ザ・グレート・展開予測ショー

母、準備する。


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 4/ 8)

これは戦闘準備のお話です……ま、ある意味ね。



横島は今時口座に振り込みではなく、給料袋に入った現金で給料を貰っている。

これはどういう事なのか…考えてみた事はあるだろうか?

おそらく、給料明細や口座の通帳に横島の薄給の証拠を残すのを、美神が嫌ったのではないだろうか?

そのような証拠が存在した場合、万が一訴えられたら絶対に勝てないし、どこかにバレたら恥ずかしい。

そういう理由で、わざわざ現金を直接渡しているのではないだろうか……

だから百合子にこう言われた時、横島は戸惑うだけだった。

「忠夫、契約書を見せてみな」

「へ?契約書って…何の?このアパートのやつ?」

「それは昔チェックしただろう?アンタのバイト先との雇用契約書だよ。命の危険もあるんだったら、確りした契約書があるんだろ?いいから出しな」

「いや、無いけど」

「へ?」

「だから、特にそういうもんは無いけど…あ、最初にバイト始める時にサインした覚えはあるけど…控えとかは貰ってないし」

勿論、彼が色香に迷って碌に読まずにサインした事は言うまでも無い…

そんなバカ息子に大樹がキレた。

「何をやっとるんだお前はー!!いいか!?契約書ってのはな!恐ろしいもんなんだぞ!?」

妙に力と実感が篭っている父親の言葉に頷きつつ、問い返す横島。

「へぇ…そうなのか?」

「そうだっ!仕事だろうが結婚だろうが、たかが紙キレ一枚のクセに、こっちに地獄を見せ…」

「ほぉ〜う…アンタに取って結婚は地獄だったの?だったらいつでも別れてあげるわよ?」

「ああっ!?スイマセン百合子さん!言葉の綾です!お願いだから捨てないでーー!!」

つい余計な事まで言ってしまい、女房に逃げられかけた亭主の図を忠実に表現する大樹。このあたり、彼も横島の名に恥じない男であろう。

そして夫婦の危機をサクッと無視して横島に聞きたい事を聞くシロ。

「その契約書が無いというのは、そんなにマズイ事なんでござるか?」

「そうらしいな…親父の言う事によると」

イマイチよく分かっていない横島。彼にとってはまだその程度の認識だ。

そんな横島に、一時大樹に対する折檻を中断してツッコむ百合子。

「マズイに決まってるでしょうが!あのねぇ…極端な話、契約書にアンタがしてもいない借金をしたって書いてあったら、本当に借金した事になって、文句言えないのよ!?」

「「ええっ!?」」

驚く横島とシロ。ようやく事態の深刻さに気付いたようだ。

「他にも!死んでも文句は言わないという同意書とか!将来もし独立しても、報酬の何パーセントかを毎回納めるようになっている念書とか!逆に独立する時には必ず上司の許可を取って!他所の事務所には移籍しないっていう専属契約とか!してないだろうねぇ!!」

「はうっ!はうっ!はうっ!はうぅぅぅぅ!!!」

チキンウィングフェイスロック、コブラツイストから卍固めとプロレスの関節技を次々に大樹にかけつつ、やけに具体的かつありそうな事を指摘する百合子。

「いや、まさか…ねぇ…先生?」

「でも…美神さんだし…なぁ…」

否定できない横島とシロ。

その2人の様子を見て、大樹をS・T・Fで仕留めながら考え込む百合子。

「ふむ…アンタの上司…美神さんと言ったっけ?それよりも上の立場の人っている?」

「え?美神さんより上?…一応、唐巣神父が師匠だけど、言う事なんて素直に聞きそうに無いから…やっぱり隊長かな?」

「そうでござるな。母親の美智恵殿には美神殿も流石に弱いようでござる」

「よし。まずはその人に会うわよ」

「へ?美神さんトコに行くんじゃないの?」

どこかほっとしつつ、自分の母親に聞き返す横島。

そんな息子に、百合子はニヤリと笑ってこう言った。

「クレームをつける時はね?出来るだけ上司につけるもんなのよ…」



美神VS母の対決は(取り合えず)避けられたものの、下手をすると美神母VS母となるかもしれないので、怯える横島。

契約書すら渡していない手強そうな相手に、嬉しそうに攻略法を考える百合子。

そんな百合子に、美神に対抗できそうな人間を初めて見たので感心しているシロ。

グッタリとして動かない大樹。

この4人の明日はどっちかは…まだ、決まっていない。

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