ザ・グレート・展開予測ショー

橋姫伝説 その12


投稿者名:弥三郎
投稿日時:(03/ 4/ 2)

反乱軍は大半が洗脳された自衛隊員であるが、よく戦っている。
タイガーが精神感応で攪乱をかけた上、アメリカ海兵隊の突撃を真横から受けたにもかかわらずである。
指揮官がいいのだろう、戦線が崩壊するのを阻止し効果的に反撃を行っている。
しかも、連合軍側は反乱軍の戦闘能力が未知数であるため思い切った攻撃を行うことができない。
また、反乱軍は後方に美知恵たちがヘリボーンで降下してきたことなど知らない。
戦線では互角だが、戦略的には連合軍がやや優勢である。
戦闘開始から10分のことである。


「タリホーー!!突撃じゃぁ!!」
「太田巡査!!戻ってきなさい!!」

なにやら英国式の雄叫びあげていく警視庁から派遣されてきた巡査をルシオラは制止する。
しかし

「往生せいやー!!」

ドッドッドッ!!

「あちゃー、弾の無駄遣いです!!」
「敵は撤退していきます、成功じゃないですか!!」
「ただ単に弾幕をはりゃ良いと言う訳じゃないの!!」

部下約一名、血気盛んな青年がいる震電部隊であった。


所変わって反乱軍司令部。
男が床に書かれたルーン文字の巨大魔方陣の中心にいる。

「付近の霊力濃度は上がっているんだな?」
「はい、帝国主義者どもが現れてからです。正確に言えば、六道冥子の式神暴走からです。
 うまい具合に仕掛けを破壊してくれたようです。」
「狙い通りだったわけだな。よし、今から奴等に正義の鉄槌を下す。電源装置は?」
「オールグリーンです。供給配線、オールグリーン。コンデンサー、オールグリーン。準備完了です。」
「よし、今からコードネーム『サラマンダー』を実行する!!」


西条は前線指令本部で美知恵から部隊指揮権を移譲し、彼が連合軍司令官となっている。
オペレーターから報告が入る。

「西条司令官!敵司令部付近から高エネルギー反応です!!」
「なに?!こ、これは!!前線に伝えろ!今すぐ名阪高速の結界を最大出力にあげろ!!」
「了解!!」
「西条サン、これは?」

在日アメリカ軍京都派遣軍司令官のジョン・ミルドワイズ・コフナー少将が怪訝そうに聞いてきた。

「アシュタロス戦役のとき、CVN-99(原子力空母)にいましたよね、少将?美神総合司令官がやっていた技と同じものと思われます。」
「本当か?!あの技は彼女しかできないはず……」
「そう思ったんですが、現場付近の霊力分布見てください。伏見近辺を中心に霊力が大量に地脈から漏れ出しています。
 それを利用すること、それに魔法陣を使えばあの技は使用可能です。」
「……警報を鳴らしたほうが良いんじゃないのかね?」
「そうですね、オペレーター、マイク貸せ!!」

その時、伏見の方角から眩い光とともに轟音が鳴り響く。
それと同時にオレンジ色の光線が音速以上の速度で通過し周りのものをなぎ倒していく。
巻き込まれた戦車や装甲車は分子レベルまで破壊され、辛うじて逃げおおせたものは火災に巻き込まれてゆく。
家々は爆風で吹き飛び、地面は抉られていく。
そして、名阪高速を守る結界にぶつかった。


名阪高速の爆心地

「けほっけほっ!大丈夫か?」
「何とか。」
「結界はどうなっている?!」
「辛うじて無事です。ただ、強力結界発動機8機が破壊され、残りは4機です。」
「スペアは?」
「24機残っています。」
「耐えられるのはあと2回か。司令部に報告!!それにすぐに配置しろ!!12機一気に入れて16機体勢にしろ!!」

前線指令本部

「辛うじて結界は無事でした。」

その報告とともに本部に安堵感が広がる。

「発射位置は特定できたか?」
「はいできました。宇治駐屯地の敷地内です。」
「美神司令官に連絡。敵は宇治駐屯地にあり!とな!!」


「まったく、西条君たら張り切っちゃって。」
「しかし、美知恵君。ここ近辺の霊力異常は……」
「どうやら媒介物が原因のようね。クリス君、どんな形していたか覚えている?」
「ええ、確かエレキギターでよく見かけるフライングX見たいな形でしたが。」
「紋様とか何か書いてなかった?」
「いいえ、何も。ただ、内部にアクセスできるような仕組みになっていました。」
「あけてない?」
「ええ、あけていません。オカルト科研に調べてもらおうと持っていくつもりでしたが」
「冥子ちゃんに壊されてしまったと?」
「はい。」

そこで、美知恵と神父は溜息をつく。

「すまないね、美知恵君。私のミスだ。」
「いいえ、神父じゃないわ。媒介物は霊力を増幅させる装置になるけど、壊れたらその効力は失うわ。
 しかし、これほどの霊力がもれ出ていることを考えると地脈に手を加えた上で霊力放出のスイッチを
 媒介物に仕掛けたんだわ。やつらが一枚上手だったのよ。」

そこにSASの隊員、ポール・マクドナルドがやってきた。

「閣下。」
「ポール君、閣下というのは堅苦しいから美知恵さんと呼んでくださるかしら?」
「了解です。改めまして、美知恵さん。部下に偵察させたところ、守りは薄いようです。」
「これじゃぁ、桶狭間よ。令子、横島君、ピート君、雪ノ丞君、突撃の準備は良いかしら?」
「いいわ。」
「いつでも、良いぜ。」
「良いです。震電部隊に航空支援頼みますか?」
「そうして頂戴。ポール君、SASの人たちに後方から付いてくるように行って頂戴。」
「わかりました。」
「Let`s Roll!!(いくわよ!!)」


「2発目の準備はまだか!!」
「充電率が80%です。あと30秒で完了します。」

宇治駐屯地では男が部下に怒鳴り散らしていた。
思ったよりも結界防御が硬かったこと。途中の敵部隊にも思ったほどの損害を与えることができなかったからだ。
そして、最大の原因は次発までの間隔が大きく空くことと、男の体に大きく負担がかかること。
実は、この男が魔族と契約を結んだ者で、大幅に霊力がアップしていたのだが所詮は人間の体。
その体が耐え切れるはずがない。
肉体が霊力の器に合わなくなってきているのである。
事実、男の体は魔族化しつつあるがなり切れるかは本人の精神力しだいである。

「100%になりました!!」
「よし、2発目、発し……」

ドゴーン!!ダッダッダッ!!

「何事だ!!」
「敵の襲撃です!!」
「警備兵はどうしていた!!」
「特殊部隊を投入されたため、歯が立ちませんでした。」

その時落下音が聞こえてきた。

「伏せろ!!」

爆弾が至近距離で炸裂していく。
男が体に付いたほこりをはたいて起き上がってみると魔方陣は見事にズタズタにされていた。
上空を見るとなにやら不思議な物が数体飛んでいた。そのうちの1体がこちらに気が付いたのだろうか急降下で降りてくる。
男は霊砲波で応戦する。相手も霊砲波を撃ってくる。
男はぎりぎりのところで相手を避ける。

「女か?!!」

相手は低空で現場を離れて上昇に転じようとしている。

「逃がすか!!」

男は霊砲波を相手に浴びせかけるが、当たらない。
が、そのうちの1発が弾薬庫に飛び込んでいく。

そして相手を巻き込んだ大爆発となった。


その様子を見ていた横島。

「ル、ルシオラ!!」

突撃を敢行したのはルシオラだった。
その後、ルシオラとの通信は途絶える。

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