ザ・グレート・展開予測ショー

香港の休日(仮):後編


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 3/22)

何とか、敵の追跡を振り切った俺と夏零は、香港の港にたどり着いた。
しかし、大きい霊気を感じる。
「夏零、俺から離れるなよ。」
「え?どうしてですか?」
「いいから、言うとおりにしろ。」
ガサッ!
「!!」
俺は瞬時に霊気の盾"サイキック・ソーサー"を作り出し、
音がした方に投げつける。
チュドーーーン!!
『ギャーーーーーーーーー!!』
断末魔の悲鳴が聞こえる。
どうやら悪霊のようだ。
「!?」
辺りから次々と、巨大な霊気を感じる。
グリュッ!
『グギャーーーーーーーー!!』
『グゲーーーーーーーーー!!』
『ギシャーーーーーーーー!!』
地面から、次々と魔物が現れる。
ひぃ、ふぅ、みぃ・・・・。
合計で、10匹か。
文珠は・・・・・・、品切れか。
仕方ねぇ。霊波刀とサイキック・ソーサーでなんとかするか。






「飛べ!!」
俺は霊波刀を破片状にして、敵に向かって放った。
ズガガガガガガッ!!
『ウギャッ!!』
ほぼ全員の敵に命中し、一番たくさん当たった魔物1匹が倒れる。
『ギシャーーーーーーー!!』
魔物の1匹が飛び掛ってくる。
「ちっ!」
俺は左手に霊気を集中させ、霊波刀を出す。
ズバシャッ!!
飛び掛ってきた敵を真っ二つにする。
その後、俺は右手に霊気を集中させ、霊波刀を出す。
俺が特訓して出来るようになった、"霊波刀 双剣モード"だ。
俺は構えをとり、敵が攻撃を仕掛けてきても、すぐ反撃できるようにする。
『ガァァーーーーーーー!!』
2匹が同時に飛び掛ってくる。
「甘いんだよ!」
ズバッ!ズバッ!
俺は、左右から襲い掛かってきた2匹の魔物を、左右の手から出ている霊波刀で一閃する。
「あと6匹か・・・・。」






数分後・・・・。
なんとか俺は、10匹の魔物を倒すことが出来た。
「ふぅ、大丈夫か?夏零。」
「は、はい・・・・。」
夏零は小刻みに体を震わしていた。
やっぱり、恐かったんだろうな・・・。
俺は上着を脱ぎ、夏零の背中に掛けてあげる。
「あ、ありがとうございます・・・・・。」
「さて、とっとと逃げるぞ。」
俺は、夏零を連れて、港から逃げ出す。





それから数時間・・・・。
俺たちは何度も敵に襲われた。
そのせいか知らないが、
だんだんイライラしてきた。
そして俺は、夏零に聞いた。
「なぁ、敵の本拠地はどこ?」
「え?ま、まさか!」
「逃げてたってキリがねぇからな。だったら、敵の本拠地をブッ叩く方がいいだろ?」
「そ、そういうものですか?」
「そういうモンだ。」
俺はニヤリと笑う。
「で?本拠地はドコ?」
「え、えっと・・・。ココです。」
「へ?」
「だから、ココです。」
「ココって・・・・・・・。」
俺と夏零の前にあった建物・・・・。
俺が泊まっている高級ホテル「鳳凰楼」だった。





コツコツコツ・・・・。
秘密の地下室(笑)に続く階段を下りる俺と夏零。
そして、秘密の地下室に辿り着く。
「よく来たな。貴様たち。」
窓からこちらを見る男。
いかにもボスって感じの男だった。
いや、だって、葉巻吸ってるし。
「アンタが、秘密結社「鬼骸」の親玉さんか?」
「フフフ。その通りだよ、横島忠夫君。」
「俺の名前を知ってるのか?」
「知っているさ。高校生にして、世界一のGSになった君のことを、オカルトの裏世界で知らぬ者はいない。」
「へぇ、俺も有名になったもんだ。」
俺は苦笑する。
はっきり言って、自覚はないのだ。
確かに、美神さんからは、正式なGSとして、給料を上げてもらった。
しかし、なんら普通の生活と変わりはない。
いつものように、美神さんにシバかれ、おキヌちゃんの料理を食べ、シロに顔を舐められ、タマモにきつねうどんをおごってやる。
そんな、いつもの生活が続いているのだ。
ただ、いいマンションに引越し、給料が増え、出張の仕事が多くなり、結婚した・・・。
それだけである。
「貴様を倒したとなれば、裏世界での名が上がるというものだ。悪いが、貴様たちにはここで死んでもらおう。」
男は指をパチンと鳴らす。
すると、向こうにあった鉄の扉が開き、中から巨大な化物が出てくる。
「ひっ!」
短い悲鳴をあげる夏零。
眼は蛇のように鋭く、鷹のように鋭い嘴を持つ。
爪はライオンように鋭く、強靭な体を持っている。
間違いなく合成獣(キメラ)だった。
俺は霊波刀を出し、構える。
そんじょそこらの魔物とは違う、強力な霊気を放っているからだ。
「夏零。俺がやられることがあったら、すぐに逃げるんだ。」
「え?」
「分かったか。俺がやられたら、すぐに逃げ出すんだ!」
「は、はい。」
俺は、合成獣と間合いをとる。
ツーッ
一筋の汗が、俺の額から垂れた。





ギュオンッ!!
「へ?」
突然天井に、異空間の穴が現れる。
まさか・・・・・。
ズオッ!!
ズブシャッ!!
『ギャーーーーーーーーーー!!』
異空間の穴から、巨大な角が出てきて、合成獣を貫いた。
どう考えたって、アレだよな・・・・。
「ヨコシマーーーーー!」
やっぱり・・・・。
異空間の穴から、1人の女性が現れる。
「よかった。無事だったのね。」
「あのな・・・・・。」
俺はボリボリと頭を掻く。
「こんな所に異空間の穴を出して、逆天号を出すな!!あと数センチで、角が当たるところだったぞ!」
「あ、ひど〜い。それが助けにきた妻に対しての言葉なの?」
プゥ〜と頬を膨らませる俺の妻ルシオラ。
「分かった分かった。助けにきてくれてありがとう、ルシオラ。」
「どういたしまして。で、コイツ何なの?」
「合成獣・・・・・・、の死体だ。」
逆天号の角に体を貫かれた合成獣は、すでに生命活動を停止していた。
まぁ、あんなデカイ角が体に刺さったら、誰でも死ぬわなぁ。
「ところで、俺を助けに来たって言ってたけど、もしかして美神さんたちも?」
「いるわよ。ほら、あそこ。」
ルシオラが指差した方向には、敵の親玉の後頭部に、拳銃を突きつけている、美神さんの姿があった。
その後ろで、おキヌちゃんとシロとタマモが苦笑いしている。
多分、命を助けてやるかわりに、持っている財産を全て渡せって脅迫しているのだろう。
ニヤリと笑っている美神さんが、恐かった。






ま、こうして俺の香港で巻き込まれた事件は終わりを告げた。
結局、「鬼骸」の親玉、李 慮雲は捕まり、「鬼骸」は事実上の壊滅となった。
その後、ICPOが中国当局を家宅捜索し、上層部が逮捕された。
夏零から預かったCDは、西条に手渡した。
その後、夏零と別れ、日本へ帰った。
・・・・・・・・・。
勿体ねぇ〜・・・・。ちくしょ〜・・・・・。ちくしょ〜・・・・・。
「何が勿体ないですって?」
「!?」
「あの、夏零って子、美人だったわね・・・・。」
「ち、違うぞルシオラ!愛してるのはお前だけだ!!」
「え?ほ、本当?」
本当だとも!ホテルで同じ部屋で寝た時、夜這いをかけようかなんて、これっぽっちも思っていない!
「夜這いですって・・・・・?」
し、しまった!つい声に出て!!
「・・・・ヨコシマ、私新しい銃を作ったの。」
「う、うん。そ、それで?」
すでに体中から大量の冷や汗が出ている。
「ヨコシマ、的になってくれない?」
で〜!やっぱり!?
「当たり前でしょ!!いつも出張の度に浮気するんだから!!」
な、何故それを!!
「小型の盗聴器を付けておいたのよ。」
し、しまった!十分考えられることだったのに!!
「ま、今回は事情もあってだし、許してあげる。」
「ほ、本当か!?」
「そのかわり、・・・・・フフ。」
「・・・・・・分かった。一晩中愛し続けてやるから。」
「ありがと、ヨコシマ。」
そう言って、ルシオラは俺に抱きついた。
やれやれ・・・・。
俺に安息の日が来るのはいつなんだろうな・・・・・。



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