ザ・グレート・展開予測ショー

Stand By Me (if)


投稿者名:K.H. Fan
投稿日時:(03/ 3/30)

『はぁ…』
人口幽霊壱号の屋上で一人の長い青髪を持つ少女が溜息をついた。
彼女が溜息をついた理由は数時間前にさかのぼる。


『なんかイヤな気配がするわね…!』
亜麻色の髪を持つ女性、 美神令子が呟いた。
『ま…また化け物か何かスか!?』
青いジャンパーに青いジーンズ、 バンダナを頭に巻きつけた少年、
横島忠夫が尋ねた。
因みに今彼が話した化け物とは青髪の少女を襲った化け物である。
『誰が化け物じゃ!』
『わ―――っ!!』
一人の老人が急に現れ、 美神が驚いた。
この老人、 今では唯の老いぼれだが、 昔“ヨーロッパの魔王”と呼ばれ、
不老不死を手に入れた大天才である。
『失礼な奴じゃな! マリアが来たがるのでわざわざ寄ってやったのに…!!』
マリアとはこの大天才、 カオスが作り出したロボットである。
『マリア…!! ドクター・カオスさん…!!』
数時間後に一人夜風にあたり溜息をつく運命の少女、 おキヌが喜びの顔で二人を迎えた。
『あれ? ドクター・カオス来てたの?』
『おキヌちゃん――――!! 帰ってきたんだって――――!?』
『なんだ…! みんなそろってるね』
最初の台詞を言った小笠原エミ、 そして彼女の助手のタイガー、
2番目の台詞を言った六道冥子、
最後の台詞を言った唐巣神父、 そしてその弟子のピートが続々と登場してきた。
『ワタシみんなに知らせたよ!』
『お祝いに宴会しようと思ってね…!』
と、 GS仲間に知らせた厄珍堂の店主厄珍とオカルトGメンの西条が加わった。
『…フン! どいつもこいつもおキヌちゃんと見ると目じりがさがっちゃうのよねー』
美神は口ではこんな事を言っているが、 
やはり自分の助手を歓迎されるのは嬉しいのか、 全然嫌そうにしていない。
『室外に・多数の霊体反応!!』
ロボットであるマリアが外に居る霊の存在に気付いた。
おキヌが外を見ると、 そこにはおキヌが幽霊の頃に仲良くなった霊達が居た。
『よ―――!! おキヌちゃん―――!!』
『やっほ―――!!』
『今日は君の為に歌うぜっ!!』
等、 石神や幽霊演歌歌手のジェームズ伝次郎までも来ていた。
『みんな…!!
ありがとうございます…! 私…私…!』
と感動して涙を流すおキヌ。
ここまでは本当に幸せの絶頂にいた。
が、 いざ宴会が始まると…


『じゃ、 かんぱ――――い!!!』
美神令子が叫んだ。
生き返ったばかりのおキヌ、 しかも未成年である彼女が
この独特の雰囲気についていけるはずも無く屋上へ上がったのだった。
浮幽霊達やGS諸君に酒を盛られる前に…


『はぁ…皆いつもどうりなのは嬉しいんだけどなぁ…』
等と夜風に浸りながら手すりをつかみながら呟いた。
と、 後ろから二つの手がおキヌの目を隠し、
『だ―――れだ!?』
と尋ねた。
『横島さん、 バレバレですよ?』
おキヌが後ろに居る人に言った。
『あはは…やっぱり…
で、 なんでこんな所にいるのさ? 今日はおキヌちゃんの歓迎パーティだぜ?』
『だって…私、 お酒は…』
『確かにあの面子じゃぁな…いくら断ろうが酒を盛られるのがオチだよなぁ』
横島が今日いる人達の顔を思い浮かべ納得した。
『でもさ、 歓迎会の主役が参加しないでどうすんの?』
『そうは言っても…はぁ…』
『分かるよ…気持ちは…
皆はおキヌちゃんの事大事に思ってるから安心していいって』
おキヌが今抱えているであろう不安を拭い去るよう横島は努力をしている。
『ありがとうございます! 横島さん!』
『で、 どうしよっか? パーティに戻る? それともも少しここに居る?』
『戻ったら、 お酒飲まされちゃうじゃないですか?』
おキヌが横島の顔を見て言ったが、 横島と目が合い赤くなって顔をそらした。
(な…幽霊の頃は横島さんの顔を見てもドキドキしなかったのに…
そう言えば一回誰かの体を借りた時にもこんな感じになったっけ?)
幽霊の頃とは違い生身を持っている為、 
横島を異性として意識しはじめてしまったようだ。
『じゃぁ、 ずっと立ってるのもなんだから…ベンチに腰掛けようか?』
と言って、 屋上(ベランダ)の中央に位置しているベンチとテーブルのセットを指差した。 なんなんだ…これ程までに都合のいい設定は…!!?
『はい!!! そうしましょう!』
声だけは元気だが、 顔を横島と合わせないように努力していた。
おキヌが腰掛けると横島は自分のジャンパーをおキヌに掛けてやった。
『あ…あの、 横島…さん?』
『寒いでしょ? そのままじゃ』
そして一瞬会話が途切れた。
おキヌは
(横島さん…ありがとうございます、 嬉しいです)
と言う考えを心に抱き、 肩から掛かっているジャンパーをギュッと握り締めた。
そして横島はベランダに来るときにあったおキヌの義姉、 早苗からの電話を思い出していた。
(『いいか、 おキヌちゃんは山村って奴と付き合ってるんだべ!
手出したらどうなるか分かってるな!?』
…か。 だから何だ!!! この世の女の子は全て俺のじゃ!!!
しかし、 おキヌちゃんってもう彼氏できたのか…
いくらなんでもおキヌちゃんの幸せは壊せないよなぁ…はぁ…)
早苗の言ったことは唯のデマである。
実際、 おキヌはラブレターを貰っただけで、 話したことさえも数えるほどだ。
『ねぇ…おキヌちゃん、 好きな人っているの?』
横島が沈黙を破った。
おキヌはこの質問に戸惑ってしまった。
自分の隣に好きな人が居て、 しかも意味ありげな質問を吹っかけてきたのだ。
(横島さん…もしかして私のことを…?
もしそうだとしたら…)
『いますよ。(私のすぐ隣に…)』
(やっぱりか!!!
くそぉ…おキヌちゃんにあの時ナンパしておけば良かった)
横島が思った『あの時』とは以前、 彼女が元気でやってるかと思いおキヌの故郷を美神と共に訪ねたときのことを指す。
『その男って…山村って言う人?』
『違いますよ!!! なんで山村さんの名前が出てくるんですか?
と言うより横島さんが知ってるんですか?』
(へ!? という事は…)
『あの女…騙しやがったなぁ!!!
だからあの女は嫌いだっ!!!』
『あの女って早苗お姉ちゃんの事ですか?』
『あれ…声に出てた?
よかったぁ、 やましい事考えてるときじゃなくて…』
『やましい事ってどんな考えですか?』
横島がしまったぁと言う顔をしてさがった。
おキヌが全く、 と言う顔をしたがすぐにさっきの疑問を横島に尋ねた。
『あ、 それは早苗ちゃんからさっき電話があって、 おキヌちゃんはもう彼氏が居るから手を出すなって言われたってのが理由かな』
『なぁんだ…そんな理由でしたか…』
『じゃぁ、 付き合ってる人は山村じゃないの?』
『付き合ってる人なんていませんよ』
『でもさっき好きな人が居るって言ってたけど…』
『気にしないで下さい。 あれは咄嗟に答えただけですので…
(本当はちょっと期待してたのにぃ…)』
ここで横島がよっしゃぁと言った顔で
『じゃ、 好きな人いないってことだね?
俺が襲っても良いわけだ!!! おキヌちゃ―――ん!!!』
『ちょ…横島さん』
とおキヌに飛び掛った。 無論、 横島は途中で止めるつもりである。
さすがに、 おキヌ程の純粋な子を押し倒してどうこうしようなんて事を考えるほど横島は飢えていない…はずだ。 私はそう信じる。
が、 飛び掛った弾みでベンチが後ろに倒れ、 丁度横島がおキヌを押し倒しているような形になった。
『ご…ごめん。 こんなつもりじゃ…』
弁解して慌てて離れようとしたが、 おキヌの二つの腕が横島の首の後ろまで回っていた。
『お…おキヌちゃん…?』
『すいません…倒れそうになったのでつい捕まってしまいました』
頬を真っ赤に染めながらおキヌは言った。
『あ…こちらこそ。
急に襲ったりしてごめんね…悪気は無かったんだよ。 ほんと』
はっきり言って説得力ないが…
『あの…横島…さん?』
おキヌが熱のあるような赤い顔、 潤んだ目で横島の顔を近づけていた。
『おキヌちゃ…』
二人の唇が重なろうとした瞬間…
見事に灰皿が横島の頭にクリーンヒットした。
『おキヌちゃんには手を出すなって言ったでねか!!』
灰皿を投げた本人が言った。
誰かは分かるだろうがそれは次回のおたのしみということで…

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