとの訪問だったりするからだ(爆) その度に買い置きのカップメンが減って行くのは、まぁご愛敬って事で。
 ついでに言えば、手は出してない。 それでもバレたら美神にしばかれるのはお約束(^^;

 『例えば…』の続きは書いてるけど、短く纏まらないので、また今度。


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