ザ・グレート・展開予測ショー

魔女の過去XII


投稿者名:NGK
投稿日時:(03/ 3/ 9)

「あなたは・・・さっきの・・・」
先程、自分に切りかかってきた男が自分をかばうのか。
魔鈴はその理由に苦しんでいた。
「理由なんて・・・人が困っている際には助けるのは当然の行為だ・・・」
と、言い残して西条の身体が崩れ落ちる。
「大丈夫。この子は死んでないわ。ただ、気絶しただけ」
「・・・あなた、誰?」
・・・もっともな台詞である。
「・・・私は美神美智恵。GS協会所属のゴースト・スイーパーよ。ついでに言うと魔女協会の長老に頼まれてあなたを探していたって訳」
「私はそのつもりがないんだけど・・・」
「まぁ、その話はあとで―――としてもう一つの依頼を果たさないとね」
そう言うや否や美智恵は青い爪の魔女に向かっていきなり銃弾を放った。


「あはははははっは・・・ずいぶんなことをしてくれるじゃないのぉ?」
見ると青い爪の魔女の左腕は力なくぶら下がっている。
「銃自体はそれほどじゃないけど銃弾はGS協会特製でね。人間を遥かに越える存在―――たとえば魔族とかそういう存在にも結構な威力があるのよ」
そういうと美智恵は銃を収め神通棍を取り出す。
「律儀に待ってくれるなんてやさしいのね」
「・・・私の最終的な目的はGS協会の壊滅だからねぇ。それに、左腕のハンデくらい別になんとも―――!」
美智恵の身体が一瞬、動かなくなる―――が、気合を込めると身体は覚醒し、思考も冴えてくる。
「ふぅ・・・初めてだわ。この魔法が効かなかったのは」
青い爪の魔女は溜息をついた。
「でも、『大魔女』とたかが人間とでは・・・ふぁはっはあははははっはははっっ!!」
美智恵の振るった神通棍が青い爪の魔女の身体を薙ぎ払うが、効いた様子がない。
「・・・それほどの力を得るためにどれほどの人間の血が流されたのか・・・聞きたくないわね」
「そう?きっと貴女なら私と同じくらいの大魔女になれるわよ」
美智恵は一呼吸置いて、
「私は人間を辞める気はないわ」
と言った。


「・・・・・・」
さて、如何するか。
一見すると好機である。
青い爪の魔女は自分という存在に気にも止めていないように見える。
不意をついて復讐を果たすことも可能であるように思える。
けれど。
「私に出来ることは気をそらすことぐらいか・・・」
誰に言うでもなく魔鈴はそう、呟いた。
未熟者だからといってこのまま何もしないのは辛すぎる。
「このままでは青い爪の魔女が優勢になる・・・」
そうなる前に・・・。


「くっ・・・・・・」
「如何したの?もう終わり?」
徐々にではあるが美智恵は追い詰められていた。
何度か攻撃し、相手の攻撃を避けて・・・の繰り返しではあったが、最初に相対していた地点まで戻っていた。
「ふぅ・・・そうしたいところだけどあんたみたいなのを放っておくと危険だから無理ね」
そう言うと美智恵は神通棍を青い爪の魔女に突きつける。
「なるほど。GS協会が最大の霊能者集団だといわれることはあるわね・・・・・・あはははっははははははっはははははっははぁあはぁあははっぁあぁっぁあぁっは」
青い爪の魔女は何が可笑しいのか馬鹿笑いをしている。
「はぁ・・・いい加減その笑い声、五月蝿いんだけど・・・・・・・・・っ!?」

怖い。恐い。コワイ。


こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい


身体中が寒気がする。


「どウ?こワいでショう?アハハッハハハハッハハハッハハハハッハハッハハハハ」


―――これは・・・魔法・・・・・・。


がくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがくがく・・・


震えが止まらない・・・。





「そこまでにしておくのね」
「?・・・なんだ貴女、もう動けるようになったの?」
「まぁね。出来るだけの抵抗はしておきたいし・・・」
そう言うと魔鈴は先程の魔法を唱え始める。
・・・無駄なことを・・・。
ちらっ と魔鈴に視線をやって・・・鋭い痛みとともに青い爪の魔女の胸から霊剣が突き出ていた。


「ば、馬鹿な・・・っ!?貴様はたしか気絶していたはず・・・・・・グァァッ!」
西条は胸を突き刺した霊剣を横に薙ぎ払う。
「ガァァァァッァァァッァァァッァァァァッァァァァッ!!」
その痛みは―――想像を絶した。


―暫し前―
「僕がやられたフリを?」
「そうよ」
「でも・・・普通、騙されませんよ!?」
「たしかに・・・ね。でも、私がすぐ相手の気を引き付けるし、相手が絶対の自信を持っているものだったら結構、騙されたりするのよ」
「はぁ・・・でも本当に気絶してしまうかも・・・」
「大丈夫。西条くんなら。自分を信じなさい」


「ク・・・オノレ・・・・・・・・・」
「・・・これでチェック・メイトね」
倒れた青い爪の魔女を囲んで西条、魔鈴、美智恵の三人が立っている。
「先生、早くトドメを・・・」
「・・・そうね」
「待って!トドメは私にさせ・・・」
青い爪の魔女はゆっくりと立ち上がった。
「・・・・・・」
「ちっ!何かされる前にトドメをっ!」
西条は青い爪の魔女に切りかかる。
青い爪の魔女はそれに対して銃弾を受けてほとんど感覚がなくなっていた左腕で受けた。
「・・・・・・ふふふふふ」
バサッ
青い爪の魔女の左腕が ボトッ と落ちる。
「ふふふふふふふふ・・・まさか私がこれほどに・・・悪いけどこの場は引かせてもらうわよ。ここの”魔力の場”からはすでに充分な程の魔力を吸い取ったし」
地面に落ちた左腕から魔力が溢れ出し―――暴発した。


「逃げられた・・・ここまで来てっ!!」
魔鈴は地面を拳で力をこめて叩きつけた。
「失敗した・・・油断してしまった・・・」
「・・・・・・過ぎてしまったことは仕方ないわ。大事なのはこれから、なにをするか。でしょ?」
「あなた!私がここまで来るのにどれほど苦労したか!」
「・・・おい、お前、先生に殴りかかるのはやめろ!」
「・・・とにかく、報告もあるし、魔女協会本部に行きましょう・・・」
美智恵はもみあっている魔鈴と西条にそううながした。





――――――続く――――――

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