ザ・グレート・展開予測ショー

とある休日


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 3/23)

「明日、遊びに行きませんか?」
横島は美神にそう言った。
「は?」
「いや、明日は仕事も無いですし、たまにはパーッとした方がいいんじゃないかって。」
「何で明日なの?」
「うっ・・・・。」
横島は冷や汗を垂らす。
一昨日から、事務所にいるのは、美神と横島の2人だけである。
おキヌは、学校の修学旅行。
シロは人狼の里へ里帰りし、暇なので、タマモも付いて行った。
「何かよからぬ事を考えているんでしょ?」
「と、とんでもないっス!!別に美神さんとイイ雰囲気になってあんなコトやこんなコトをしようなどとは全然考えていません!!」
「考えているじゃないの!!」
バキャッ!!
美神の右ストレートが、横島の顔面に命中した。
「ぶべらっ!!」
顔面から大量の血を流し、床に倒れる横島。
「うぅ・・・・。この口が、この口がいかんのや〜。」
血みどろの顔のまま、涙を流す横島。
「明日は部屋でのんびりするとするわ。」
「あぁー!!お願いします!!どうか、どうか俺とデートして下さい!!」
「は?でぇとぉ?」
「し、しまった!つい口が滑って!」
ダラダラと冷や汗を流す横島。
「ははぁ・・・・。そういう事・・・・。」
ニタリと笑う美神。
「い、いや・・・、その・・・・・。」
アタフタする横島。
(こ、殺される!!)
「・・・・・ま、いいわ。部屋でゴロ寝するのもどうかと思うしね。」
「え!?」
「別にいいわよ。」
「ほ、本当っスか!?」
ガッツポーズをとる横島。
「そのかわり、ちょっとでも変なコトしたら、1年間時給無しだからね!」
「えぇーーーー!?」
「当たり前でしょ!!この私が特別にアンタと付き合ってあげるんだから!」
「し、しかし、デートというものは男女が親交を深める為のもので、手が触れ合っても、それは許される事であって・・・。」
「無論、そんな事した時点で、1年間時給無し!」
「そ、そんな〜!」
ブシャーッと涙と鼻水を噴き出す横島。
それを美神は、呆れながら見ていた。






翌日・・・・・・。
美神と横島はデート(?)に出発した。
と言っても、いつもの服装でだが・・・・。
まず2人は、遊園地へと向かった。
2人はジェットコースターやバイキングなどのアトラクションに乗り続けていた。
「ぜー、ぜー・・・・。」
「どうしたの?横島クン。」
「どうもこうもないっスよ。美神さんが俺を引っ張って、いろんなアトラクションに乗せるんスから、もうクタクタっスよ。」
「そんなに乗ったっけ?」
「ジェットコースターだけでも10回以上は乗ってるっスよ!」
「そ、そうだっけ?アハハハハハハ。」
苦笑する美神。
横島は、ハァーッと溜め息をついた。




その次はファミレスで食事である。
ガツガツガツ!!
「・・・・・・・・。よく食べるわね〜。」
「ふぁいひん、りょふなもほ、ふっへなはったでふはら。(最近、ロクなもの、食ってなかったですから。)」
口いっぱいにチキンライスを頬張りながら、横島は言った。
すでにテーブルの上には、皿の山が出来ていた。
(やれやれ・・・。)
美神は、呆れながら、コーヒーを口に流し込んだ。




その後も、映画館やウインドウショッピングなどを楽しんだ(?)2人は、とある公園に来た。
2人は、ベンチの上に座る。
「いい天気・・・・。」
美神は空を見上げる。
雲1つ無い快晴である。
暖かい日差しが、美神を眠りへと誘う。
(ふわ、眠い・・・・。)
美神は、手で隠しながら欠伸をする。
「ふあぁぁ・・・・。」
隣で、横島も欠伸をする。
そして、横島の体が横に倒れ、横島の頭が、美神の膝の上に乗る。
「!! ちょ、ちょっと!!」
突然のことに顔を赤くする美神。
その美神を、遊んでいる子供を見ている母親たちが見て、その場でヒソヒソ話をする。




「見てくださいよ、膝枕ですわよ。」
「まぁ、とっくの昔に無くなったと思ったんですがねぇ。」
「あんなことを主人にしてあげたこと、恋人時代でしかありませんことよ。」
「あの子、顔を真っ赤をしてらっしゃいますわよ。」
「大人なのに、顔を真っ赤にするなんて、珍しいことですわねぇ。」
「今まで、男の人と付き合ったことが無いんじゃないんですの?」
「あぁ、なるほど・・・・。」




(うぅ・・・・。何で私がこんな目に・・・・。)
横島を叩き起こそうと、顔を見る美神。
「くー・・・・・。くー・・・・・。」
「・・・・・・・。」
子供のような横島の寝顔を見て、美神は怒る気が失せてしまった。
(ま、悪い気分じゃないわね・・・・。)
美神は、横島の頭を、軽く撫でる。
「ふわ・・・。眠い・・・・・。」
暖かい日差しを受けていた美神は、睡魔に襲われ、眠りについた・・・・。





「あれ?ここは・・・・。」
美神は、黒い空間の中にいた。
「美神さ〜ん。」
向こうから、横島がやってくる。
「横島クン、ここはどこなの?」
「多分、夢の中じゃないでしょうか?」
「夢の世界?」
「えぇ、妙神山の時にもこんな感じの処にいましたし・・・。」
「妙神山の時?」
「えぇ、美神さんに内緒で、雪之丞と修行に行った時に・・・。」
「あ、そう・・・・。」
「「・・・・・・。」」
2人は黙り込んだ。



「ねぇ・・・・。」
先に言葉を発したのは美神であった。
「何スか?」
「私とデートして、楽しかった?」
「な、何スか?突然。」
「ちょ、ちょっと聞いてみただけよ!」
顔を赤くして、美神が言う。
それを見て、横島は笑った。
「楽しかったスよ・・・・。とても・・・・。」
「・・・・・え?」
「何か、こんなに長く、美神さんと一緒にいた事無かったなぁって。」
「・・・・・・。」
「もう、下心なんか、とっくに無くなってしまったって言うか・・・。」
「え?」
「何か、一緒に居れただけで、俺は嬉しかったんです。」
横島はニコリと笑い、その笑顔に、美神はドキッとした。
「また、遊びに行きましょうね・・・・。」
徐々に、横島の体が透き通っていく。
「ちょ、ちょっと!」
美神が横島の腕を掴もうとする。
しかし、その腕は空を切る。
すでに、横島の姿は無かった。




♪この子の可愛さ限りない
 山では木の数、萱の数
 尾花かるかや、萩ききょう
 七草千草の数よりも
 大事なこの子がねんねする
 星の数よりまだ可愛
 ねんねやねんねやおねんねや
 ねんねんころりやねんねこや




「ん・・・・。んん・・・・。」
目を覚ます美神。
目の前に、横島の後頭部があった。
「・・・・・・・え!?」
「あ、起きたんスか。」
美神の方に顔を向け、ニコリと笑う横島。
そう、美神は横島に"おんぶ"されているのだ。
「なななななな!!??」
とたんに顔を赤くする美神。
「何顔を赤くしてるんスか?」
「ちょ、ちょっと下ろしなさいよ!」
「イヤです。」
イタズラをした子供のように笑う横島。
「美神さんの寝顔、とっても可愛かったんスから。」
「〜〜〜〜〜〜〜!!」
耳まで顔を真っ赤にする美神。
「ハハハハハ。さぁ、事務所に帰りましょう。」
顔の向きを元に戻し、横島は、再び歩き始める。
そして、唄を口ずさみ始める。



♪この子の可愛さ限りない
 山では木の数、萱の数
 尾花かるかや、萩ききょう
 七草千草の数よりも
 大事なこの子がねんねする
 星の数よりまだ可愛
 ねんねやねんねやおねんねや
 ねんねんころりやねんねこや



「それって、おキヌちゃんが唄っていた子守唄でしょ?」
「えぇ。ひのめちゃんを寝かせるために、おキヌちゃんがいつも唄ってるんで、いつの間にか覚えてしまったんスよ。」
「そう・・・・。」
美神は横島の背中を見る。
(大きい・・・・。)
美神は初めて、横島の背中の大きさを感じた。
まるで、父親に背負われている感じがした。
美神は、自分の父である公彦に、子供の頃おんぶしてもらったことは一度もない。
いつも、母親である美智恵との2人だけの生活だった。
そのため、今までに男の人におんぶなどをされたことは一度もない。
しかし、横島におんぶされた美神に、何だか心地いい感じが生まれてきた。
自分をおんぶしているのは、3歳ぐらいしか年が違わない横島である。
しかし、何故か安心してしまうのだ。
(温かい・・・・。)
体に伝わってくる、横島の体温。
それが心地良く感じてくる。
美神は、フッと微笑んだ。

「ねぇ、横島クン・・・。」
「ん?何スか?」
「・・・・1年間給料無し。」
「えぇーーーー!?」
「フフ、冗談よ。けど、1ヶ月間減給だからね。」
「そ、そんな〜。」
「1年間給料無しよりはマシでしょ?」
「そ、そりゃ、そうですけど・・・。」
「・・・・・こっちは、恥ずかしい思いしたんだから・・・。」
「え?」
「・・・・でも、・・・・ま、いっか・・・・・・・・。」
「み、美神さん?」
横島は、後ろを見る。
「スー・・・・・・。スー・・・・・・。」
美神が、静かな寝息をたてながら寝ていた。
それを見て、横島は微笑む。
「・・・・おやすみ、美神さん・・・・・。」
横島は、寝ている美神を起こさないように、事務所へと向かう。
その光景はまるで、自分の子供を背負った、優しい父親のようであった。

その後、2人はどういう仲になったのか、それは皆さんのご想像にお任せしよう。



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