ザ・グレート・展開予測ショー

看病


投稿者名:ブラックキャット
投稿日時:(03/ 3/ 9)


ある日。
馬鹿でスケベで明け透けで。
体の丈夫さが取り得の横島が風邪でダウンしたと事務所に連絡が入った。
美神、おキヌ、シロはそれを聞いて互いに牽制して、自然その空気は緊張をはらむ。

「そーか・・・横島君は風邪ね」
「あの、美神さん。私横島さんの看病に・・・」
「ダメよ、おキヌちゃん。仕事は待ってはくれないのよ。今回の仕事はおキヌちゃんの力が必要なの」
「では拙者が先生の・・・」
「シロ。アンタが居なくて誰がおキヌちゃんを守るのよ?ダメに決まってるでしょ?」
「で、でも・・・」

etc...etc...
おキヌ、シロが横島の看病をしたいと駄々をこね、それを美神が難癖付けて否定する。
そんな光景が暫らく続けられる。
その最中、黙って見ていたタマモがいつしか消えていた事に気付いたのは、人工幽霊一号だけであった。



「大丈夫かな・・・横島の奴」

タマモが持っている可愛らしいポーチには、以前に横島の部屋の前に置いておいた事もある風邪薬の材料が入っている。
更にはタマモの手には近所のスーパーの袋があり、看病に必要と思われるものや食材が入っていて、看病する気満々である。

コンコンコン・・・

部屋のドアをノックして暫し待つ。
だが、普段なら直ぐに返って来る筈の返事が無い。

「横島ァ〜?・・・寝てるの〜?入るよ?」

もう一度ノックと呼び掛けをし、返事が無いのを確認してからタマモは中に入る。
どうせ盗むものなんてないから。と鍵が掛かっていない事は既に知っているので迷いなくドアを開く。

「う゛っ!」

横島の部屋に入ってまずタマモが感じた事は『空気が悪い』であった。
恐らく風邪で倒れてから換気などしていないのだろう。元より換気など余りしなかったが、風邪の菌の所為で空気がかなり淀んでいる。
なまじ人間より感覚の鋭いタマモなのできつかった。
呆れた様に煎餅布団に横になって眠っている横島を見、宛ら通い妻の如く部屋の換気、昼食、薬の準備を進める。



「タ・・・マモ・・・?」
「あ、横島起きた?おかゆ作ったけど・・・食べる?」

ピンク色のシンプルなエプロンを着たタマモに思わず見惚れる横島。
小首をかしげて横島を見るタマモは、横島の庇護欲を刺激し、同時に母性を感じさせ・・・そのギャップが横島の中でタマモに対する意識を改めさせた。

「た・・・食べるぞ」
「ん・・・ほら、大丈夫?起きれる?あ〜、ほら無理しないで」

身を起こそうとしてふらついた横島の体を支え、身を起こさせるタマモ。

「無茶したらダメだからね?」

横島を気にしつつ、おかゆを取りにコンロへ向かうタマモ。
程無くして戻ったタマモの手には鍋に入ったままのおかゆと、大き目のスプーンがある。
根っからの貧乏人である横島の家に丁度いい器など無かった。
それ以前に鍋があったことにタマモはちょっぴり驚いた。

「ちょっと待ってね。今冷ますから」
「え?」
「ふぅ〜っ!ふぅ〜っ!」

普段はクールなタマモが自分のためにここまで・・・しかもあの『ふぅふぅ』までしてくれているその姿に横島は訳もなく感動を覚えた。
単純にタマモが萌え萌えだからではない。・・・・・・多分。

「はい、あ〜ん」

やっぱり恥ずかしいのか顔が赤くなるタマモ。
『ふぅふぅ』『あ〜ん』のコンボに、上手く働かない頭で感動し、顔が赤くなるのを自覚しつつありがたくおかゆを頂戴する。

「どう?」
「・・・・・・美味い」

恥ずかしい空気の中、それはおかゆが横島の腹の中に全てが消えるまで続けられた。

「はい・・・薬飲んで」

まだ恥ずかしい空気が続く中、タマモは持ってきた薬を煎じて横島に飲ませる。
甲斐甲斐しく世話をしてくれるタマモに胸を熱くしつつ、横島は襲い来る睡魔と格闘していた。
だが・・・・・・。

「タマモ・・・・・・」
「ん?何?」
「・・・すまん」
「へ?!ちょっ、横島?!」

結局睡魔に打ち勝てず、横島は頬に柔らかくてすべすべした感触を感じつつ意識を閉じた。
一方・・・タマモはと言えば、横島の突然の行動に顔を真っ赤にして慌てふためいていた。
自分の足に乗っている・・・いわゆる『膝枕』状態の横島の頭を見下ろし、金魚や鯉の様に口をパクパクと動かす。
相手の意識が無いとは言え・・・いや、意識が無いからこそ、恥ずかしさだけが頭を占める。

「ううう・・・何なのよ・・・バカ」

横島は起きてくれないと諦め、タマモは恥ずかしさで死にそうな思いさえしながら横島の頭を膝枕し続けたのだった・・・。


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