ザ・グレート・展開予測ショー

母、帰国する


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/ 4/ 4)

これは親子水入らずの語らいのお話です……一匹混じってますが。



ショッピング&食事から帰ってきた大樹と横島とシロがアパートに戻ってくると、部屋の中にはお茶を飲んで寛いでいる人間がいた。

「おかえり。どこ行ってたんだい?」

横島百合子。横島の母親であり、大樹の妻である。

「お袋!?なんでここに…」

「暇だったんで来たんだけど、何か文句有るの?」

横島をジロリと睨んで黙らせる百合子。

しかし、帰宅したら外国にいるはずの母親がいきなり部屋にいたら普通は驚くと思うのだが…

「いや、無いけどさ…」

シロの事をどう言ったもんかと悩む横島。

勿論、どう言ったら一番(横島にとって)面白いかを悩んでいるのだ。

だが、もっと深刻に悩んでいる男がいる。

シロを自分の子供…しかも浮気で作った隠し子だと横島に騙されている大樹だ。

ヤバイヤバイヤバイヤバイ、バレたら殺されるバレたら殺されるバレたら殺されるーー!!!

いや落ち着け。まだバレてないんだ…慌てたら悟られる。まずは落ち着くんだ…

「ん?アンタ何か慌ててない?」

いきなり悟られてる〜!?

「そ、そんな事は無いぞっ!今だってこいつと一緒に出かけてたんだし!何かあるはずないじゃないかっ!はっはっはー!」

「ふ〜〜ん…で、そっちのコは誰?」

「「あ、それは…」」

その問いに横島が何かウソを吐くよりも、大樹が言い訳を思い付くよりも早くシロが答えてしまった。

「初めまして!先生の母上でござるか?拙者は先生の弟子の犬塚シロでござる!」

「弟子?ウチの宿六の?」

「いや、父上の事ではござりませぬ。拙者の先生は横島忠夫でござる」

この間に、横島が大樹の後ろにこっそり移動して耳打ちしている。

――親父。こんな事もあろうかと、打ち合わせは済んでる。安心しろ――

――でかした!お前にしちゃヤケに気が利くじゃないか!――

――…俺も離婚沙汰はコリゴリなんだよ…――

――………そうか……――

このやり取りがあったので、大樹が横島のウソに気付く事は無かった。

「アンタ…一体このコに何を教えてるんだい?まさか警察の世話になるような事は教えてないだろうね?」

シロの自己紹介を聞いた百合子の矛先が横島を向く。

「……何考えてんだよ?そんな事俺がするはずねーだろ?俺が教えたのは…コレだよ」

確かに彼が子供に手を出した事は無いのだが、普段のセクハラぶりを知っている者には説得力が無い事を言いつつ、横島は霊波刀を発動させた。

「お?なんだそりゃ?」

それに興味を示したのは大樹だった。

「栄光の手って名付けた俺の霊能力だよ。霊気を手に集中して作るんだけど、こんな風に結構自由に形が変わって…霊力を集中すると刀になるんだ」

霊波刀から手甲に変化させ、また霊波刀に戻す横島。

「ほう…結構面白いな」

「ふ〜〜ん…アンタにGSなんて絶対に無理だと思ってたけど…頑張ってるんだねぇ…」

「まぁな…でも俺の身に付けた力はこれだけじゃ無いんだ」

親に感心されるという滅多に無い事をされ、調子に乗って文珠の事まで話してしまう横島。

「命懸けで修行して身に付けたんだぜ?すごいやろ?」

「そうだったんでござるか…流石は拙者の先生でござるっ!」

横島の話にはしゃぐシロと対照的に、渋い顔をする百合子。自分の息子が自分の知らない所で命を掛けて死にかけたと聞いて、不機嫌にならない母親はいない。渋い顔で当たり前だろう。

だが大樹は笑っていた。彼が命を懸けた理由が美神の為だと言うのが解ったのだろう。女の為に命を懸ける…親としては正直あまり嬉しい事ではないが、男としては良くやったと誉めてやりたい気分なのだろう。

それにバレたら命取りだと分かっていても浮気を繰り返す大樹にとっては、女の為に命を懸けるなどというのは日常的な事だ。それでこそ我が息子だ、と思ったに違いない。

「ま、いいじゃないか。こうしてピンピンしてるんだから」

「………そうだね。ま、いいとしようか」

大樹の取り成しに説教をキャンセルする百合子。だが気になった事を聞くのまではキャンセルしなかった。

「で、忠夫。つまりアンタはGSとしてかなり成長したんだね?」

「……そうだけど」

「で、お給料は幾らくらい上がったんだい?」

「え〜っと……45円」

「え?」

「だから、時給が45円上がったんだよ」(注:アシュタロス事件後、時給が300円になったというように『私は』設定しております)

「元の時給っていくらだったんだ?」

百合子があまりの非常識な上げ幅にフリーズしてしまったので、大樹が代わりに聞く。

「………………255円」



………………………………



「お前今の時給300円なのか!?本当か、オイ!?それとも、俺の知らない間に日本の物価とか人件費がそこまで下がったのか!??」

流石にパニクる大樹に、美神の事をどう説明したらいいのか悩む横島とシロ。

そして、百合子が再起動する。

ゆらぁり。

そんな感じでいきなり立ち上がった百合子は、これまた唐突に宣言した。

「行くわよ」

どこに?

他の3人はそう聞きたかったが、百合子の様子が変で怖かったのでアイコンタクトでお互いに押し付けあう。

そして結局、シロの目での頼みを断れなかった大樹が代表して聞いた。

「ど…どこにですか?」

自分の奥さんに下手に出る大樹。

「忠夫の勤め先に決まってるでしょ!!アンタも一言言ってやらなきゃ気がすまないでしょう!?」



こうして事務所に向かう事になった横島家+1。

前回の百合子と美神の対決を思い出し、青い顔でうろたえている横島。

横島の境遇が改善されるかも知れないから応援するべきか、それとも困った事になりそうだから止めるべきか迷うシロ。

前回ホテルのバーで美神とデートした件がバレないか恐れつつ、もう一回会っておくのもいいかと考えている大樹。

そして理不尽な給料と命の危険のある過酷な労働状況という息子の境遇に伝説のOL、紅百合モードが発動してしまった百合子。

この3人の明日はどっちかは…まだ、決まっていない。

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