ザ・グレート・展開予測ショー

同棲するって本当ですか?最終回


投稿者名:ぱらどくす
投稿日時:(99/ 8/27)

ノリだけでいきあたりばったりに、私の見たいシーンばかり並べただけの作品を辛抱強く読んでくださった方、ありがとうござい
ました。 それではこれで最後です。


:路上

『麻酔しまーす。 すいませーん。』
人通りの絶えた道から、美神の放った麻酔弾の弾丸が飛んで行く。
小鳩から事情の説明をうけていたため、今回は状況の想像もついていたが、半ば反射的に引金を引いていた。
放たれた麻酔弾は、横島のいる部屋の窓に向かってまっすぐに飛んで行き、しかし家の敷地内に入った途端に弾道をねじまげ
られて地面にめりこんだ。
「家守りのヤツ、守護力を起動させたわね!」
これで、美神に残っていた理性が一気に吹き飛んだ。
次々と銃に弾を込めて乱れ撃ちに撃つ。 狙いは無茶苦茶だが自動誘導なので関係ない。
「使用上の注意:適量を超えると目覚めなくなることがあります。」
横でタマモが取説など読んでいるが、もちろん美神の耳には届かない。
だがさすがに、はしくれとはいえ神にそう何度も同じ手は通用しない。
弾丸はすべてそらされ、家の中にいる横島は狙撃の事実にすら気付いていなかった。
「ま、まずい! こうなったら奥の手を!!」
「こ、これはだめでござるっ!」
シロがとっさにナパームを後ろに隠す。 今、家に火を放てば横島やおキヌまで逃げ遅れる可能性がある。
しかし美神はシロに構わず荷物から「送信」と書かれた札をだすと、それを持って念を凝らし始めた。


:家、おキヌの部屋

「え…と、おキヌちゃんの着替えはこのバッグかな?」
とりあえず、おキヌの顔の汗を拭いた横島は荷物を開けて中を探っていた。
「こ…これは正当な看護であって、決して邪な気持ちでは…ない…ぞ…」
そういいながらも、思わずおキヌの寝姿に気を取られ、横島は鼻血を流していた。
さくっ
突然床から妙に乾いた音がした。 横島が目をむけると横島の指のほんの数ミリ先の畳に包丁が突き立っていた。
しかも、その包丁の柄は横島が持ったバッグの中から伸びた異常に小さな手に握られている。
「う、うわああ!」
『よ〜こ〜し〜ま〜。』
あわてて放り出したバッグの中から、子供くらいの人影が這い出してきた。
ず…ずるっ…ずるっ…ずずっ
「ひ、ひいっ! マニーキャット!?」
それは、デジャブーランドのおみやげとして有名なマニーキャットのぬいぐるみ(大)だった。
それが指を鈎爪に曲げて、じりじりと近づいてくる。 しかも、その目に輝く怒りと、全身から吹き出す、夜の闇よりなお黒い殺気
は間違いなく本物だった。
だがそのことが、横島にマニーキャットの正体を直感させた。
「ま…まさか、美…」
ばりっ!
皆まで言わせず、マニーの鈎爪が横島の顔面にみみずばれを作る。
『あんた病人相手に…このけだものが〜!!』
「ち、違うんです。 俺はただ汗を拭いて、濡れたパジャマを替えてあげようと…」
「そういうことは……わたしがやるから、あんたは出てけー!!」
そして、ぬいぐるみに部屋から蹴り出される横島だった。


:3日目、朝、おキヌの部屋

朝、おキヌはさわやかに目覚めた。 枕元には美神にもらったマニー人形が、静かに転がっている。
昨夜の出来事は、夢の中の事のようにかすかに覚えている。
「家守りさま、いらっしゃいますか?」
『風邪はすっかり良いようじゃな。』
おキヌが呼ぶと、家守りがあらわれた。
「ええ、それで今夜は心配をかけた皆を呼んで、快気祝のパーティがしたいんですけど…だめですか?」
今日は土曜日。 パーティをやるにはちょうど良かった。
尋ねるおキヌに、家守りは優しく微笑んだ。
『わしは家守り、お主は住人。 お主らの望むようにするのが、わしの願いじゃ。 好きにするがよい。』


:3日目、夜

「ええと…皆さん昨日はせっかく来て頂いたのにすいませんでした。 もうすっかり良くなったので、今日はゆっくりしていって
ください。」
おキヌが簡単にあいさつをすませると、おのおの勝手に飲み食いしながら盛り上がり始めた。
中には、昨日には来ていなかったはずの人間まで混じっていたりする。
「そうか、最初からおキヌちゃんが招待したことにすれば、ここにいても問題なかったのよねー。」
いまさらのように美神が気付く。
『招待されておっても、2人を邪魔するようであれば叩き出しておったわい。』
美神の言葉を聞きつけて、家守りが近づいてくる。
今日はおキヌの希望で、最初から姿を現してパーティに参加しているのだ。
『それも今晩でおしまいじゃ。 ワシのわがままで気を揉ませてしまってすまんかったの…そこのおじょうさんも。 まさか、あの
小僧がそんなにもてるとは思わんかったでな。』
「な…」
「わ…わたし、そんな。」
美神と突然話を振られた小鳩が口ごもる。
当の横島は、またクラスメートにボコボコにされていて、3人の話など気付いていない。
おキヌはそれを止めようとしているが、止まるモノではない。
『あやつらは…お主らは最高じゃ。 ワシは家守りとしてこんなに楽しかったことはない。 もし、願わくば…』
そこまで言いかけたとき、ふと端の方で飯を食っていた、タマモとシロの声が耳に入った。
「ねえシロ、結局使わなかったけど、これ何?」
「ええい、そんなものは放っといて食うでござる!」
この二日間、張り番でろくな夕食にありついていないシロはまったく相手にしない。
「ふーん。」
つまらなさそうに、タマモが言葉通りそれを放り投げる。 手元が狂ったのだろう、そのナパームは開けっ放しの窓を越えて庭に
落ち…炎を吹き上げた。
「あ…」
『うわああっ!』
家守りの叫びが、大消火大会の始まりの合図だった。
「い…いまさら! 消せ! 早く消すのよっ!!」
「しょ…消火器を―!」
「もーだめだー!!」
「いまさら逃げるなー!!!」

終わり




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