ザ・グレート・展開予測ショー

とある公園


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 4/ 5)

「今日のおかずは何にしようかな?」
買い物籠を持って、おキヌは歩きながら言った。
「肉じゃがにしようかな、それとも・・・・。」
夕飯のおかずを考えるおキヌ。
その途中、公園で横島を見かけた。
「あれ、横島さん?」
おキヌは、ベンチに座っている横島へと近づいていった。





「いい天気だなぁ〜。」
太陽の暖かい日差しを浴びながら、横島は言う。
「・・・・・・あれから、もう1年か。」
横島は呟いた。
・・・・・あの大戦から1年。
もはや、あの大戦の面影は、もう無くなっていた。
しかし、横島やあの大戦で戦ったGSの心の中には、今でも残っている。
そして、あの少女のこと・・・・。
(・・・・・ルシオラ。)
かつて、横島を愛し、横島を守るために命を散らした少女。
その少女が亡くなって、同じく1年。
大戦が終わった後、横島は哀愁をただよわせていた。
夕陽を見る度、何度泣いたのか忘れてしまった。
「・・・・・・・・はぁ〜。」
横島は溜め息をついた。
「一体、何の花を買おうか・・・・・。」
(水仙を買おうか、百合を買おうか・・・・・・。)





「何を買うんですか?」
突然、横島の目の前に、おキヌの顔が現れる。
「うわぁ!!」
ズデーン!!
驚いて、ベンチから落ちる横島。
「よ、横島さん!大丈夫ですか!?」
「痛たた・・・。脅かさないでよ、おキヌちゃん。」
「ご、ごめんなさい。」
ペコリと頭を下げるおキヌ。
「いいよいいよ。謝んなくたって。」
横島は、再びベンチに座る。
「おキヌちゃん、座りなよ。」
「え?いいんですか?」
「いいも何も、立ったままじゃ疲れるだろ?」
「そ、そうですね。」
おキヌは、横島の隣に座る。
「いい天気ですね・・・・・。」
「・・・・うん。」





「ルシオラさんのことを考えてたんですか?」
「!!」
横島は驚いた。
「早いですね・・・・。あれからもう1年・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
2人とも黙ってしまった。





「・・・・なぁ、おキヌちゃん。」
「・・・・何ですか?」
「・・・・あいつ、ルシオラは幸せだったのかな?」
「え?」
「俺みたいな煩悩男を好きになって、本当に幸せだったのかな?」
「・・・・・・。」
再び沈黙。
「・・・・もしも、私がルシオラさんだったら、幸せだと思います。」
「・・・・・・。」
「自分を愛してくれる人が、いつも傍にいてくれる。それほど嬉しいことはありませんから。」
「・・・・そうか。ありがとう、おキヌちゃん。」
「いえ。」





本当は、ルシオラさんが羨ましかった。
私の好きな横島さんが、いつも傍にいてくれるなんて。
いつもいつも、心の奥底で嫉妬していた。
けど、ルシオラさんは、愛する人のために、命を散らした。
その時点で、私の敗北は決定した。
死んだ人の思い出は、絶対に消えることはない。
特に、愛する人は・・・・・。
だけど、私は横島さんのことが好き。
たとえ、横島さんがルシオラさんのことを思い続けていると分かっていても、
私は横島さんが好きなのだ。
だから・・・・・。
・・・・・・・・。
ごめんね、ルシオラさん。
今日だけ、目を瞑っていてくださいね。





「横島さん・・・・。」
「ん?どうしたの、おキヌちゃん。」
「私、諦めませんから。」
「へ?」
「好きです、横島さん。」
そう言ったと同時に、おキヌは横島にキスをした。
「!!!!?????」
突然のことに、目を白黒させる横島。
数秒後、おキヌは唇を離し、ベンチから立ち上がり、横島の前に立つ。
「私のファースト・キス、あげましたから。」
おキヌは、右手の人差し指を、下唇の下に置き、ニコリと笑った。





「責任、とって下さいね。」





そう言って、おキヌは走り去っていった。
「・・・・・・。」
横島は、放心状態のまま、ベンチの上に倒れた。






「ただいま〜。」
「お帰り。あら?何か嬉しそうな顔してるわね。」
「そうですか?」
「ま、いいわ。おキヌちゃん、早く料理を作ってくれない?さっきからシロが五月蝿くてさ〜。」
「分かりました。おいしいもの作りますからね。」
キッチンへと向かうおキヌ。
(横島さん、私、諦めませんから!)





「・・・・・・・・・。」
草木も眠る丑三つ時。
横島は、まだベンチの上で倒れていた。



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