ザ・グレート・展開予測ショー

そして再び劇幕は開く!(後編)


投稿者名:ハルカ
投稿日時:(03/ 4/10)

「はいっ!!
 ・・・・・おキヌちゃん、美神さん、本当にありがとうございます!
 私、おなかの中にいるこの子を必ず幸せにしてみせます!!!!」










〜7年後〜

「こんにちは、ルシオラさん。
 お久しぶりです。」

おキヌちゃんがひさしぶりに私のうちへ訪ねに来てくれた。

あれから7年。
おキヌちゃんはネクロマンサーとしてオカルトGメンにはいって
世界中の霊障に遭っている貧しい人たちや成仏できない幽霊たちの為に
あっちこっちの国を飛びまわっているらしい。

だから今日私を訪ねに来てくれたのも
忙しい仕事の合間に日本に帰ってきた僅かな時間を割いてくれたとのこと。

「ほんと、ひさしぶり。
 おキヌちゃんったらオカルトGメンに入ってからほとんど日本に帰ってこないんだもん。
 7年ぶりくらい?」

「なかなか会いにこれなくてすいません。
 仕事が忙しくって・・・
 それより今日は話に聞いてる『忠人君』を見にきたんですけどっ♪」




――――かちゃ

とてとてとてとて。

きゅっ。




うわさの主であり、私とヨコシマの愛の結晶の忠人(6歳)が
ドアを開けて私たちがいる部屋に入ってきた。
そのまま私のもとに歩いてきてスカートのすそを掴み
『このお姉ちゃん、誰?』という顔をする。

「か、かわいいーーーーー!!
 わたし、おキヌっていうの。よろしくね、忠人君♪」

「・・・・・・・・・」

おキヌちゃんが笑顔で挨拶したけど忠人は無表情で何も答えない。

「あれ?
 き、嫌われちゃいました?(汗)」

「大丈夫よ。
 忠人、『よろしくお願いします。』って言ってるわ。
 ・・・・忠人ね、言葉と感情が出せないのよ。
 小竜姫様とヒャクメ様に診てもらったら魂の一部が欠損してるって・・・」

でも、そんなことはなんでもない。
私は忠人の言いたい事がなんでも分かるし、
忠人だって私の言う事を分かってくれるから。

「でも、子供の魂って柔軟性が高いからきっとすぐに治りますよ。
 きっと、大丈夫です!!」

「・・・うん。
 小竜姫様もヒャクメ様もそう言ってたし
 実際、少しづつだけど魂の欠損部分は埋められてるらしいわ。」

―――――がんばらなくっちゃっ!!
7年前のあの時に美神さんとおキヌちゃんに誓った通り
忠人を幸せにしてやるのは私の仕事だもんね!!

私がそんな事を考えていたら
その顔を見ておキヌちゃんが優しく微笑んだ。

「ふふふ・・・
 ルシオラさんったらすっかり母親の顔になりましたね。
 
 ・・・・・・・ルシオラさん、横島さんの七回忌やりませんか?
 私、横島さんの死からずっと逃げてきました。
 忙しい仕事にずっと没頭する事で忘れようとしてきたんです。
 でもいつかは受けとめ、乗り越えないといけないと思うんです!!」

不意に真面目な顔になったおキヌちゃんが私に告げた。

「・・・・うん。
 私も忠人にお父さん―――ヨコシマの事を教えてあげようと思ってたの。
 ヨコシマがどんな風に生きて・・・
 そして死んでいったかをこの子に知っていて欲しいから。」




〜数日後〜

ヨコシマの七回忌をやるという事であの時の大戦のメンバーが
ひさしぶりに東京に集まった。
場所は東京タワーの展望台の真上。

・・・・・ヨコシマが最期の時を迎えたところ。



「そっか・・・
 あのバカがいなくなってから7年もたつのね・・・」

美神さんが夕日を眺めながらふとつぶやいた。

美神さんは今も世界最高のGSとして仕事を続けている。
だけどヨコシマがいなくなって、
おキヌちゃんがオカルトGメンとして独立してからはずっと一人で仕事をしている。
助手を雇った事も一度も無い。


『もう、二度と大切な仲間を失うのは・・・・』


一度だけ酔った美神さんが私にもらした言葉。



「そうですね・・・
 まだおなかの中にいた忠人君がこんなに大きくなったんですから・・・」

小竜姫様が美神さんのつぶやきに続いて声を出す。

小竜姫様は妙神山の管理人を辞め、二度とあのような大戦が起きないために
単なるデタントではなく、新たな共存の道を神族上層部に訴えつづけている。



――――忠人?
あなたのお父さんはこんなにもたくさんの人たちに愛され、
そしてその人たちに大きな影響を与えたのよ。

――――忠人。
だからこそ、あなたは自分をたいせつに想ってくれる人より先に死んだらダメよ?
あなたを大切に想う人はたくさんいるのだから。



私は忠人をやさしく、やさしく抱きしめた。
私のたいせつな、たいせつな宝物。
どこかにいなくなってしまわないように。こわれてしまわないように。



きゅわぁぁぁ・・・・・



突然淡い光が忠人を包みだした。
それに反応して私の体からも淡い光があふれてくる。

この光は・・・・
忠人の霊体が私の霊体と共鳴してる・・・・・?

ダメ・・・・
光がどんどん強くなってきて目を開けていられない・・・


「きゃあ!何、この光は!?」
「ちょっと!どうなっちゃったのよ!?忠人君は無事なの!?」
「この光は・・・・魂の共鳴なのね〜!!!!」


あちらこちらから声が聞こえる。

でもなんだか安心できる光・・・
やさしくて・・・それでいて力強くて・・・・
この光に包まれてるだけでまるでヨコシマに抱かれてるみたい・・・








しだいにその光がおさまってきた。
あまりに突然の事にみんなが驚いてかけよってくる。

「さっきの光はいったい何なのよ!?
 忠人君から発光してたみたいだけど・・・・・」

「それよりも忠人君は大丈夫なんですか!?」

一番最初に駆け寄ってきたの美神さんとおキヌちゃんが私と忠人に声をかける。

「わ、私は大丈夫だけど・・・」

そこまで言いかけて忠人のことが急に気になった。

魂が共鳴するほどの光を体から発光していて無事なの!?
幸い近くには小竜姫様もヒャクメ様もいる!
忠人になにかあったらすぐにでも対応できるわ!!

「特に外傷とかは無いみたいだけど・・・
 忠人!!忠人!大丈夫!?」

ケガはしていないとはいえ
気を失っている忠人を見るとどうしても不安にならざるを得ない。

心配する私の声を聞いたのか忠人が微かに反応にて意識を取り戻した。















「・・・・・あれっ?
 ルシオラ、ずいぶんと綺麗になったなー。」












―――――は?
今のは誰のセリフなの?


まわりのみんなも忠人のセリフにフリーズしたまま動かない。

「おおっ!!
 おキヌちゃん、色っぽい大人の女性になって!!
 美神さんもあいかわらず美しいっすよー!
 小竜姫様、ワルキューレ、ヒャクメは・・・・かわってねーな。
 みんな美人のまんまだ。」


・・・・・まさか。
ホントにありえない話だと思うけどこんなことを言うのは一人しかいない。
この声、この態度・・・一人しかいない!!

「いやー。
 まさか転生するときに魂の一部が欠けちまうなんて・・・
 おかげで記憶を取り戻すのにずいぶん時間がかかっちまったからなー。
 これからもよろしくなっ!ルシオラ♪」

ほんとに・・・ほんとにヨコシマだ!!
もう、これは疑いようが無い!!







「みんな!!ただいまっ!!!!」

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