ザ・グレート・展開予測ショー

暗転


投稿者名:紫
投稿日時:(03/ 3/28)


「――!! 感じる!! ヨコシマの霊体が――霊気構造が連鎖反応をおこして壊れていく・・・!!」

ベスパの霊波をもろに浴び、毒が、霊体そのものを破壊する毒が、彼を蝕んでいく。
肉体的な外傷はさほど無く、むしろ無傷と言ってもよいぐらいだが、しかし細胞が凄まじい勢いで死滅していく。
霊力が、魂が無い肉体は生命活動を行わない。魂の死は肉体の死に直結する。

「目を開けて、ヨコシマ!! 霊力を上げるのよ!!」

言いながらも、そんな事は無理だと分かっている。
霊体そのものが破壊されているのだから。
しかし呼びかける以外にどうしようもない。

分からない分からない分からない、私はどうすればいい?

私の力ではなにもできない、ヒーリングすらできないのだから。

混乱しきった頭で意味のない自問自答を繰り返す。
そんな事をしているうちにも彼は死に向かっていく。

「お願い、起きてヨコシマ・・・お願い・・・」

泣きながら縋り付く。
しかしそんな事を言っていてもどうにもならなくて、奇跡なんか起こらなくて――

「あ・・・あああ・・・・・」

彼の最後に残っていた、わずかな霊基構造すら崩壊して――

「ぁあああああぁぁぁああああああああああっ!!!!」

絶叫した。





遠くで、コスモ・プロセッサがちかちかと盛んに電光を発している。
私はヨコシマの肉体を抱えて、壁に背を預けて座って、それを見ていた。
もうアシュ様は、止められないだろう。ヨコシマはもうどこにもいないのだから。
そう、ヨコシマは、どこにも、いない。これはただの化学物質の集まりだ。ヨコシマでは無い。

これが絶望という事か。

私は、なんて馬鹿だったのだろう。ヨコシマが、私を助けてくれるなんて、ちょっと考えれば分かる事なのに。
いや、ヨコシマも馬鹿だ。私が、ヨコシマのいない世界で生きていたいと考える訳が無いのに。
そんなこと、ちょっと考えれば分かりそうな事だろうに。
私たち二人とも、大馬鹿だったのだ。
自分よりも相手を大事にしていたつもりで、そしてその結果がこれか。
ヨコシマは完全に死に、そして私は絶望している。

またコスモ・プロセッサが作動するのが見えた。今度はなにを消し、なにを作り出したのだろう。
もうそんなことどうでもいいが――いや。
そうだ、コスモ・プロセッサ。あれを使えば、もしかしたらヨコシマも――

急いで立ち上がろうとした。希望を見いだし、動こうとした。
しかしそれはできなかった。

急激に体から力が抜け、視界が暗くなっていく。

“――この世から、私に従わぬすべての神と悪魔を――”

ああ、アシュ様が美神さんを排除してしまったのか・・・?

“――消去する――”

せめて一言、最後に話をしたかったな、ヨコシ――


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