ザ・グレート・展開予測ショー

好きだという、言葉の意味。 中編


投稿者名:veld
投稿日時:(03/ 4/ 2)


 「・・・何でもないでござる」

 無理だって事は分かってる。
 だって、何時も横目に見てた。
 この人は、朴念仁だから。

 「そっか、ならいいけどな・・・」


 言えない。
 もう、言えない。


 ―――そうきっと。





















 『「知らないままでいられることが幸せなら」

 「きっと、そう。それは、幸せ」

 「でも、知ってしまった」

 「見つめる度、痛いほどに高鳴る胸の鼓動」

 「その口から出される言葉の全てに期待してしまって―――。そして、その全てに一喜一憂してしまう、そんな自分に」

 「悲しいくらいに、その口から出る言葉に、俺は夢中になってる」

 「悲しいくらいに、その言葉に縛られてる」

 「届かない思い」

 「少し、悲しくて」

 「でも、嬉しい」

 「このままで、居られるなら―――」』

 幸せかもしれない―――

 













 「『好き』―――か」

 不意に、口から出た言葉。
 さっきのシロの言葉を思い出して、少し、照れる。

 「・・・!?」

 驚き、顔を強張らせるシロ。
 正直、少しショックで。

 「いや・・・何でもねえから」

 もしも、その表情に、喜びの色が見出せたなら―――。

 「先生・・・」

 目で、促しているよう。でも、言えない。

 「・・・何でもねえ」

 勝手だって事は分かってる。
 でも、怖いんだ。
 知らない多数に伝えることは恐れる程のものじゃなくて。
 うわべだけの愛なら、どれほど楽に伝えられる?
 距離感なのかな、そう思う。
 こんなにも近くに居るけど、何も変わってやしないんだという事に気付いた。

 「・・・」

 「・・・」

 俺が、顔を上げる。
 この距離から一歩、近づく為に。
 すっと、シロに近づく。
 もう、シロの顔しか見えないくらいに―――。

 「拙者は・・・『好き』でござるよ」

 「・・・ああ」

 軽い、ジャブ。

 「拙者は、先生の事、好きでござる」

 「・・・ああ」

 ちょっと、顎先を掠めて―――。視界が一瞬、ブラックアウトしそうになる。

 「先生・・・先生・・・大好きでござるよぉ・・・」

 「・・・」

 ボディーブローは地獄の苦しみ。
 でも、押さえたいのは胸。
 何でこいつはこんなに心を狂わせるんだろう?
 そこらへんに、ゴロゴロと転がってしまいたくなる。
 痛い、凄く、痛くて・・・切なくて、触れたくて・・・。
 あ、何か、もう駄目な気がする。

 「先生・・・拙者は・・・」

 言葉を遮るように―――


















 「・・・あいつら、何してんの?」

 「『師弟の関係に果たして愛は芽生えるか、と言う台本通りに演じている』そうです(ぷぅ)」

 「・・・どっちがそう言ったの?」

 「横島さんですけど(ぷんすか)」

 「・・・ああ、そう言う事(軽く、怒)」

 「そう言う事・・・らしいです(ぷんぷん)」

 ごそごそ

 「うん、あったわ」

 「美神さん?何です、それ(きょとん)」

 「馬鹿専用、駆逐ハリセンよ(にやり)」

 「いや、どう見てもそれは鉄の扇じゃ・・・(汗)」

 「・・・?気のせいよ。おキヌちゃん、少し疲れてるんじゃない?眠った方が・・・(ぶんっ、ぶんっ)良いわ」

 「・・・いえ、それが本当にハリセンなのかどうかちゃんと見届けます(ぷんぷん)」

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa