ザ・グレート・展開予測ショー

泣かないで…後編


投稿者名:K.H. Fan
投稿日時:(03/ 4/ 5)

翌日
氷室キヌは鼻で歌を歌いながら六道女学院に登校した。
彼女は今、 高校3年生である。
『氷室さん、 何か良い事でもあったんですの?』
おキヌの友人である弓かおりが話しかけてきた。
弓はこの1ヶ月間元気の無かったおキヌを心配していた。
理由を聞こうにも聞きづらかった。
だが、 そんなおキヌが急に元気になって来たのだ。
誰でも驚くだろう。
『別に、 何でもありませんよ♪』
明らかに不自然だ…
弓はとりあえず、 おキヌが元気になって良かった、 と深追いはしなかった。

時はあっという間に過ぎて放課後
おキヌは除霊事務所へと走っていった。
その様子を見ていた一文字真理と弓かおりは、
『理由は分かりませんけど、 元気になって良かったですわね』
『そうだね』
と、 おキヌの後姿を見送っていた。

『美神さん、 ただいま!!! 横島さんは?』
おキヌは帰ってくるなり美神に尋ねた。
美神は苦笑して
『先に行ってるわよ! その場所に!』
おキヌは顔を赤くしながら
『待っててくれても良いのに〜』
と言いながら、 自分の部屋へと急いだ。
だが、 1分程経った後、 おキヌが再びオフィスへ…
『美神さん、 こっちの服とこっちの服、 どっちが良いと思いますか?』
二つの服を手に、 美神に聞く。
実は、 昨日横島が帰ってきた時におキヌが横島をデートに誘っていた。
美神は
(積極的になったわね、 おキヌちゃん。
ま、 あんな事が横島クンにあった以上仕方ないか)
と軽い溜息をつき、 おキヌの右手にある方を指差した。
『ありがとうございます!!』
と、 おキヌは美神にお礼の言葉を言い、
自分の部屋に着替えに行った。
『じゃ、 行ってきまーす!!』
おキヌは着替え終えた後、 事務所を後にした。

そして、 横島とおキヌがデートした後、 おキヌは横島を近くの公園へと連れて行った。
辺りはもう暗くなっている。
『横島さん、 大事な話があります!』
横島をベンチに座らせたおキヌが横島に言った。
おキヌは横島を逃がさないよう、 横島の両肩に手を置き、 横島の顔を正面から見つめている。
『う…ん、 何。 大事な話って?』
横島がおキヌの積極的な行動に動揺している。
『私の…恋人になって下さい!!』
おキヌの積極的な言葉に更に動揺する横島。
『そ…そんな、 いきなり…』
『いきなりじゃありません!!』
おキヌの声に驚き、 横島はビクッとした。
『あんな事があったんですよ?
私はもう2度とあなたを失いたくないんです!!』
『良いの、 俺で?』
横島におキヌの思いが伝わり、 そう答えた。
おキヌの表情が嬉しさで一杯になったのは言うまでも無いだろう。

そして横島が復活してから3ヶ月が過ぎたある日、
美神が
『横島クン、 今夜、 私の部屋に来ない?』
事務所に居たおキヌと横島が目を丸くした。
『美神さん、 どういう事です?』
告白事件から3ヶ月が過ぎ、 週に3~4回横島とデートをしているおキヌが尋ねた。
『たまには私にも話をさせてくれてもいいでしょ?』
美神がおキヌに言った。
『でも…』
『明日から又おキヌちゃんに渡すからさ!』
横島がここで話に加わり、
『人を物みたいに扱うのやめてくれません?』
と呟いた。
そんな横島をおキヌは見て
『美神さんも横島さんもお互いに手を出すのはやめて下さいよ』
と言い放った。

美神の部屋にて…
『何スか? 一体?』
横島が美神に尋ねた。
『あと何日なの?』
美神が呟いた。
『何の事ッスか?』
『とぼけないで、 分かってるから…後、 何日?』
横島は誤魔化せきれないと諦め、
『いつ…気付いたんスか?』
『最近…ね』
『そうッスか…後、 3日ッス。 それで俺は…消滅します』
美神の目には涙が浮かんでいた。
『随分と…急なのね…』
『すいません、 気付いたのが1ヶ月程前だったんスけど…
美神さんとおキヌちゃんの笑顔見てると中々言い出せなくて…』
横島がそう言うと、 美神が横島の胸に顔をうずめた。
『ちょ…美神さん?』
今回ばかりはふざけられない、 と判断した横島は美神を軽く抱き寄せた。
『おキヌちゃんとの別れ方はあなたが判断してあげなさい。
これが私の別れ方…今日を抜かせば後2日、 どうするの?』
美神の問いに横島は
『明日はおキヌちゃんの傍にいます。
そして最終日は…事務所で消えさせて下さい…』
『分かったわ…』
そして2人は思い出話をその夜にして夜を過ごした。

横島消滅まで後1日…
『昨日美神さんと何もありませんでしたか?』
おキヌが横島に頬を膨らませながら尋ねてきた。
『うん、 何も無かったから安心して…』
おキヌのいじらしさに自分の事を伝えることの出来ない横島がそこにいた。
おキヌは余り深く追求せず、 彼女はデートを楽しむことに専念していた。
横島の脳裏に3ヶ月前のおキヌの言葉が浮かんだ。
(−私はもう2度とあなたを失いたくないんです−か…
今を楽しそうに…この俺と居るのを楽しそうにしているおキヌちゃん…
伝えられないや…ゴメン…)
こうして最後のデートが過ぎていった…

最終日…
『横島さん、 デートしましょうよ!!』
おキヌが横島の傍で訴えている。
美神は横島を『伝えられなかったの』と言う目で見ていた。
『ゴメン…今日は事務所で…』
『もう…一昨日だって美神さんに取られちゃったんですから…
お夕飯食べていきますか?』
おキヌは頬を膨らませ、 横島に聞いた。
『お願い…今日はここで過ごしたいから…』
おキヌの顔が明るくなった。
『泊まってってくれるんですか?』
彼女の問いに横島と美神は黙って下を向いただけだった。

夕飯を食べ終えた3人はテーブルに着いていた。
横島がもうそろそろ消えてしまう、 と悟ったとき重く閉ざされた唇を開いた。
『おキヌちゃん、 伝えなきゃならないことがあるんだ』
おキヌが『何ですか?』と言う様な顔で横島を見つめた。
『俺…もうすぐ消えちゃうんだ…』
『な…なにを…言ってるんですか…?』
彼女がそう聞くと緑色の点々とした光が横島から天に向かって昇っていた。
『冗談は…止めて下さい!!!』
『ゴメン…でも…』
おキヌが横島の胸に飛びついた。
『『ゴメン』なんて…そんな言葉聴きたくないです!!
言いましたよね? もう2度と失いたくないですって…
消えないで…』
おキヌが涙声で訴えた。
横島はおキヌの頭を軽く抱え、 美神の方を見た。
美神も涙を流している。
『横島クン、 来世でまた逢えるといいね?』
苦し紛れに息をしている美神がそう言った。
これ以上喋ると大声を出して泣きそうだった。
『そうッスね…美神さん、 さようなら…』
『そしておキヌちゃん…』
おキヌはまだ『消えないでぇ』と呟いている。
『ゴメン…さようなら…』
『イ……イヤァァァァッ!!!』
おキヌの悲鳴と共に横島はおキヌの腕から消えた。
支える物の無くなったおキヌはその場に泣き崩れた。

そして1週間が過ぎた。
『おキヌちゃん、 入るわよ?』
美神の声がおキヌの部屋に響いた。
おキヌはベッドの上で泣いている。
『おキヌちゃん…横島クンがね、 おキヌちゃんが元気を取り戻せそうに無かったらこの手紙を渡してくれって頼まれたんだけど…』
美神が手の中にある手紙をおキヌに見せた。

−おキヌちゃんへ−

多分、 俺は君に本当の事を伝える勇気が無いと思う。
この手紙を読む時は俺が消滅していて、 君が落ち込んでいるときだと思う。
でも、 覚えておいて。
俺はいつでも君の傍に居るから…
もし、 不安なときは、 手紙に同封してある指輪をはめて。
それを俺だと思って…
だから…泣かないで

横島より

『横島さん…』
おキヌはそう呟き、 自分の左の薬指に指輪をはめた…



時は300X年…
一人の少女が東京を走っていた。
彼女が街角にさしかかったとき、 一人の少年と衝突した。
『大丈夫ですか!? おケガは!?』
少年は怒ろうとしたが…
彼女が余りにも可愛かったため、
『大丈夫です。 時にお嬢さん、 慌ててどうしたのですか?』
『霊団に追われてるんです!』
少年は胸を張って、
『こう見えても霊能が俺にはあるので安心してください』
と、 少年は迫り来る霊団相手に霊気の盾を投げつけた。
『はーはっは、 雑魚など1行でパーだ!』
等と油断していると、 霊団はスピードを緩めることなく突っ込んできた。
『な…なぜ?』
『霊団が来ます―――!!』
絶体絶命の二人の後ろから…
『破魔札マシンガン!!!』
と言う声が聞こえ、 悪霊たちは破魔札の連射によって消滅した。
『あの〜、 あなたは?』
少年が助けてくれた美女に尋ねた。
『私は金神 令華…プロのGSよ。 あんた達は?』
少女と少年に令華が尋ねた。
『俺は青島 忠助です!!』
『私は福室 絹子といいます!』
ふーん、 と令華が言うと、 絹子が涙を流しているのが見えた。
『どうしたの?』
『何か…とても懐かしい感じがして…嬉しい様な気がするんです』
青島が
『俺もそんな感じがするんすよね…』
青島の言葉に令華は
『奇遇ね…私もそんな感じが…ねぇ、 あんた達、 霊能があるようだから、 私の助手にならない?』
後に、 この3人が世界でNO.1の除霊チームになった。
彼らの魂の『逢いたい』と思う気持ちが奇跡を起こした。

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