魔女の過去―――完―――
投稿者名:NGK
投稿日時:(03/ 3/ 9)
―魔女協会本部―
「・・・青い爪の魔女は死んだのではないか・・・」
「確かに、この報告書を見る限り致命傷を負っていてもおかしくない」
「半年たっても音沙汰がないのだ。・・・あっけないものだ」
「・・・・・・・・・」
果たしてそうなのか。
あのとき確かに致命傷を負っていたのか。
美智恵はそう、自分に問い掛ける。
時間が経つごとに記憶があやふやになっていく。
けれど・・・。
「分かりました。これで打ち切りましょう」
「・・・寂しくなるな・・・」
「普通、出る人が言わないと思うけど・・・」
「まぁ・・・な」
「うふふ・・・二人とも仲がいいわね。見てて妬けてくるわよ」
そう言うと美智恵はまた笑った。
「そんな・・・先生、からかうのは・・・」
「そうですよ。私、全然、そんな気ありませんし」
「・・・・・・」
確かにそんな気はないのだが、こうもハッキリと言われると気落ちするのは何故だろう。
「魔鈴さんはここで魔女としての修行を続けるのよね?」
「はい。青い爪の魔女との戦いで言われたこと・・・『未熟者』というのは事実ですし。いつかこのホウキでもって、悪い気を浄化できるようになるまで頑張りたいと思います」
その時、美智恵から冷や汗が流れたことを本人以外は知らない。
「では美神さんも西条・・・さんも元気で・・・」
魔鈴はそういうと ペコリと頭を下げた。
―イギリス:GS協会本部―
「さて・・・とこれでお別れね」
「えっ!?先生一緒に日本に帰らないんですか!?」
美智恵は西条の頭をコツンと叩くと、
「逆、でしょ。西条くんは大学に行かないと」
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!そ、そうでした・・・・・・」
「・・・まぁ、一年間の休学通知を出していたから大丈夫だけれども・・・早いうちに『ここ』に慣れておきなさい」
「は、はい・・・先生は日本に戻ってオカルトGメンを設立するんですよね?許可ももらいましたし」
「うーん・・・そのことなんだけど・・・しばらく設立はしないわ」
「なぜですか!?先生はそのために今まで・・・」
美智恵は ふぅ と溜息をついて、
「調べないといけないことが出来たから」
とだけ言った。
「じゃあ、西条くん、頑張ってね」
ここから先は自分一人のほうが動きやすい。
調べることは青い爪の魔女が本当に死んだのかということと、もう一つ。
「(何処で青い爪の魔女は『大魔女』になる手段を知ったのかしら・・・)」
はぁ
「令子に寂しい思いをさせてしまうわねぇ・・・」
と美智恵は溜息をついた。
溜息の数が多い。
年をとったのかもしれない。
いや、まだまだ若い。
そう、自分に言い聞かせる。
でないとGSなんてやってられないのだ。
――――――完――――――
時は暫しさかのぼり―――青い爪の魔女と魔鈴めぐみ、美神美智恵・西条輝彦の三人が対決した日から三週間後
「ふぅ・・・・これで傷が癒えた・・・計画を成就させるときが―――来た」
何処かの闇の中。
青い爪の魔女は呟いた。
左腕は復元したのか、それとも別の手段を用意したのかある。
「あの時は不覚をとったけれど、今度は確実に殺してやる・・・魔女ども全てを含めてっ!!!」
「ふぅん・・・なるほど、貴女の今の力ならたしかに出来るでしょうね」
「お、お前は・・・」
自分に、この『黒い本』を渡した女性―――。
今にも胸元がズレ落ちそうな服を身につけている点が違うがそれ以外を除いてあの時の女性である。
「けれど、こちらとしてはそうはいかないのよ・・・」
女は三又の槍を青い爪の魔女に突きつけその、紫色の髪を風になびかせた。
「こちらにとって誤算だったのは貴女の行動。必要以上の魔女を殺すとは思っても見なかったわ。それに魔力の場から力を吸い上げるとも思わなかった。貴女は『魔女協会内部にクーデターを発生させ反GS協会にする』という目的だったと思うけど?」
青い爪の魔女は三又の槍に動じることもなく、
「その通り・・・けれど、弱く、必要ない魔女どもを味方にするなんて考えは馬鹿らしくてねぇ・・・それよりは私の力をより伸ばしたほうが良いからねぇ・・・」
そう言いつつ魔力を高める。
「ふぅ・・・こちらの魔女協会内部にクーデターを発生させ反GS協会に向かわせヨーロッパにおけるGS協会の影響力を低下させる作戦は、そもそも人選が失敗だったみたいだわ・・・まったく・・・あれで魔女全体が結束を強めては如何しようもない」
そう言うと女は一言、
「この始末はつけないといけない」
と言った。
「私を殺す・・・馬鹿な、たとえ魔族であろうと殺すことは出来ないわ!私を越える者はこの世にいないのよ!!」
そう言うと青い爪の魔女は魔力全てを開放した。
「所詮は人間・・・・・・一瞬も経たずにお前は死ぬ」
―――気がつくと自分の首は空に舞っていた。
「ば・・・馬鹿な・・・バカな・・・バかナぁァッ!!」
「ふん・・・」
女は青い爪の魔女を黒い本ごと始末する。
ややあって、蝿の身体に蝿の顔の異形の男がやってくる。
「お・・・メドーサ。終ったようだな」
「ベルゼブル・・・はんッ!たかが人間に終ったもなにもないだろう?」
ベルゼブルと呼ばれた異形は「たしかに」と苦笑した。
「それより、なんだい?突然やって来て・・・」
「あぁ・・・そうだ!デミアンがついに我が陣営に加入したらしい」
「なに!?私が行ってもあんなに渋っていたやつが・・・だれが行ったのさ?」
「それが・・・あのお方直々の――――――」
―――終わりはまだなのかも知れない―――
――――――完――――――
今までの
コメント:
- はい。これで終わりです。
なにやらややこしい終り方ですが、これで終わりです。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございましたm(_ _)m
<青い爪の魔女について>
コイツはずばり、『狂気』というイメージで書いていたんですけど、途中から、『狂っているけど実は思考深いやつに見えてやっぱり狂っている』と書いてました。・・・なんのこっちゃ(苦笑)
変な笑い方と残虐非道な敵と色々コンセプトを考えて書いていました。
後、『大魔女』=〜のところはUぐらいから考えていました。
やたら強すぎるのは、「ラスボスが弱くては不味いだろう」という私の適当な考えからですwおかげで途中から「どうやってコイツとまともに戦えるのか?」と悩んでました。 (NGK)
- <他のキャラ>
魔鈴は、ずばり暗い魔鈴が書きたかったからああいう性格になったという・・・。
ちなみに『未熟者』うんぬんは自分が魔法の表現力に乏しいから魔鈴の使える魔法が少なかったということだったり(;
西条はVぐらいから『萌え西条』というテーマを持って書いてました(笑)魔鈴との絡みが少なかったのは正直、悔いが残りますが・・・まぁ、他の作品でやります(笑)このコンビ好きなのでw
美智恵隊長は・・・まぁあんな感じです。ギャグとシリアスに活躍してくれたので大感謝です。 (NGK)
- <おまけ>
一応、なんかむくわれない『馬鹿猫』の相棒の”男”のことを。こいつの正体はカラスでした。最初、殺される場面が三人の目の前で青い爪の魔女が大魔女になる・・・みたいなことを考えていたんですがあれよあれよとあんな感じに。もっと頭脳を活かした敵にしようかなと考えていたんですが・・・;
最後に、約一年間かかった(かけてしまった;)この話も終わりです。繰り返しますがここまで読んでくださった方、本当にありがとうございましたm(_ _)m (NGK)
- 全ての謎が解け、事件も一応は解決し、登場人物のそれぞれが一生のうちの次なるステップを踏もうとしてるところでの完結、お見事でした♪ 最初に青い爪の魔女をそそのかしたのがメドーサ(&その一味)だったと言うのが意外でした;ここで原作との結びつきがより強くなりましたね。最後まで暗い雰囲気を背負ったままの魔鈴でしたが、どことなく現代の彼女を思わせる節が見え隠れし始めている点が良かったです。全編を通じて私の中では今までに無い形の展開だったので、本当に興味深かったです。投稿お疲れ様でした♪ (kitchensink)
- ビバ・完結!(挨拶)
いやぁ、長かった大河作品も終わりましたねぇ。あれだけ強力な力を誇った青い爪の魔女がより強大な力を持つメドーサの前に呆気なく破れてしまったという構図が、何か『力』という事象に対するそこはかとない無常感を感じさせてくれます。追い求めた力の果てに、魔鈴めぐみが得たものは一体どんな『力』だったのでしょうか……
長い間、お疲れ様です (ロックンロール)
- 完結おめでとうございます!!
おそらく『魔女の過去』にコメントするのは
初めてだと思うのですが(すいません!)ずっと読んでましたよ〜。
こういうシリアスな話、ホント好きなんですよ!!
ちょっと暗い性格をした魔鈴さんと初々しい西条クンが新鮮でした♪
それにしても最後にメドーサをもってくるとは・・・・・
お疲れ様でした!! (ハルカ)
- コメントが遅れて申し訳ありません。
今、やっと追いつきました(笑)
深いです。深いお話ですね。
NGKさんは魔女そのものに造詣が深いんでしょうか?w
昔、魔女狩りで6000字のレポートを書かされたことを思い出しましたよ(謎)
話がきっちり原作に繋がっている辺りが、非常に上手いと思いました。
あと一話でどうやって倒すのかと思ってたら・・・ねぇ?(笑)
最後になりますが、完結おめでとうございます♪
次は令次ですね?(爆) (NAVA)
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