ザ・グレート・展開予測ショー

とある同居生活


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 3/28)

「ありがとうございました〜。」
ウィ〜ン
夜8時・・・・。
おにぎりがたくさん入ったレジ袋を持って、横島がコンビニから出てきた。
「おにぎりが安くなったのはいいけど、やっぱり苦しいよな〜。」
横島は溜め息をつく。
「ただでさえ、仕事とシロの散歩で体力喰うってのに、時給が安いと、ロクに補給も出来ないしな〜。」
そんな時、コートを被った何者かが、電柱の下で蹲っていた。
(何だ?どっかの乞食かホームレスかな?)
横島は、コートを着た何者かを、ジロジロ見る。
(ま、俺には関係ないか。帰ろ帰ろ。)
横島はその場から立ち去った時、何者かは喋った。
「う、うう・・・・。」
女の声だった。
ビューーーーーン!!
100mぐらい離れた距離にいた横島が、一瞬の速さで戻ってきた。
「どうしました?具合でも悪いのですが?私、近所の怪しくない者、横島忠夫といいますが。胸でも擦りましょうか?」
『引っかかったね・・・・。』
何者かはそう言った。
「ん?その声は・・・・・・。」
ビュッ!
「のわっ!?」
『ちっ!避けられたか!』
刺叉を持った何者か(正体はバレバレだが・・・・)は、コートを脱ぎ去る。
「め、メドーサ!!お、お前生きていたのか!?」
『上位の魔族に生き返らせてもらってね!!今回こそお前を殺す!!死ね!!』
「ひっ!」
短い悲鳴を上げる横島。
その時である。
グーーーーー・・・・・・・
メドーサの腹の虫が、鳴いたのである・・・・・。
カラン・・・・・
メドーサは、刺叉を落として、こう言った。
『お、お腹空いた・・・・・。』

『ふぅ・・・・・。』
腹を擦るメドーサ。満足そうな表情をしている。
「お、俺のエネルギー源が・・・・・。」
シクシクと泣いている横島。
『うるさいねぇ。大の男が泣くんじゃないよ。』
「ほっとけ!ところで、なんでお前があんな所にいたんだ?」
『アンタたちのせいで、私の魔族でのランクが急激に下がっちまってねぇ。今じゃ、下級魔族と同じ力ぐらいしか持っていないんだよ。』
「何だって?だけど、刺叉は持ってるじゃないか。」
『あれは私のチャームポイントみたいなもんだからねぇ。』
「はぁ・・・・・。」
『さてと・・・・・・。』
「言っとくが、ここでは戦いたくねぇぞ。他人に巻き添えになってほしくないからな。」
『どうせアンタに戦いを挑んだって、すぐに倒されると思うしさ、おいとまさせてもらうよ。』
スッと立ち上がるメドーサ。
「なんなら泊まっていくか?」
『はぁ?』
「どうせ行く所無いんだろ?野宿より、ここに泊まっていった方がいいと思ってさ。」
『アンタ、私をバカにしてないかい?』
「いや、別に。」
平然とした顔で答える。
『・・・・・ま、借りも出来たことだし、別にいいよ。』
「本当か?」
『・・・・・・・何か、変な事考えたんじゃないだろうねぇ?』
「そ、そんなこと、微塵も考えとらん!!」
『もし夜這いなんかをかけたら・・・・・。』
刺叉を手に持ち、シュッと前に突くメドーサ。
それを、横島の額の前で寸止めする。
『その脳天、無いと思いな。』
口元を歪ませ、笑みを作るメドーサ。
「は、はひ・・・・・・。」
顔を真っ青にし、横島は冷や汗をダラダラと流しながら答えた。



翌日・・・・・。
「う、うん・・・・・・。」
上半身を起こし、思い切り背伸びをする横島。
その時、まな板を叩く音がした。
トントントン・・・・。
台所で、メドーサがキャベツを刻んでいた。
メドーサは、横島の方を向いた。
『おや、起きたのかい。』
上にはTシャツを着、下にはジーンズを穿いている。
まぁ、簡単に言えば、シロのような格好をしていたのだ。
その姿を見て、横島は興奮した。
(ぬぉぉぉぉぉ!!)
豊満な胸が、Tシャツを着たことによりさらに目立っている、いや、強調されている。
その胸に反比例するかのような美しいボディライン。
そして、ジーンズを穿いていても分かるくらいの、豊かなヒップ。
プツッ
その時、横島の理性のネジが飛んだ。
「メドーサーーーーーーーーーーーーー!!」
横島はメドーサに飛び掛り、背後から抱きつく。
『わああっ!!?何するんだい!!』
メドーサは、横島の顔面に強烈な右ストレートを喰らわす。
バキャッ!!
「ぶっ!?」
畳の上で沈んだことにより、理性を取り戻す横島。
「すんません!すんません!後姿を見ていたら、つい興奮しちゃって!」
『アンタには理性ってモンがないのかい!!』
謝る横島に怒鳴るメドーサ。
『ったく、ほら、布団をどけてちゃぶ台を置きな!飯が出来たよ!』
「へ?」
『だから、朝飯が出来たって言ってるだろうが!』
「朝飯って・・・。お前が?」
メドーサを指差す横島。
メドーサは、カァーッと顔を赤くする。
『だぁー!!とっとと準備しな!!』
メドーサは横島の顔面に膝蹴りを決めた。
「ぶべっ!!な、何で・・・・?」


そして朝食・・・・。
「・・・・・・・。」
横島は呆然とした。
皿には刻みキャベツとベーコンエッグ、グラスには牛乳、もう1枚の皿には、フレンチトーストが・・・・。
「よ、洋食・・・・・?」
今、ちゃぶ台の上には、アメリカのホームドラマに出てくるような朝食が乗っていた。
『・・・食わないのかい?』
「い、いや、いただきます。」
横島は、まず最初に、ベーコンエッグを食べた。
「う、うまい!」
横島は、フレンチトーストに手をつける。
「うまい!こらうまい!!」
そう言って、横島はメドーサのつくった朝食を平らげた。
「ふぅ、ごちそうさま。メドーサ、お前こんなに料理上手かったのか?」
『まぁねぇ。暇な時は家で・・・・・。何言わせるんだい!!』
バキャッ!
「ぶっ!?お、俺が一体何を・・・・・?」
その言葉を最後に、横島は気絶した。



その後、横島は学校へ登校した。
そして教室で、メドーサが復活したこと、今、自分の部屋で一緒に暮らしていることを、ピートとタイガーに伝えた。
「下級魔族としての復活ですか・・・。分からないこともないですが。」
「ある意味、悲惨じゃのー。」
「確かにな〜。俺たちのせいでそうなったと思うと、ちょっと罪悪感が残るよ。」
「そうですね。バカと思われている横島さんに何度もやられれば、誰でも落ち込みますよね。」
「そうだな・・・・・、て、オイ。今、何か言わなかったか?」
「い、いえ、別に・・・・・。」
目線を逸らすピート。
「い〜や、絶対何か言っただろう。」
「言ってませんって!」
その様子を、愛子は呆れながら見ていた。
『青春ね〜。』
その時、窓から校門の様子を見ていた男子生徒が叫ぶ。
「お、おい!あれを見ろよ!」
生徒達が校門を見ると、メドーサが学校へ入ろうとしていたところだった。
「さっきの、デケェ胸していたな〜。」
「Eカップじゃないのか?」
「いや、Fカップだ!」
メドーサのバストサイズを予想する男子生徒たち。
その様子を、女子生徒たちは、冷たい目で見ていた。



それから2分後・・・・・。
教室にメドーサが入ってくる。
「おぉーーー!」
歓声みたいなのをあげる男子生徒たち。
無論、目線は胸の方へ向かっている。
そんな目線を気にせず、メドーサは横島の近くに来る。
『ホラ。』
メドーサは横島に弁当箱を渡す。
『残すんじゃないよ。』
そう言って、メドーサは教室から去っていった。
「・・・・・・・。」
ズザザッ!!
横島の周りを、男子生徒らが囲んだ。
「オイ、横島!お前、あの女性とどういう関係だ!?」
「ただの知り合いというか、何というか・・・・。」
「ただの知り合いが弁当拵えて、持って来るか!?」
「白状しろ、横島!!」
そして、横島は口を開いた。
「・・・・・・・同居人。」
「・・・・・・・・・何ーーーーーーーーーーーーーー!!!??」
男子生徒らがそう叫んだと同時に、横島は教室から逃走した。
「あ、逃げたぞ!!」
「追えーーーーーーー!!捕まえて拷問するんだーーーーーーーーーー!!!」
ドドドドドドド!!
教室から出て行く男子生徒ら。
教室には、ピート、タイガー、愛子と、女子生徒達だけしかいなかった。
『・・・・・・青春ね〜。』



その日の夜、夕食を食べ終えた2人は、夜の公園に散歩にいった。
その公園にある小さな丘で、2人は座った。
『・・・・・・・。』
「どうしたんだ?メドーサ。」
『いや、こんな風に、のんびり過ごせる時間なんて無かったからさ・・・・・。』
「・・・・・・・。」
『私はさ、アシュ様の野望を手助けするために、アシュ様に作られた魔族だしさ、いつもいつも、神族と戦っていたんだよ。』
「・・・・・・・。」
『でもさ、アンタたちのせいで、私は死んで、宇宙処理装置で復活したときだって、アンタにやられて・・・・・。』
ポロッ
「! お、おい、お前・・・・。」
『いつの間にか、私は弱い存在になっちまったよ。アンタのせいでね・・・・・。』
メドーサは、涙をポロポロと零していた。
『私は、美神令子を暗殺しようとしても、ことごとく失敗した。その全てに、アンタが関わってね・・・・。』
「・・・・・・・。」
『なぁ横島。なんで、私に優しくしてくれるんだい?アンタの上司や、アンタ自身を殺そうとしたのにさ。』
「・・・・・・・。」
『私に優しくしないでくれよ・・・・。コッチが辛くなっちまうよ・・・・。』
「・・・・・・・。」
横島は無言のまま、メドーサを優しく抱きしめた。
『なんで、そんなに優しくするんだよ・・・・。』
横島は、フッと微笑んで言った。
「・・・・・・好きなだけ、泣けばいいよ。俺が、それを受けてやるから。」
『うぐ、うぐ、うぁ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「俺が、お前に優しくしてやるから・・・・・・。」
月夜の光が、2人を照らし続けた・・・・・。




それから数ヵ月後・・・・・。
美神令子除霊事務所にて・・・・・。
「アンタ、今回の仕事で私の足引っ張ったでしょ!?」
『何言ってるんだい!!私の亭主が危ないときに助けない女房が、どこの世界にいるっていうんだい!!』
「何が、私の亭主よ!!」
美神とメドーサは、今日で10回目となる喧嘩を始めた。
メドーサは、横島と同棲生活を送っていた。
いつしか、横島のことを、亭主と呼ぶようになった。
言っておくが、横島とメドーサは結婚していない。(何せ同棲だから・・・・。)
「まぁまぁ、2人とも。」
何とか、喧嘩を止めさせようとするおキヌ。
「無駄だよ、おキヌちゃん。年増は口数が増えるから。
『「誰が年増だ!!」』
「ぶっ!?」
「あぁ、横島さん・・・・・・。」

教訓 口は災いの元也



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