ザ・グレート・展開予測ショー

ひのめ奮闘記(その13(B))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 4/ 8)






SIDE令子


令子の視線は10mほど離れた横島とひのめを捉えた。
鮮血にまみれるひのめの服・・・・どの程度のケガかも、何が原因かも予測はついた。

(よくも私の妹をぉ・・・・・)

うなり声をあげながら対峙するケルベロスに今すぐにでも怒りで飛びかかってしまいそうな衝動を何とか抑える令子。
しかし、一流GSとしての危険察知能力がつげている。

『奴は危険だ』と。

別にこの感覚は初めてのことではない、難易度の高い仕事は常にまとわりついてくる感覚。
令子がそういうときに取る行動は・・・・


(初撃をかわす・・・・)

相手の初撃をかわし、その能力を見極める。
そして、そこから自分の力と比べ勝機を計算し戦略を立てる。
これがいつも令子が除霊で心がけていることの一つだった。

もっともそれは今回みたいな準備不足な場合だけ。
普通は悪霊も泣き出すような『極悪非道な罠』を仕掛けるのが得意だったりする。


『グルルルルルルルルルル・・・・・っ!!!』

ケルベロスは令子から放たれる自分への敵意に気付き戦闘態勢に移行する。
魔力が張り詰め、大気をつたって令子の肌につきささった。


(来る!!)

ザッ!

令子の言葉と同時。
黒い巨体を疾駆させ突撃してくるケルベロス。

(速いっ!!)

ケルベロスの素早さに驚く令子。

グア!

獲物を狩るために開けた口は令子を噛み砕こうと大きく開かれている。
その赤い口内が令子の視界いっぱいに広がった。しかし・・・


(確かに速い・・・・・・でも!!)


タっ!!

(予想以上じゃない!!)

令子はスっと姿勢を低くしながら、すんでのところでその一撃をかわす。


ドガアアアアっ!!!


ケルベロスの口に広がるのは獲物の血と肉でなく苦い土の味だった。


「このクソケダモノ─────っ!!!」

ピンチのあとにチャンスあり。
本当はもっと余裕でかわせたのをギリギリで避けたのはこのためだ。


ズアアアアァァァァァァァっ!!!!!


令子の神通棍に一気に霊力が込められ神通鞭へと変化する。
そしてそのまま隙だらけのケルベロスの横腹に一撃をくわえた。


ズバシィィィィィィィィィィィンっ!!!!

『ギャインっ!』

全力が込められた霊力の鞭が見事に決まる。
ケルベロスは自分の勢いもあって10mほど吹っ飛び砂煙をあげた。

「はあ、はあ・・・」

砂煙を睨みながら肩で息をする令子。
冷静になって決めた一撃のつもりだったが、予想以上の霊力を込めたことに気付く。
やはり身内、しかも年の離れた妹を傷つけられた怒りが無意識に霊力を消費させたのだろう。

(まだまだ、青い・・・)

そんな自分を皮肉ってみるが、まだ精神的に成長の余地ありだと思うと少し笑みがこぼれた。

『グルルルルルル・・・・・』

晴れかけた砂煙の中、ケルベロスはまるで何事もなかったようにその体躯を起こした。
いや、令子の一撃が効いているのだろうその四肢は少しだけ震えている。

勝てる・・・

その言葉が令子の頭をよぎった。
決して油断や不遜から来たのではない、相手のスピード、パワーそして、自分とパトーナーの能力から計算した結果だ。
ケルベロスは確かに強い、でも倒せないほどではない。それが令子の出した結論だった。

(ママも来たみたいね・・・・)

チラっと視線を移し横島とひのめを抱える美智恵が一緒にいるのを確認する。
もうすぐ横島も救援に駆けつけるだろう・・・そうすればいかにして目の前の魔物を料理してくれようか。
そんなことを思う令子だった。


『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!』

「しつこいわねっ!!!」

再び飛び掛ってくるケルベロス目掛けて神通鞭を振り下ろす令子。
しかし、それと同時に・・・・

「よくもひのめちゃん傷つけやがったな────────っ!!!!!!」
「へっ?」


ドガアアアアアアアアアアアっ!!!!!!!!!!!!


怒号と共に繰り出された横島の飛び蹴りが美神から見て正面左のケルベロスの頭に見事に決まる。
霊力も込められていて、なおかつ不意打ちなおかげで再び吹っ飛ぶケルベロス。
しかし・・・・・・・・・・・・・不意を突かれたのは令子も同じだった。


ズバシイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!


「あ・・・」
「うぎゃあああああああああ!!!」

さっきまでケルベロスがいた位置に着地した横島に見事に令子の神通鞭が炸裂した。
横島もまた令子の一撃でケルベロスと同じように吹っ飛んでしまう。

「だ、大丈夫ーー?」

不可抗力とはいえぶっ飛してしまった夫に冷や汗をかきながら声をかける。
横島は勢いよく森のほうまでぶっとびピクピクと痙攣するが、
やがて泣き顔で起き上がると凄い剣幕で令子に文句を言った。

「大丈夫なわけあるかーーー!!お前は何考えとんじゃーーーー!!!?」
「ご、ごめんて。あんなタイミングで来るなんて思わないし」
「お前もプロならすんでのところで止めるとかしろよ、ったく・・・」

ピキッ・・・・

その言葉にムっきた令子。
やれやれと言った表情の横島のネクタイをギュっとひっぱり叫んだ。

「あんた、調子に乗るんじゃないわよーーー!!」
「いいっ!?」
「大体ねぇ!あんたが勢いだけでつっぱしるからこーなったんでしょうが!!!?」
「そりゃそうだが・・・でもほらぁ・・・・」

いきなりの怒号にすっかり態度が小さくなる横島。

「文句あんの?それ以上ツベコベ言うとお小遣い下げるわよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何でもないです、ハニー・・・・しくしく」

『亭主関白』・・・・・・・・・・・・・・・そんな言葉は存在しないと確信する横島だった。


『ガグルルルルルルル・・・・・・』

そんな二人をよそに再びのっそりと立ち上がるケルベロス。
今の不意打ちが気に入らないのか、あきらかに怒った表情を浮かべる。
横島と令子もそれに気付きサっと構えた。

「さ、準備はいいわね・・・・・『横島』クン」
「・・・もちろんっすよ、『美神』さん」

笑みをこぼしながらお互いの呼称と口調が変わるとき・・・
これは二人のテンションの上げた方。
難易度の高い除霊ほどその傾向は強く、事実そのほうが不思議と霊力上昇率がよかったりする。



ビュッ!!
ジャキンっ!

横島は右手から高出力の霊波刀、令子は右手の神通鞭の霊力を更に強め左手には破魔札をサっと4枚握った。
両者の霊力と魔力が高まり反発し、小さなスパークを起こす。
見えない波と風・・・・・・・・・・それらがこのN山に巻き起こっているようだった・・・・



・・・・・・・・・・・・・・ひのめの運命を飲み込みながら・・・・・・・・・・・







                       
                                  その14に続く







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あとがき

最近ひのめ奮闘記の世界観が壊れて来てるのは僕の気のせいでしょうか(笑)
ああ、あのひのめが落ち込んでいた時代に戻りたい(マテ)
はぁ〜やっぱ戦闘シーンって難しいです、上手くかける方々が羨ましい今日この頃(汗)

過去編はあと2話くらいで終わりそうです。
それが終わったら皆さんお待ちかね・・・・


『ひのめもっと落ちこぼれ編』のスタートです♪(嘘)

もしくは

『4歳ひのめマジカル奮戦記』(大嘘)



やば・・・・最近疲れめか、俺?

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